轟く銃撃音
さっきまで腕をつかみ、ねじ上げていた男を蹴り飛ばすと、近づいてきていた男の側頭部を殴りつけた。
蹴り飛ばされた男は壁まで吹き飛ばされ、後頭部を壁で強打したため、意識を失い、ぐったりと床に倒れこんだ。
側頭部を殴られた男も、その衝撃に体を支える事もできず、床に倒れこんだ。
あすかはそのまま倒れた男を飛び越え、ルチアーナを捕まえている男を蹴り飛ばした。
不幸な事にルチアーナは男にしっかりと掴まれていたため、男と一緒に吹き飛ばされ、ルチアーナまで壁に激突し、軽い脳震盪を起こして、意識を失ってしまった。
男の方はまだ意識があった。とは言ってもふらふらの状態で立っているのがやっとの状態である。
あすかがその男に近づき、容赦なく、男のみぞおちに拳を打ち込んだ。
「げはっ」
男が前のめりに床に倒れこんだ。
あすかがその男の近くに倒れているルチアーナを見つめる。
「失敗だったわね。
この子まで、吹き飛ばしてしまうとは」
そう言って、ルチアーナを抱えようとした時、この異変に気付いた人々が騒ぎだし始めた。
女たちは自分たちがいた部屋から、恐々顔をのぞかせて、何が起きたのかを知ろうとしている。
店の男たちも異変に気づき、銃器を携え、あすかたちの方にやってき始めた。
何が起きたのか知る由もない駆け寄ってきている男たちは、どう見ても子供にしか見えないあすか自身が敵だと理解できていない。
敵はどこにいるのか?
辺りに視線を配り、銃器を構え、警戒しながら、ゆっくりとあすかたちのところに進んでくる。
その時、新たな騒動が起こった。
店の中に銃撃音が鳴り響いた。その音の場所は入り口である。




