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疾風ガール  作者: メリット5
仲間
11/20

忘れ物

 庁舎に戻ると既に午前六時。近藤、神戸ペアも戻って来ており、狩の成果を嬉しそうに話している。

 莉奈はパトカー使用関係の簿冊に必要事項を書き込み、当番中記入した簿冊をまとめる。この後、上司に決裁と呼ばれる報告と印鑑を貰う仕事が待っている。その準備。

「おはようございます」

 可愛い声と共に、莉奈と同じ時期に入隊した上野 彩が出勤して来た。

「彩ちゃんおはよう」

 神戸が笑顔で挨拶を返す。神戸は彩がお気に入り。一方、一ノ瀬は彩を苦手とする。

 何か、俺の波長とか言うやつ?それが合わない上野は…。

 一ノ瀬曰くそう言うことらしい。不思議な表現をする人がいるものだ。

「おはようございます。一ノ瀬さん」

 しかし、一ノ瀬が苦手としていることを莉奈が伝えても、彩は屈せず逆に距離を縮めようとする。

「おはよう」

 彩の前では一ノ瀬は、まるで、人とあまり関わって来なかったガリ勉くんみたいになる。

「莉奈もおはよう」

「おはよう。彩」

 部屋の中をぐるぐる回り挨拶を済ませた彩は、着替えに向かう。

「上野、俺に挨拶してないよな」

 小隊長の近藤が悲しげに呟いた。

「怒り過ぎて、嫌われたんじゃないんですか?」

「何だそれ…。パワハラ的な?」

 神戸のにやけながらの指摘を、重く受け止めた近藤。

「七瀬。お前、上野と同期で同時期入隊だろ。上野の取り扱い説明書書いてくれない?」

 彩の取り扱い説明書を作る前に、一ノ瀬さんの取り扱い説明書が私は欲しいです。

「彩の取り扱い説明書ですか?一緒に過ごしていれば、そのうちに慣れますよ」

 莉奈は簿冊を抱えながら言う。

 朝は忙しいというのに…。

 それぞれ、着替えや提出書類の整理を行い業務の交代の準備をする。出勤してきた警察官の雑談や書類提出などで、部屋の中は騒がしくなる。

「すみません」

 部屋に入って来た見覚えのない女性に部屋にいた誰もが固まる。

「どうかなさいました?」

 丁度、着替えから帰って来た彩が対応する。

「これが近くの歩道に置いてあって。お巡りさんの忘れ物と思いまして」

 女性の片手には巻き尺。

「あっすみません。ありがとうございます」

 女性から笑顔で巻き尺を受け取った彩は、どこかに所属名が書かれていたいか探す。

「わざわざ、御足労いただきありがとうございます」

 部屋の入り口の近くにいた一ノ瀬が歩み寄り言った。一ノ瀬の口からこんなに丁寧な言葉が出るなんて。驚きだ。

 女性は巻き尺を渡すと庁舎を出て行った。

「七瀬。ぼーっとしてないで決裁早くしてくれ」

 近藤が腕を組んで待っていた。慌てて近藤の元へ行き、決裁を済ませる。

「渋岡署の交通課のやつですね」

「七瀬と行った人身の時に来てたやつの忘れ物だな」

 所属名を見つけた彩は、巻き尺を一ノ瀬に手渡す。

 渋岡署の交通課って、あのイケメン君達か…。

「後で、俺たちが取締りの途中に寄って、届けておきますよ」

 切符鞄と飲酒検査キットをロッカーから取り出した先輩隊員の中島 宗輔が言う。

「おう。頼む」

 莉奈の頭上を勢い良く、巻き尺が通過した。

「確かに受け取りました」

 中島が笑顔で受け取る。

「近藤小隊は各自、仕事が終わったら帰っていいぞ」

 近藤が椅子から立ち上がり、荷物をまとめる。

 これをもって勤務解除…のはずだった…。


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