非情 クラウディア
屋敷の表側の敵は片付いたが、裏側では戦闘の銃撃音が続いている。
クラウディアが屋敷の裏側に向かって歩き始め、それに合わせるかのように、表側にいたソルジャーたちも裏側に回りはじめる。
屋敷の裏側の戦闘ではオッタビア側が押され気味だったが、表側の戦力が裏側に回り始めた事で、形勢は変わりつつあった。
数に物を言わせたオッタビア側のソルジャーたちの止まぬ銃撃に、ラファエーレのソルジャーたちは散らばり、遮蔽物に身を潜めながら、散発的な攻撃しかできなくなった。
そこに、さらに集まってくるオッタビアのソルジャーたち。
激しさが増す銃撃で、ラファエーレのソルジャーたちは身動きが取れない。
やられる。
ラファエーレのソルジャーたち、皆がそう思い始めた時、突然銃撃がやんだ。
突然の出来事に、恐る恐る遮蔽物から顔を覗かせ、状況を確認するラファエーレのソルジャーたち。
オッタビアのソルジャーたちの中に、自分たちの方に向かって歩いてやって来る女性がいる事に気付いた。
クラウディアだが、ラファエーレのソルジャーたちはその名も、恐ろしさもまだ知ってはいない。
きれいな女性。
身に着けているドレスもきらびやかである。
ただ、そのドレスはいたるところに血がついていた。
何だ?
ラファエーレのソルジャーたちがそう思った時、クラウディアが自分の左右にいたソルジャーから銃を取り上げた。
戦うな!
そう言うことか?
なら、助かった。
ラファエーレの何人かのソルジャーたちが、そう思った瞬間だった。
「えっ?」
さっきまでかなり離れた場所にいたクラウディアが、ラファエーレのソルジャーたちの一人の目の前に立ち、そのソルジャーの額に銃口を当てている。




