異文化交流1
月の動きを観察して暦を作り、一年の中での農耕の流れを最善で行うデータをまとめ上げた。
この時のおれは鼻が高かった。
おれの姿を見て「ひっ!」と悲鳴を上げる声が聞こえて来る。
「なんだ大地の女神か」
大地の女神は無言でこちらを睨んでいる。
「まだ怒っているのか、あれは流石にしかたないぞ。だいたいあれから2億年は経ってるのにまだ根にもってるのか」
大地の女神は喉の奥から唸るようにして口を開いた。
「あなたが人間に生まれたら犬たちをけしかけて嫌がらせしますから」
「おおこわ、まあおれが人間みたいなつまらない転生先を選ぶことはないがな」
だいぶ昔に大地の女神に御馳走を振る舞ってもらったことがある。彼女の料理があまりにも美味しくて農耕の研究者としての興味から彼女がどうやって食べ物を調達しているか知りたくなった。まあ後悔することになるんだが。
端的に言えばおれが口にしていたものは彼女から出た大小の便だった。あの美味い酒は彼女の咀嚼した米から作られていた、寿司もだ。
おれの頭の血管が何本か切れる音がした……
「なんてもの食わせとんじゃあぁぁ!!」
「これは!ちがうんです!」
気がついたらおれはめった切りにしていた、まあ姉上に頼んですぐに黄泉の国からとんぼ返りしてもらったが、それ以来ずっとこうだ。
大地の女神は復讐を考えていた、このままでは腹の虫が永遠におさまらない。そこで異世界の植物を食べてもらうというアイデアを思いついた。
「ほう、大地の女神がおれに御馳走をしたいと」
「ええ、ですからご相伴にあずかってきてください」
「わかりました姉上、あいつはずっと仲直りしたがっていたんですね」
ヒクッと姉上の表情が引きつった気がしたがおれは何も気にしない。
「ええそうです、最高の料理でもてなしてくれるそうですよ」
「それは楽しみだ、世界の美味を味わい尽くしたおれの舌をどれだけ満足させてくれるかな」
あの時のやりとりがまさかあんなことになろうとは。




