表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
疾風ガール  作者: メリット5
仲間
15/20

ひとりぼっち

感想を頂ければ幸いです。

「ふざけるなよ!何で俺だけなんだよ。もっと速度出してる奴がいふだろ」

「速度を出してる車がいれば、私は追いかけて切符を作成します。今回は、私の目の前で速度を運転手さんが、速度を出し過ぎていたので、お止めしました」

莉奈の説得はかれこれ、十分以上続いていた。一ノ瀬がいなくなった途端、否認事案を扱うなんて…。

「私の計測した速度が、白バイに表示されていますので、ご確認だけでもお願いします」

トラックのドライバーって違反を認めないのかな?以前の否認事案を思い出した莉奈。

「分かったよ。確認だけする」

トラックの運転席から降りて来たのは大男。女性の莉奈は見下ろさせる形になる。

「こんなに出てるはずがないだろ」

「私が計測した結果ですので」

大男の迫力に思わず、莉奈の声が小さくなる。

「ふざけるな。そんなに金が欲しいのか?」

大男に胸ぐらを掴まれた莉奈の足は宙に浮く。

「ちょっと、離しなさい」

大男の力が強く、息が苦しい。

「ノルマのために、偽造までするのか?警察は」

大男は莉奈を離す気がない様だ。

「離しなさい」

莉奈は思いっきり大男を蹴ってみた。サッカーで鍛えた足がまさかここで役に立つとは…。

大男は手を離し、相当痛がっている。

ちょっと、やり過ぎたかも…。

「落ちいて。話をしましょう」

大男と距離を取り、説得を再開する。胸ぐらを掴まれるぐらいよくあることと、近藤から聞いていた。ここは、我慢だ。

「運転手さんの感覚だと、どの位の速度でしたか?」

「法定速度の五十位だろ!七十五も出てるはずがない」

何とか納得して貰うために、莉奈は説得のネタになるものを記憶から呼び起こす。

周りの車を追い抜いていたこと、煽って前の車に進路を譲らせていたこと。速度計測中にあった出来事を伝え、説得を試みる。

「確かに、急いでいたから乱暴な運転には、なってたけどな…」

「急いでいたとしても、メーターは見て、速度は気にして貰えますか?今回みたいに、ご自身の感覚よりも遥かに速い速度でトラックは走ってますので…」

乱暴な運転を認めた大男。突破口は見えてきた。

「メーターを気にしないとだな。今度からは…すまなかった。急いでるから、切符早く作ってくれ」

大男がズボンのポケットから財布を取り出し、財布から免許証を出す。

何とか署名と指印を貰い切符作成を行う。切符を交付し、大男のトラックを見送ると、莉奈は白バイに跨った。

やっぱり、違反を認めないドライバーの説得は難しい。違反を否認しても切符は交付し、供述調書等を作成することになる。

ただ純粋にそれは面倒だ。だから、何とか認めてもらう説得が必要になる。

どうしたらいいのか?いつもなら後ろを走る一ノ瀬に聞けるのだが…。今日は彼はいない。

それから、二件の違反を切符処理とし、違反を探しながら、白バイを走らせる。

気が付くと莉奈の白バイは、江乃町に向かって走っていた。帰りたい。その思いが自然と行動に出ていたらしい。

結局、一人で出来事た切符処理はたったの三件。説得に時間がかかってしまい、白バイを走らせることの出来た時間が少なかったからだ。

「莉奈ちゃん。信号青ですよ」

突然の声に驚いた。莉奈は後ろを振り返りってから、白バイを走らせる。安藤の乗る覆面パトカーが莉奈の後ろで信号待ちをしていたらしい。安藤は、覆面パトカーのマイクを使って莉奈に信号が青になったことを教えてくれた。

その安藤の乗る覆面パトカーが、莉奈の白バイと並走を始めた。

「やっぱり莉奈ちゃんだ。今日は、ひとりぼっちかい?」

助手席の安藤が笑顔で言う。

「今日から一人です。やっぱり一ノ瀬さんがいないと何か上手くいかないですね」

苦笑いしか出来ない。

「まぁ、頑張ってな」

安藤がガッツポーズをすると覆面パトカーは速度を上げて走り去る。

ひとりぼっちで寂しかった莉奈の心に、安藤という知り合いの登場により、寂しさも少し和らぐ。

「もう少し、頑張らなきゃ」

莉奈は深呼吸をしてから、白バイの速度を上げた。


感想を頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ