次期ボスの座を狙うオッタビア
大きな屋敷の中、マフィアらしい男が廊下を走っている。
廊下のその先には周りの部屋のドアに比べ明らかに立派なドアがあり、その左右には警護していると思しき二人のソルジャーが立っていた。
走っている男がそのソルジャーたちの前にたどり着いた。
「ボスはいるのか?」
「はい。中に」
そう言って、ソルジャーたちが警護している部屋のドアをノックする。
「ボス、ダーリオさんが来られています」
「入れろ」
ソルジャーたちがドアを開くと、ダーリオと呼ばれた男が中に入って行った。
少し薄暗い部屋。その中にオッタビアが椅子に深く腰掛けて、葉巻をくゆらせながら座り、慌ただしく入ってきたダーリオに、何だ騒々しいと言わんばかりの視線を送っている。
「ボス」
ダーリオはすでにオッタビアの事をボスと呼んでいた。
「サンドロがガンビーナの縄張りに攻め込み、撤退してきました」
ダーリオの報告にオッタビアは一瞬笑いを浮かべた後、深刻な表情になった。
「モニカがいたため、ガンビーナのソルジャーたちを皆殺しにしたものの、サンドロ側の被害も大きく、そのまま何もせず撤退したと言うことのようです」
「あいつの器量はその程度さ。
ヒューマノイドを連れていても、満足な働きができない。
そんな奴は私の手足になっていればいいんだ。
これで、私を頼ろうとするものが増えるやも知れんが、この失敗は我がファミリーの威信を傷づけた事は間違いあるまい」
オッタビアがそう言って、腕を組みながら、目を閉じた。
この失態を挽回する必要がある。そう考えて、どうすべきかを考えていた。
ガンビーナをそのまま叩くと言うのが一番だが、ベルッチファミリーが分裂した状態の今はまだその時ではない。
もう少し規模の小さなファミリーがいいだろう。それも、エルカーンのように無傷のファミリーを一撃で。
オッタビアが目を開いた。
「クラウディアにバッサーニファミリーを襲撃させる」
バッサーニファミリー。隣接しているファミリーの一つで、エルカーンファミリーよりも規模が大きいが、その主力はファミリーの屋敷に集中していて、エルカーンファミリーと同様一気に叩き安かった。
その日バッサーニファミリーに送られたクラウディアは瞬く間に、バッサーニファミリーを壊滅した。
作戦を成功させれなかったサンドロ。
マフィアのファミリーを一つ壊滅させたオッタビア。
ベルッチファミリーのボス後継の座はオッタビアに傾き始めていた。




