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騒然!ロレンツォ教会

 オッタビアの命令で、ロレンツォ教会を含む地域を探索するよう指示されたソルジャーたちを乗せた車が、まだ荒廃したままのベルッチの先代ボスの屋敷跡を走りぬける。

 今や五大ファミリーの一角だったガンビーナの支配域も支配下におさめ、コミッションのメンバーともなった巨大勢力のベルッチファミリー。

 その本来のファミリーの本拠地だと言うのに、今はまだ焼け落ちたままである。しかし、ボス継承問題も片付き、表向き戦争は終結している今こそ、再建のチャンスである。

 しかも、焼け落ちる前よりも、威厳のある屋敷にと、すでに計画は始動していた。


 「近いうちにここの再建が始まるらしい。

 ここが再建されれば士気も高まるだろう」


 車の中でそんな会話が交わされていた時、運転しているソルジャーが減速しながら、口をはさんだ。


 「前を見てください。

 大量の警察車両が集まっています。一旦、このあたりに止めますか?」


 後部座席のソルジャーたちが乗り出して、前の様子を見る。


 「ロレンツォ教会の前あたりのようだな。

 あそこを勝手に使っている奴らがいる事は聞いていたが、何があったんだ?」

 「ここで止めろ」


 その言葉に従い、運転していたソルジャーは車を端に寄せて停車した。


 「お前、歩いて見てこい」


 その中のリーダー格の男が、一人のソルジャーに指示を出した。

 指示を受けたソルジャーがドアを開け、徒歩で警官が集まっている場所に向かうと、数分後にそのソルジャーは戻って来て、状況を報告した。


 「教会が取り囲まれています。

 取り囲んでいる警官の数は普通じゃありません。

 目的の詳細は分かりませんでしたが、家宅捜査だそうです。容疑者を連行すると言う話もありますが、何の容疑者なのかは言いませんでした」


 報告を受けたリーダー格の男は警察が大規模に集結していることから、この教会こそ今自分たちが探している神父がいる可能性が大きいのではと考えた。

 もし、その考えが正しいなら、警察が先を越して神父やレーザー銃を奪えば自分たちの立場が危うくなると考え、素早く対応を指示した。


 「お前はボスにこの事態を報告しろ。

 この教会に目的の神父がいるかもしれないことと、大勢の警官が取り囲んでおり、増援が必要な事を伝えろ」


 運転していたソルジャーにそう言うと、ドアを開けて自分も車を降り、警官たちの輪に向かって行った。

 背後から近づいてくる一見して分かるマフィア姿の男に気付いた警官たちが、何をしに来ようとしているのか見極めようと警戒し始めた。


 「ここが俺たちベルッチファミリーの支配地域と分かって、こんな事をしているのか?」


 ソルジャーたちは警官たちに向かって凄んだ。

 予想はついていたが、ベルッチファミリー。その名に警官たちはたじろいだ。

 今やコミッションの一角となったファミリーの男の脅しである。



 一方、その頃、教会の中では押し問答が繰り返されていた。

 「いいか。もう一度言うぞ。

 あの危険な武器はまだあるのか?

 どこから入手した?

 あすかと言う女はここにいるのか?

 全てに答えろ」


 前回以上に、警官の語気は強く、必死さが表れているが、神父の方は気圧された雰囲気もなく、淡々と答えて行く。


 「何度も、申し上げましたとおり、あれ一個ですし、入手先は記憶にありません。

 あすかもいません」


 淡々とではあるが、その言葉を放つ神父の瞳には、殺気のようなものが宿り、全く負けてはいない。

 警官側もこの神父の反応に、こいつはただの神父でないか、あるいはあすかがここにいるため、何があっても安全と考えているかのどちらかであると感じ、実際には手を出せないでいる。

 そんな中、開け放されていた教会のドアから、外部の動揺が伝わって来た。

 教会内部の警官たちが外部の異変を感じた頃、中からもう一人の神父が出てきて、警官たちに言った。


 「珍客が来られたようですよ。まずはそちらのお相手が必要のようです」

 「何だと?」


 警官たちはその言葉に教会の外を注視した。教会の外では、明らかにマフィアらしき男たちと警官たちが揉めていた。

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