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第5話

聖歴501年1月15日深夜1時

ローヒルト正教国 教皇庁 レップリー枢機卿私室


ローヒルト正教国

この国はかつて不正に満ちたローヒリア聖教に激怒した、勢力争いや派閥争い等でスケープゴートや真面目過ぎて左遷されたりした司祭達や修道士達に加え聖騎士達が中心となり結成されたローヒルト正教の教皇庁の持つ領地が国となったものである

その内容は単純で


1つ 自身や身内に加え周りの人々を愛せ

2つ 皆等しく平等な命である、差別は許さんてか異種族だとか異教徒に対する聖戦とかほざいて自衛以外で危害与えたらどんな階層であろうとも破門とし征伐する

3つ 信仰は自由である、たとえそれは異教であっても自由である

4つ 優れた考えは絶えず取り込み成長の糧とせよ、知恵は力である

5つ 神は全能では無い、故に我々は成長し子孫や神に対して胸を張り生きなければならない


この5つである

人族至上主義で上流階級にとって都合の良いローヒリア聖教とって真逆の考えである為両者は対立し争いかけていたが、当時分かれてすぐ起こった『大魔導戦争』と呼ばれる彼らにとっての大戦が発生した為本格的に争う事はなかったが、その後は冷戦のように互いに罵倒しながら裏で非正規戦争を繰り広げていた


そして今ローヒルト正教国の教皇庁に住んでいるレップリ-枢機卿...対外布教担当の最高幹部であるレップリ-は『豊満なる賢者』と呼ばれており、今は室内用の着心地を優先した修道服を着て、全身黒尽くめの服を身に纏った老人の報告を聞くという休日前の最後の仕事をしていた

それは


「では報告を頼もうか。」


「はい枢機卿、我々の居住している地域に上陸した異邦人達に関する調査を御報告致します...」


つい3日前にローヒルト正教国の隣国である小国家群の1国であるレスト王国の海岸に港町を作り始めた『世界連邦』を名乗る国家群の人々に関する報告だった

この老人はローヒルト正教国の情報収集を担当する組織の長だった

そしてその報告は


「ほう、魔法というものがない世界から来たか。」


「ええ彼らが言うには突然飛ばされてきたとの事で、しかしその分魔法技術を用いない技術に関しては遥かに上という結論に至っております...長い間こういった任務に就いてきた私でさえ見ないような技術ばかりです...たった2時間で簡易ではあるとはいえ大型の桟橋を設置し、プレハブ工法やモジュール等と呼ばれる方法で作られた部品をジュウキなる我々でいう使用法を覚えれば誰でも使えるゴーレムで組み上げ僅か3時間で兵舎を建築するなど、目が眩むものばかりでした。」


という物だった

レップリ-はその報告を聞き、少し思考の海に沈んだ

報告は続けられ


「宗教関係は我々と同じように出身地ごとに信じられている宗教は分かれており、キリスト教やイスラム教なる一神教に神道なる多神教など様々ありましたな、総じて人々は礼儀正しかったようで...その中でも特に可笑しかったのは神道を信仰しているフソウ帝国なる海洋国家の勢力圏出身の者たちでした。」


「?! 珍しいなお前がそう笑うとは、しかも泣きながらとは...」


老人のその様子に思わず思考の海から急速浮上したレップリーは思わず目を見張った

老人は自身が被っていた頭巾を取った

老人は見事な銀髪で褐色の肌を持っており、地球出身のオタクが見れば


『ダークエルフだ!』


と叫んだであろう外見だった


「いやいや失礼、なんせ彼らは長年差別されてきた我々を最初から人と扱いましてな...しかも我々の歴史と教えに関して教えて欲しいと熱心に尋ねてきまして、教えたら彼らなんと申したと思います?」


彼はそこで一呼吸置くと


「『なんだ神道とほとんど同じじゃないか、国民を奴隷とかにしなければ直ぐに受け入れられる! それに差別されてるならフソウに来ればいい! なんせ土地は有り余ってるから犯罪起こさなきゃ幾らでも大丈夫だと思うぞ!』と話して上層部に取りなして頂きましてな...仕事が無くて孤児の若い者達が行きたがっております。」


と話し、その肌と銀髪で『悪に見出された種族』等と言われ無き理由で差別されて放浪するしか無かったダークエルフ族が新たに故郷を手に入れられると希望を見出せた事にはらはらと静かに涙を流した

レップリ-はその様子を見ると、私物のハンカチを渡し1つ書類を書き始めた


「明日の休日は返上し教皇猊下にお前達ダークエルフ族の希望者達に伝道士として布教の任と居住の許可を得る為願いを出す、明日はお前達も猊下に直接御報告せよ...この好機を逃す出ないぞ、我が友にして血よりも濃き思いを持つ同胞よ。」


「...感謝する同胞よ、貴方に世界樹と自然の神々の御加護有らん事を!」


今までに無い程真剣な表情でそう告げたレップリ-の言葉に、老人はダークエルフにとって最大限の賛辞と感謝の答えを持って答えた

次の日この願いを教皇は受け入れ、扶桑帝国もこの要請を受け入れ第1次布教隊と第1次移民団が編成され旅立っていった



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