オッタビア ベルッチファミリー・ボス襲名
チェーザレを乗せた車が到着すると、オッタビアの屋敷の前で待ち構えていたソルジャーたちが、屋敷の門を開く。
開いた門をゆっくりとチェーザレを乗せた車が通っていく。
後部座席で、チェーザレが辺りに目をやる。
入口周辺を何人ものソルジャーたちが、そして敷地の中にはクラウディアが立って、自分たちを見ている。
チェーザレが視線をさらに奥に移す。
ガンビーナ側の襲撃を受け、戦場となったオッタビアの屋敷。
庭の木々は生き生きとその葉を緑に輝かせ、屋敷のガラスは陽光を跳ね返し、輝きの空間を作り出している。そして、屋敷の建物の外装もオッタビアの威厳を映し出すかのように、傷一つなく重みのある色彩で輝いている。
もはや、そこには攻め込まれた痕跡などなく、ここを訪れる者にオッタビアの勢威を感じさせるほど美しく仕立て上げられていた。
オッタビアがいる建物の前にあるロータリーを回って、チェーザレを乗せた車が門の前に到着すると、待ち構えていたオッタビアの配下の者が駆け寄って、車のドアを開く。
チェーザレがゆっくりと車から降りると、ドアを開けた男が一礼して、こちらですと手で合図をした。
チェーザレは男の招きのまま、中に消えて行った。
チェーザレが招かれた部屋はダイニングだった。
白いテーブルクロスが敷かれたテーブルには主の席にオッタビアが座っており、チェーザレはすでに到着していたサンドロの向かいに案内された。
チェーザレがサンドロの表情を読む。
実力も無いくせにボスの座を狙ってはいたが、モニカを失い、その隙をついてのガンビーナの襲撃から、命からがら逃げだしたその男には自信のかけらも無い。
鼻で笑いそうになる衝動を必死に抑え、チェーザレが席に着く。
三人がそろうと、すぐに三人のグラスにワインが注がれ始め、ワインが満たされると、オッタビアはそのグラスを右手に持ちながら、語り始めた。
「先代ボス亡きあと、後継が決められていなかったが、今日ここで決定したいと思う。
先代ボスの長男サンドロ氏より、私は推薦を受けた。
私はこの推薦を受諾し、我がファミリーをさらなる発展に導けるよう微力ながら、力を尽くして行きたいと考えている。
チェーザレ氏の賛同は得られますかな?」
「もちろんです。後継はお二人のいずれかに決まっているのですから、兄が叔父さんを推薦されたのなら、それで決まりと思います」
チェーザレもそう言いながら、グラスに手をかけた。
「では、異存が無いようですので、私が4代目を継がせていただきます」
「新しいボスに、乾杯」
サンドロとチェーザレの二人がそう言い、グラスを掲げると、オッタビアがそこにグラスを合わせた。
三人のグラスは小さな甲高い音を立て、新しいボスの襲名を祝った。




