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第6話

1948年2月21日午後2時

扶桑帝国 第1首都東京 皇居内苑 農業区画 通称『大農園』


「(どうしてこうなった! どうしてこうなった!)」 


この日穏やかな陽気で肌に突き刺さる寒さも和らぎ、厚着と温かい飲み物があれば実に最高に心地よい陽気なのだが、先日第1次移民団として到着したダークエルフの成人したばかりの女性であるブレア・グランドはそう心の中で叫んでいた

彼女は検疫を終え扶桑帝国の首都東京の港に降り立ったのはつい4時間前、降り立った後港に設置されていた移民先の候補地とその詳細な情報が載っている用紙と求人票が張られている掲示板を見ていると、服が少し引っ張られているのに気が付き振り返り目線を向けた

そこにいたのは


「おねーさんおねーさん? お仕事探してるの?」


と尋ねてくる移民船の中で教えてもらった扶桑本州と呼ばれている地域で着られている袴と呼ばれる和服を身に纏った少女だった

その外見と興味津々なその様子に警戒心を解いたブレアは


「ええそうよ、私は都心部に住んでみたくてね、お仕事探してるのよ。 魔法使えるから色々と探せるかなって。」


としゃがみ目線を合わせるとそう話した

少女はその言葉を聞くと


「じゃあ私のお家に来て! もっともっと色々な事教えて欲しいの! ちゃんとお給料とかちゃんとしてるから!」

 

と目を輝かせながらそう話した

ブレアも周囲にいる扶桑帝国の役人や軍人達が受けろ受けろと体で表現している為、頷いた


「わかったわ、じゃあ詳しいことを...」


「よし確保! みんな~、行くよ~!」


「へ?」


その瞬間少女の声が周囲に響くと、どこからともかく完全武装のどっからどう見ても精鋭と言わんばかりの兵士達と


「ブルル!」


「乗って乗って! 早く行こう!」


完全に自身が知るよりも一回り大きい馬がこれまた大きい馬車を曳いてくると、少女の指示に近い言葉を聞いた兵士達が即座にあまりの事態に呆然状態のブレアを馬車に乗せ走り出した

馬車の中では軽食と飲み物が用意されており、彼女は少女に促されるまま食べたがあまりの状況変化による緊張で味はしなかった

そして今現在


「あー、大丈夫かな? 私の娘が失礼した、私はそこで娘を膝に乗せている扶桑帝国皇帝より近衛侍従武官を仰せつかっている小林直哉だ...資料によれば君の名前はブレア・グランドで合っているかな?」


「はひ! わ、私がブレア・グランドです! 御無礼御許しください!」


「落ち着くがよい、今この場にはわらわ達の他にはそこで興味津々で覗いている菊花馬の子供達位しかおらぬからのぅ。」


ものすごく丁寧に手入れがされている花園で優雅にお茶を飲みながら休日を満喫している扶桑帝国最大にして最強の権力者と面接を行っているのである

誰だって予想だにしていない状況に陥り、ブレアの精神は沸騰し掛けていた

直哉はそのブレアの様子に気の毒そうな目を向けると、その元凶を少し睨んだ


「輝夜? お前いきなり何を考えて彼女を連れてきたんだ?」


輝夜は母親の1人である神楽にわしゃわしゃと頭を撫でられて気持ち良いのか目を細めながら


「うーん? 何となくこの人雇うべきだと感じたから他に取られる前に取った! ただそれだけ。」


輝夜のその言葉に直哉は思わず頭に青筋を浮かべた

流石に輝夜もその直哉の怒りを感じたのか、慌てた様子で


「ブレアさん! 何の魔法が使えるの!」


と尋ねた

ブレアもその様子に急いで答えた


「ゴーレムと浮遊と雷魔法が使えます!」


「ブレア殿、是非とも我が国の魔法技術指導にあたって頂きたい! とりあえず手取りで1月に400万を保証する、その他にも魔法が使える者達がいたら紹介をお願いしたい!」


「何じゃったらウルル大陸の非人口居住地に我が国の保護国扱いで独立しても良いし、普通に居住しても良い!」


即座に直哉が自分の財産を使ってまで取り込もうとし、神楽も自身の影響力を行使して領土割譲という政府自体を半ば脅しにも近い形で動かしダークエルフという種族自体を取り込もうと発言した


その後移住や布教の為に渡ってきたダークエルフ族のアラゴルン氏族は、布教する為に必要な各省庁の許可と監視兼警備の為の憲兵の派遣と教会の建設地の確保と建築が即座に行われだけでは無く、流石に一から何もない所に放り出すのは人道的観点から却下され、『大転移事件』から扶桑帝国海軍の最前線拠点としてフィジー諸島に軍港及び後方施設の建設が行われておりその開発に混ぜる形で居住地が置かれ定住する事になった

その後アラゴルン氏族の話を聞いた各氏族のダークエルフ達を始め他の少数種族や他の差別されてきた人々もこぞって扶桑帝国に移住を希望する事になり、各地に居住地が置かれ扶桑帝国を中心に魔法技術の解析と既存技術への応用等が行われ、急速に技術革新が進んでいく事となる


またローヒルト正教もその自由な考えから人々に受け入れられ、神道とごっちゃになりつつも広まっていく事になる

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