↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
70/101

ロレンツォ教会の神父

 ガンビーナ達がロレンツォ教会に到着したのは、すでに周りの道路からは人気が消え、人々が家の中で過ごしているような頃だった。


 教会の窓からは、ほのかな明かりが漏れており、中に人がいるようだった。

 ガンビーナたちは車を少し離れた位置に止めると、マフィアと言うよりいかにも紳士と言う風体を装った一人の男だけを教会に向かわせた。

 カテリーナが通ったと同じ門を男は押し開けて、教会に入って行く。


 「すみません」


 男は丁寧に声をかけた。

 しんと静まり返った教会の中に、人の足音が響き始め、教会の奥から一人の神父が現れた。


 「どうしました?何かお困りですか?」


 男がまず自己紹介を始める。


 「本日、こちらにお世話になったカテリーナの親戚の者です。お礼に伺いました」


 「お礼ですか?そのような事は主に申し上げてください」


 カテリーナは嘘は言っていなかった。

 男はビンゴと思った。

 ここに自分たちマフィアに敵対している謎の少女がいる。

 噂では子供のようだとも言われ、かわいいとも言われている。

 男はここにいる事の確認と言う意味もあったが、興味本位として、その姿をこの目で見てみたい衝動にかられた。


 「ところで、ルチアーナを助けてくださった娘さんにお会いする事はできますか?」


 「なぜですか?」


 「直接お礼を申し上げたいからですが、いけませんか?」


 その言葉に奥から、もう一人の神父が出て来た。


 「それには及びませんよ。そのお気持ちだけで十分です」


 男はこの神父の訛りから、ネイティブでない事を感じとった。

 男はその神父の正体を確かめようと、顔を注視したが、薄暗い教会の中では到底思ったような結果は得られない。


 「では、失礼ですが、少しおうかがいしても、よろしいでしょうか?

 なぜ、見も知らぬ私たちを助けてくださったのですか?

 あのような危険を冒してまで。

 成功したからいいようなものの、女の子一人で乗りこませるとは、あまりにも危険、いや無謀ではなかったのでしょうか?

 もしも結果が悪い方向に行っていたらと考えると、私は胸が痛みます」


 「神に救いを請いに来た方々をお救いするは、我々の務め。気になさらなくて、結構です。

 しかも、あの子は強い。そう簡単に負けはしませんよ」


 「それでは逆に、その娘さんに多くのマフィアを殺させてしまった。

 そのような事までさせてしまった事を悔やんでもおります」


 「それは必要な事だったんでしょう。

 相手は何ら罪のない人ではありません。

 神の意志を妨げる者は排除も致し方ありますまい」


 その神父の言葉は自信に満ちていて、薄暗い教会の中で男に重くのしかかった。

 神父が男の方に歩き始める。


 「そう思いませんか?」


 男の近くまでやって来た神父が、男の目を見つめながら言った。

 薄暗い教会の中に響く、低いトーンの声。

 しかも、実際にはいないはずの幾多のマフィアを葬ってきた少女の姿が、男の背後に浮かび上がる。

 そんな神父に気圧され、男はもし自分の正体がばれたら、ここで殺されかねない。

 そんな考えが湧き上がってきて、背筋に冷たいものが流れた。


 「わ、分かりました。

 最後にもう一つ、教えてください。

 ルチアーナを救いだして下さった時、その娘さんがもう一人の女性を伴っていたとうかがいました。

 その女性も救出されたのですか?」


 「知りませんな。そんな女性は」


 神父は一瞬驚いたように見えたが否定して返した。

 男は少し不満だったが、この場の空気に耐えきれず、一礼して引き揚げて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。