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幻想遊園地  作者: かがりいずみ


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7/8

第7話:宇宙戦争

「次のアトラクションを楽しめるかどうか⋯」

ツクミが言葉を濁す。ボクはちょっとだけ首を傾げた。

今まで、ツクミがこんな言い方することあったかな?と思ったからだ。


「楽しくないかもなの?」

「ライド型のアトラクションになるのですが、途中で備え付けの銃で敵を撃つ、というアクションがあるんですよ」


なるほど、ゲーム要素があるアトラクションというわけか。

主人公になりきって、敵を倒していくという感じのようだ。


聞いた限りでは楽しそうなアトラクションだ。

しかし、ツクミが言うには、楽しめるかどうかはその人次第、ということだった。


的当てが苦手だと面白くない、みたいな意味?


「さあ、あちらです」

あちこちにサイリウムのような光が灯る、近未来的な建物に案内される。月明かりにきらめいているところを見ると、その壁面はおそらく日の光のもとでは白銀に輝くのだろうと想像された。


ツクミに先導され、左右に開く自動扉をくぐると、エントランスがあり、エスカレーターが真っ直ぐに階上に向かって伸びていた。

それは、ビルだったら軽く2〜3階分ほどの高さまで続いているようだった。


エスカレーターの終点はライドの乗り場になっており、1台のよくあるタイプの宇宙船を模したカートが止まっていた。先頭の部分にボクが乗るのだろう。そこには光線銃のようなものが据えられていた。


「こちらは一人乗りのライドになります。一周するとこちらに戻ってくる仕組みですから、私は待っていますね」


ツクミに促されて、ボクはライドに乗り込んだ。


「では⋯遠い未来、不思議な宇宙戦争の世界へ⋯行ってらっしゃいませ」


ガタン、とライドが動き出す。

ボクは少しワクワクしていた。


ボクを乗せたライドは、キラキラとした宇宙空間のように演出された回廊に、ゆっくりと滑り込んでいった。


☆☆☆

【SF作家】


ビーッ!!


俺が角を曲がった瞬間、けたたましいブザー音が廊下に響く。

そして、ちょうど二十メートルほど先の角に数十台のガーディアンロボットが見え隠れしていた。どうやら、また、警備システムをひとつ作動させてしまったらしい。


体高四十センチ、直径五十センチほどの円筒形をしたそのロボットたちは、真っ赤なサーチアイの焦点を俺に合わせると、メタリックな回廊を滑るようにこちらに向かってきた。


やべ!


俺は一旦少し戻ると、横道に身を隠し、腰のプラズマガンを引き抜く。

そして、素早く安全装置を外すとジェネレータを作動させた。


プラズマガン⋯名前の通り、超高電圧のプラズマを発射する対機械用の小型武装だ。ジェネレーターが低い唸りを上げ、プラズマの充填がMAXに近づいていることを俺に知らせる。


どれ⋯?


覗いてみると、ガーディアンロボットたちはこちらに来る気配がなく、十メートルほど先のところでウロウロとしている。


なるほど⋯そっちに行かせたくないってわけか⋯


俺は横道から腕だけを出すと、プラズマガンを2〜3発盲撃ちに叩き込んでやる。その攻撃で数台のロボットは破壊できたようだが、残りが反撃に転じ始めた。


こちらのデータを瞬時に採集したようだ。

コンマ数秒で、こちらに有効な武器の選択が終了する。


「⋯コウシンドウデンシレーザー、ホウゲキ⋯」


無感情な電子の声が、これから使用しようとしている兵器名を告げる。

奇妙なことだが、これが、奴ら『帝国』の兵器の特徴なのだ。


☆☆☆

人類が超光速航法を発見した宇宙暦元年から300年ほどが過ぎたころには、その植民星は辺境を含めて数百にまで登った。広く宇宙に散らばった人類は『地球連邦政府』を樹立し、人類は更に繁栄を極めていった。


しかし、宇宙暦1235年、自ら『帝国』と名乗る正体不明の異星人の出現が、地球連邦政府に宣戦布告をし、瞬く間に全星域を巻き込んだ戦争へと発展していった。


この『帝国』軍は、その目的、種族及びその本拠地などが全て不明な上、いくつもの謎があった。


そのひとつがこの『攻撃の前にかならず自らの使用兵器の名前を告げる』ということだった。彼らは星間戦でも、地上戦でも、必ず武器を使用する前にその名を宣言するのだ。しかもご丁寧に地球標準語で。


『時空歪曲定数操作結界』だの

『多重振動調弦素粒子分解砲』だの


相当長たらしい名前をわざわざ言うのである。


と、まあ、このややこしい『帝国』との戦乱が始まって、すでに5年の月日が流れている。最初はその圧倒的な科学力に押され気味だった地球連邦政府軍⋯略して地球軍も、次第に戦力増強を図り、各地で戦況は膠着し始めていた。


そんな中、かねてから捜索をしていた敵の本拠地が発見され、俺達以下、地球軍の精鋭千人あまりが、コードネーム『シルバーロック』と呼ばれる、この機械遊星に突入したというわけだった。


☆☆☆

カッカッカッカッ⋯


ガーディアンロボットをなんとか制圧した俺は、シルバーロック内の回廊を走っていた。行く手を遮る防衛システムの数はどんどんと増えていく。


『相反転電磁障壁』

『光学感知式自動照準励起砲』

『2・6・7キリシエル酸ガス』


次々と襲いかかる兵器たちも、俺に致命傷を与えるに至らない。先方の攻撃もさることながら、俺もまた工作員として超一流の訓練を受けてきているのだ。


廊下を駆け抜け、突き当りの扉を破る。

瞬間、視界が真っ赤に染まった。


広い。


巨大な吹き抜けの空間。

中央に大きな柱のようなマシン。

そして、それを取り囲む円筒形の空間の壁には剥き出しになった大型コンピューターの回路が走っている。


んん⋯こりゃ、パターンから言うと⋯?


「私が皇帝ブライアだ」


やっぱり


俺は、このあまりにもお決まりのパターンに少々戸惑った。


こりゃ、次の台詞は『ここに来たからには死んでもらう』⋯だったり?


「ここに来たからには死んでもらうぞ」

機械皇帝がそう告げる。


惜しい!⋯『ぞ』が抜けていたか⋯


などと言っている場合ではない。敵さんは本気でこっちを狙っている。いつの間にやら周囲の壁一面からレーザー兵器が俺の方に照準を合わせてきていやがる。


中央にそびえる柱、俺から見て20メートルほど上にモノアイがある。あれがどうやら皇帝殿の『眼』のようだ。そのカメラアイが、機械音を立てて少し回転する。


俺はそっと腰の後ろに手を伸ばすと、パックのスイッチを押した。


「おい、いいのか?」

大声で言う。また、皇帝の『眼』が小さく唸りを上げた。

「お前さんのその目ン玉がX線でも使えるってなら、俺の身体の中を見てみろよ」


ふぃいいん⋯という音を立ててカメラアイの色が赤から青に変わった。

どうやら本当に『透視装置』を備えているらしい。


「腹部の右下⋯なんだそれは⋯機械⋯爆弾か?」

ブライアの声色が少し変わる。どうやら捉えたらしい。計画通りだ。


「ああ、それも地球連邦が誇る最新のヤツ⋯『超対称粒子反応型重力爆弾』⋯ここで破裂すりゃ、重力崩壊であんたのその身体はほんの握りこぶしほどまでベコベコに潰れるぜ?」


俺は言うと、がちゃがちゃと武装を解き、足元に落とし始めた。

ただし、腰のパックだけはベルトに付けたままである。


「何の真似だ?」

シュン⋯と音を立て、モノアイが赤色に戻る。

「あいにくと、こいつは俺の意思でどうこうできるもんじゃねえんだ。俺が死ぬか、もしくはこいつに強いショックがかかるかしねえと爆発しない仕組みだ。

 ⋯なあ、おめえも死にたくねえだろ?

 だったら、降伏して全システムを止めろ。

 そうすりゃ互いに生き残れる」


俺はできるだけ優しくそう言った。ブライアはしばらく考えているようだった。ただ、あまりにもこのコンピューターが高性能なのだろう。少しも音はしなかった。

しばらくすると、またふぃいいんと音がして、モノアイが回転した。


この音だけがする⋯こりゃわざとか?もしかして⋯


「降伏は⋯しない。だが、地球連邦からは手を引く。

 この条件でどうだ?」


ん?唐突に下手に出やがったな。


そう考えた俺は、ちょっと調子に乗ることにした。


「ん、まあ、それもいいだろう。俺はこのまま帰る。お前は地球星域から出ていく。結構なこった。

 だが⋯まあ、せっかくここまで来たよしみだ。三つだけ教えてくれ」

「なんだ?」

「ひとつ、お前は何者だ?

 ふたつ、なぜ地球連邦を攻めてきた?

 みっつ、なんでお前たちは兵器の名前を宣言するのか?

 これくらい教えたって害にはなるまい?」


ブライアはしばらく沈黙した。

正直、その沈黙に、俺は少しだけドキリとした。

腰のパックに手をやると、それは正常に作動していた。


唐突にブライアは答え始める。

「ひとつ、私は銀河系中心部ハローの直鎖恒星系12番、第三惑星よりやってきた。銀河間を移動するために、自らを機械化したのだ。

 ふたつ、目障りだったからだ。

 みっつ、それが我が星の戦い方だからだ。」


「はっはっはっ!」


俺は大声で笑ってみせた。

ブライアの目がまた少し回る。動揺しているのかもしれない。


「嘘つけってんだよ!

 俺が聞きてぇのは本当のことだ。

 なに?連鎖恒星系から来ただ?嘘つけ!」


ことさらにゆっくりと俺は言う。


「いいか?『帝国』の兵器に搭載されている人工知能はな、地球連邦のそれと基礎構造がうり二つなんだよ!わかるか?おめえが地球と関係ねえなんてこたあ99.9%ありえねえ!」


ヒュイン、ヒュインとカメラアイが回転し続ける。

どうやらものすごく動揺しているらしい。


よし、どうやら作戦にのってくれたらしい。

もうちょっと⋯だ。


「同じ型の人工知能を異星人が作り出す確率を計算したんだ。⋯その確率はおおよそ1億2000万分の1以下。

 これは軍の中でも一部の人間しか知らねえことだ。

 だが、断言できるよ。お前さんたちの正体は、間違いなく『地球人』⋯だ」


ウゥンンンウィンン


皇帝ブライアが苦しげに唸る。いや、コンピューターなのだから苦しいわけはないのだが⋯。


後、少し時間が欲しい。

せめてあと1分。


ヒュイン!


っ!?


突然、小さな機械音とともに、そこかしこから俺を狙っていたレーザー砲が壁面に収納される。そして、ブライアがゆっくりと話し始めた。


「確かに⋯私は地球人⋯『だった』」


⋯やっぱり。

こいつらの艦隊宇宙船のいかにもありがちなセンス。

そして自分らを『帝国』などと名乗るSFじみた発想。


そうだったんだな。


俺がふと肩の力を抜いたのが分かったのかもしれない。

ブライアの話し方は心なしか先程までよりもリラックスした様子だった。


「『職業星』というのを知ってるか?」


『職業星』とは、宇宙暦元年から始まる100年ほどの宇宙開拓時代の用語だ。その頃に数多く作られたフロンティア植民星の一種だ。

同じ職業の人間ばかりをひとつの惑星上に集め、集中的に生産を行わせることにより能率を上げようとした当時の政府主導のプロジェクトのひとつだった。


「私はその中でも『作家』の職業星に移住したSF作家だった」


作家の職業星というのは初耳だ。

俺が疑いの眼差しを向けていることを察したのか、ブライアはこう続けた。


「お前が疑うのも無理はない。あれはいわば道楽者の集まりだったからな。

 そして、作家が集中的に存在していることで、能率や生産性が上がると思うか?

 ⋯想像どおり、案の定だ。星はだんだんと廃れていったよ。

 恋愛小説家が消え、歴史小説家が去り⋯そんな調子で人口は減り続けた。

 しかしな、そんな中にあっても私達SF作家だけは残り続けたんだ」


「私たちは語り合ったさ。人類の未来を、まだ見ぬ科学技術を、宇宙の果てを

 進化を、発展を⋯そして、空想は次第に現実味を帯び、技術の力を借りて形をなしていった」


「そりゃいったい⋯どういう⋯」

「我らの中には実際、学者や技術者もいたのだ。

 それらは数百年、空想を練り続け、技術を磨き⋯そしてついに作り上げてしまったのだよ。自分たちが過去数百年にわたって夢に見て、筆に乗せてきた兵器や技術をな」


なるほど⋯アホの一念、岩をも通すってヤツか⋯


「最初はその完成品を自分たちだけで眺めて満足していた。だなが、そのうち使ってみたくなったのだよ。想像するだけでは飽き足りなくなったんだ。

 宇宙戦争ってやつを、実際にしてみたくなってしまったのだよ」

「それでできたのが、『帝国』ってことか⋯」


正直『は?』と思った。

それが本当なら、こんなはた迷惑なことはない。


「そうだ。兵員はアンドロイドやクローン兵でなんとでもなった。そして、『私』は代表者として、この人工知能『CON-20189』に自らの思考をコピーしたのだ。」

「お前以外のやつはどうなったんだよ⋯死んだのか」

「さあな。実際、生身のまま戦線に出ていったものもいたはずだ。また、別系統の人工知能に自らをコピーした輩もいた。だが多くのものは、この『CON-20189』に自らのバックアップを残すことを選んだ。」


「度重なるバックアップはいつしか人工知能内で混合し、挙句、『私』は自らのオリジナルを失った。今の私は、皇帝ブライア以外の何者でもないのだよ」


俺は言葉を失った。

元が何人いたのかわからないが、コイツらは己の興味が赴くままに超兵器を作り上げ、それを『使ってみたい』という理由だけで自らの意思を機械に写し取り、戦争をおっぱじめたというわけだ。


肉体はとうに滅んでるのだろう。


そして、同時に理解した。

おそらくこの『CON-20189』のコピーである帝国の人工知能群がなぜいちいち自らが用いる武器の名を誇示するかのように宣言するのか⋯。


要は自慢だ。自己満足。


「これ以上説明することはない。約束通り、お前も、お前の仲間も帰そう。我らは別の星系に、」


そこで不意にブライアの言葉が途切れた。


パチッ!パチチッ!!


目の前の柱のあちこちから、そして、壁面のそこかしこから青い放電の火花が散る。


おっと⋯やっと始まったか。


「き⋯サま⋯な⋯に、、、ヲ⋯死タ⋯」


放電はまたたく間にスーパーコンピューター『皇帝ブライア』一面を青色の蛇のようにのたうち回る。カメラアイが急激に赤、青、黄色とランダムにその色を変え、ついにバキッと音を立てて割れてしまった。


これが、俺の切り札だった。


『プログラム転写型RNAウィルス』


要は空気感染する『生きているコンピューターウィルス』である。少し離れたところから放ったとしても空気を媒介にして回路素子に付着、そこで電気エネルギーにより増殖し、ある程度増殖すると、強制的に回路にウィルスプログラムを書き込み、宿主たるコンピューターそのものを暴走、沈黙させることができるという代物だ。


ただし、こいつには致命的な欠点がある。

空気中での寿命がさほど長くない上に、効果を現すまでに時間がかかるのだ。


だからこそ、俺はここまでこいつを運ぶ必要があったのだ。


ベルトについたパックが散布装置。

この部屋についたときに、それを稼働させた。

そして、なんとか会話を引き伸ばして効果発現まで時間を稼いだ⋯というわけだ。


「お魔⋯ヱ⋯覇ぁ⋯っ!」


体中の回路が暴走を始めたのだろう。レーザーを稼働させることもままならないようだ。


「じゃあな⋯皇帝ブライア殿⋯」


俺のこのセリフは、もう、ブライアには聞こえてはいないだろう。


☆☆☆

カラン、カラン⋯


俺はグラスを揺らし、中の氷を鳴らす。

同僚が、そんな俺に話の続きを期待する熱い視線を送ってきていた。


「ま、それからな、俺はシルバーロックを脱出したってわけよ。

 帰りは罠も作動しねえし、楽勝だったわ」

「シルバーロックそのものが崩壊したりはしなかったのか?」

「それもありがちだよな。

 自らの命が潰えたら自動爆破装置が働くとか⋯奴らの考えそうなこった。」


だが、現実はそうではなかった。

どうやらそこまで連中も『SFかぶれ』ではなかったらしい。


「そういやなんで、そのブライアとやらの正体、俺達に知らされてねーんだ?」

「ああ、そりゃそうだ。公表しなかった」

「なんで!?そんなビッグニュース!発表すれば大センセーショナルだろうに!」

「⋯ん?まあな、色々理由があってな」


実際、俺も報告しなかったし、

薄々感づいていた軍の上層部の一部も公表する必要性を感じてなかった。

いや、むしろ公表しないほうがいいって考えていたフシがある。


歯牙ねー雇われ軍人の俺ひとりが騒ぐのもおかしな話だろう?

あくまでも、『帝国』は正体不明の異星人⋯その方が何かと都合が良かったんだ。


「しっかし、お前も無茶苦茶だよな⋯なんだ⋯身体ん中に『超対称うんたら爆弾』なんて埋め込んで任務に臨むなんて⋯」

俺はくいっとグラスを呷ると、笑った。

「おめえは、その『超対称うんたら爆弾』ってやつ、聞き覚えあるか?」

「いや」

「当たり前だ。そんなもんねえんだから」

あっけらかんと言った俺の前で、同僚はアホみたいに口をぽかんとさせた。


「ほら、さ、時間稼げりゃなんでもよかったわけよ。

 それに連中、その手の名前好きそうじゃねえ?

 小難しい言葉で敵を撹乱するなんて、古典的な手だろ?」

同僚は震える指で俺の腹を指さした。

「じゃ⋯じゃあ、X線で皇帝が検知したってのは⋯?」

「ただのペースメーカーさ」

「呆れた奴だぜ、お前は!」

言いながら、同僚は俺のと自分のグラスに追加の酒を注ぐ。

「俺のおごりだ!

 大した奴だ、お前はよ!」

「まあ⋯これでも、一流エージェント⋯なんでね」


実際、俺は『皇帝ブライア』破壊の功績を認められて、同期で最も早く大佐に昇進している。次の戦争じゃあ、戦艦の艦長になって楽させてもらう予定だ。


え?なんだって?

もうブライアはいないから戦争は終わったんじゃねえかって?


バカだな、起きるんじゃねえよ、

起こすんだよ。

他ならねえ、地球人がな。


ブライアの人工知能のデータセットの中には、それまでの地球人類が持つ技術をはるかに超えたテクノロジー情報が詰まっていた。


まあ要は人類もそいつを使いたくなったってことだ。


確か来週あたり、異星人を探すための船団がこの港を出るってことだった。

なんでも『帝国』の持っていた超光速航法は、人類のそれの2世代は先を行っており、異星侵略も夢ではないそうだ。


そして、『異星人』を殺しても、心が傷まないということを、人類は学んでしまったから⋯。


☆☆☆

ガッタン⋯


ライドがツクミの待つ乗降場に到着した。


「いかがでしたか?」


ツクミに問われて、ボクはなんだか複雑な気分になった。

途中、敵のロボットや戦闘機をシューターで撃つのはたしかに楽しかった。


でも⋯


「なんだか、最後、モヤっとした」

「ふふ⋯ちょっと考えさせるアトラクションでしたよね」

「うん。ちょっと怖くなった。」

楽しんでいた自分が少し怖くなったのは確かだった。


「これはアトラクションですけどね。

 もしかしたら、人は同じことを繰り返しているのかもしれませんね。

 何千年経っても⋯」


「そう⋯なのかな⋯」

「そうならないほうがいいですか?」


「うん。そうならないといい」

そう思ったので、ボクは正直に思ったとおりのことを答えた。


ツクミはそんなボクを見て、すっと目を細める。


「招待状が送られた方⋯だけのことはありますね

 ごめんなさい。次はもう少し楽しいアトラクションにご案内しますね」


さあ、こちらに⋯


ツクミに手を引かれ、ボクは近未来の館⋯『シルバーロック』をあとにした。

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