異文化交流2
「姉上の反応から推測するにお前はおれに一泡ふかせたいようだな」
会食の場においてそう言われ、大地の女神はぎくりとした。ここでへそを曲げて料理の試食を拒まれたらその後の計画が台無しになる。何としてでも口に料理を運んでもらわなければ……
「なあにそんなに固くなるな。ようはおれの舌を満足させられるだけの手腕を見せてくれたら全部チャラだ。お前は何も企んでいなかった、そう振る舞うことを許そう。とはいえ龍神と結託して世界の全てを隅々まで見て回ったおれの見識をいち女神のお前が超えるとは到底思えないがな!そこで提案だ、水の女神は弟と姉上がウケイの儀をしたことにより生まれたそうだ。おれもそれにならって今回の宴にウケイの儀をしようと思う」
おれは賭けでもするかのように約束事を取り付ける。
「大地の女神の用意した料理に満足したならばおれは人間に転生する」
大地の女神は「そうですか」とだけ言ったが胸をなでおろすような様子ではあった。
「世界一美味い米に世界一美味い納豆、世界一美味い佃煮に世界一美味い梅干し、これらを畳の上であぐらをかきながら食う。水の女神の演奏を聞きながら芸の神の舞踏を鑑賞する。これらを超える贅沢を用意できるものならやってみるがいい」
大地の女神は面食らったような顔をした。
「あの、そこまでしなくてもいいのでは……」
「おや?試してみる前に降参するのか?そんなつまらんことは言わんよなあぁ!」
「ひっ!」
「いいから料理をもって来い、お前の企みが何だか分からんが乗ってやる」
おれはニチャリと笑う。
「は、はい。ありがたき幸せにございます……」
大地の女神は表情の見えない角度になったとき口を吊り上げてニタリと笑った。
(傲慢ではあるけれどある意味真っ直ぐなところがあって……私は案外こういう人(神)が好きなのかもしれませんね)




