ベルッチファミリー ボスの死
ベルッチの屋敷の異変にオッタビア、サンドロ、チェーザレたちが多くのソルジャーたちを引き連れ、駆けつけてきた。
敷地内に累々と横たわる死体。
銃痕を多く残した5台の車。
炎を噴き上げる屋敷。
オッタビアたちはどこかのマフィアのファミリーが攻め込んだものと判断した。
ガンビーナか?
エルカーンの残党か?
燃え上がる屋敷を見上げ、三人は復讐心をたぎらしていた。
「奴らの物と思われる車がある。まだ、どこかに奴らが潜んでいるかもしれん。
気をつけろ!」
オッタビアの配下の者たちがマシンガンを構えながら、敷地内を捜索しだした時だった。
三階の窓から、マシンガンによる銃撃が始まった。
「奴らだ!三階にいるぞ!」
最初の銃撃で、オッタビアの配下の何人かが倒されたが、残っている者たちが一斉に反撃を開始した。
その窓は紛れもないボスの部屋の窓だった。敵がボスの部屋にいる。その事で、オッタビアはボスがすでに亡くなったものと確信した。
その頃、三階にいたガンビーナの者たちは背後から迫る炎と、窓の外に待ち構える敵に立ち向かわなければならなくなっていた。
生きてここから帰るには速やかに眼前の敵を抹殺し、ここから飛び降りる。
それ以外に手は無かった。
壁際に身を隠しながら、銃撃する。
時間も残りの銃弾も限られているレオーネたちには、地上にいる敵の数は無数に思えた。
地上の敵を倒しても、倒しても、減りはしない。
逆にレオーネ側は一人、また一人とやられていくと、それだけで戦力は大きく減っていった。
もう勝ち目がない。
レオーネはそう確信した。
「お前たちのボスは俺たちが殺した!
俺たちは負けた訳ではない」
レオーネはそう大声で叫ぶと、完全に身をさらして、マシンガンを乱射した。
レオーネの放った銃弾が地上に無数の穴をあける。
そんなレオーネ目がけ、反撃の銃弾が降り注ぐ。
レオーネは体中を真っ赤に染め、手にしていたマシンガンを力なく床に落とすと、口から血を垂らして崩れ去った。
襲撃してきた者たちを壊滅させたとは言え、ベルッチファミリーの三人は大きな衝撃を受けていた。
ボスがやられた事。その上に別の大きな不安がのしかかろうとしていた。
それはロベルトの焼け落ちた屋敷跡で捜索していたもの。圧倒的な戦闘力を保有していたヒューマノイド アーシアが、あの日、ロベルトの抹殺に成功したはずなのに戻ってきていなかった。
ヒューマノイドが倒されたのか?
ヒューマノイドがマスターの下に戻る事をやめて、どこかへ行ってしまったのか?
ヒューマノイドの失踪は今後の作戦に不安要素を残すこととなった。




