一瞬の内の敗北
屋敷の表側では、オッタビア側とラファエーレ側の間で激しい銃撃が交わされており、戦況は拮抗していた。
屋敷に取りつかなければならない攻める側のラファエーレのソルジャーたちがそんな銃撃戦の中、遮蔽物を変えながら、徐々にではあるがオッタビアの屋敷に近づいている。
最も屋敷に近いラファエーレのソルジャーがロケットランチャーを肩にかけ、屋敷のドアに狙いをつけ、トリガーを引いた。
パシュッ!
炎と煙を吐きながら突き進むロケット弾が、狙い通りオッタビアの屋敷のドアを破壊した。
戦いは優位にある。そう感じたラファエーレ側から歓声が上がり、一気に勢いが増した。
破壊された玄関からの侵入を防ぐため、オッタビア側の配下もここに人を集中させる。
ドアと言う構造物は破壊したものの、防戦にあたるオッタビアの戦力が集中した事で、ラファエーレ側も容易に突入できない。
しかし、ラファエーレは焦ってはいなかった。
裏の別動隊が行動に出れば、形勢は動く。
そう確信していた。
そのラファエーレの確信どおり、屋敷の裏側では警護が手薄になった隙を突いて、裏門の鍵が破られ、ラファエーレのソルジャーたちが侵入を開始していた。
裏門に入ったラファエーレのソルジャーたちが、左右に分かれ、銃を構える。
新たな敵の侵入に気付いたオッタビア側のソルジャーたちも銃を乱射しながら、駆け寄ってくる。
それをラファエーレ側のソルジャーたちが銃撃していく。
裏側の新たな敵を知り、駆け寄り集まってくるオッタビアのソルジャーたち。
それはロケット弾の格好の餌食である。
ラファエーレのソルジャーが、そこに向けて、ロケットランチャーをぶっ放す。
炎と白い煙を上げ、駆けつけようとするオッタビア側のソルジャーたちをロケット弾が襲う。
爆発の大音響とともに、多くのソルジャーたちを吹き飛ばす。
裏側の爆発音に表側で戦っていたオッタビアのソルジャーたちが、一瞬気を取られた。
ラファエーレ達はここぞとばかりに士気を上げ、銃撃に熱がこもる。
その時、ラファエーレの思考が錯乱した。
屋敷の中から銃撃しているオッタビアのソルジャーたちの背後にドレス姿の女が現れたように見えた。
その次の瞬間にはその女がソルジャーたちを押しのけ、そしてその次には消えていたのである。
「うん?」
今のは幻か?
ラファエーレがそう思った時、仲間が次々と吹き飛ばされて行くのを視界の片隅に捉えた。
「なんだ?」
それがラファエーレの最後の思考だった。
クラウディアが屋敷の表側に攻め寄せているラファエーレたちを抹殺するのに要した時間は、ほんの一瞬だった。




