レーザー銃とコルレオーネファミリー
レーザー銃を押収した警官は一台のパトカーの助手席に乗り込んでいった。そのパトカーの後部座席には一人の男が座っていたが、その風体は警官とはほど遠いものだった。その男は警官が手にレーザー銃を持っていることを、車の中から確認していた。
「首尾は上々だったようだな」
「はい。これです。お渡しします」
レーザー銃を受け取った男はそれをまじまじと眺めた。あんな強力で、こんな小型のレーザーは見た事が無い。男は興味深そうにしばらく眺めていたが、やがて顔を上げ、思い出したかのように警官にたずねた。
「で、あのあすかとか言う女はどうした?」
「それだけは勘弁して下さい。いるとは思いますが、生きて帰れない覚悟で調べるかと言われましたもので、とてもじゃないですが、連れてなんてこれません」
「まあ、警察の名前で素直に出てこなければ、連れてくる方法は無いわな。力では向こうの方に分がありそうだからな」
警察官たちが乗った警察車両が一斉に移動を始めた。
何台ものパトカーが大通りに入り、警察署を目指して進む。大きな交差点。多くのパトカーが直進する中、レーザー銃を持った男が乗るパトカーだけが左折して、離脱していく。
しばらくしてそのパトカーが停車した大きな屋敷は、コルレオーネファミリーの屋敷だった。
パトカーが停車すると、後部座席のドアを開け、レーザー銃を手にした男が降りた。
「協力、ありがとう」
男がパトカーの中の警官たちにその言葉を残し、屋敷の門を目指していく。
パトカーは男を降ろすと何事も無かったかのように静かに発車して、警察署を目指して走り去った。
男が門に近づくと、監視カメラで見ていたのか、静かに門が開き始め、その開いた門から、男が中に消えて行った。
この国一番の勢力を持つコルレオーネファミリーの屋敷だけあって、その敷地は広大だった。植えられている木々、そして花々の数は数え切れないほどだった。その中を石畳が点々と建物の門に続いている。
男はその石畳の上を静かに歩いていた。敷地の中には警備と思しき男たちが、そこかしこに配置されていて、男はそんな者たちから、挨拶を受けながら敷地の中を進んで行く。
目指すのはコルレオーネのボスの下。
男がボスの部屋の扉を開き、中に入って行く。部屋の壁には武器と代々のボスの肖像画が掲げられていて、その肖像画の下に机が置かれ、ボスはその机の前で男の到着を待っていた。
「首尾は?」
そう男に聞きながらも、ボスは男の手に握られているレーザー銃に視線を集中させていた。
「無事例の物を手に入れてきました」
そう言いながら、レーザー銃をボスの机の上に置いた。机の上に置かれた時、重い物が置かれた時の鈍い音がした。
「ほう。これが、そうなのか」
ボスはレーザー銃を手に取ると、まじまじと見た後、おもむろに立ち上がり、窓を開け、庭に生えている一本の樹に狙いをつけ、引鉄を引いた。
外は輝く陽光でかなり明るかったが、その光跡はちらちらと焼け焦げる埃が示している。そして、まっすぐ伸びたその先にある樹の幹はレーザーによる穴があき、ボスの狙いに応じ、レーザーで焼かれた穴は横に移動し、やがて炎を放って大音響とともに倒れた。
「おお!すごい威力だ。これなら、あの女どもも倒せるな」
そう言ったコルレオーネのボスは上機嫌だった。




