116.襲撃の日
さてそんな訳で、私は実利的な雑談をしながら王子様と帯作りを続け、工一さん達は牧場とこっちとで手分けしてボロボロの剣の回収をした。
そして牧場側で集めた大量のボロボロの剣は、夕方に荷車に積んでグルスニールにひかせ、その護衛として周囲を警戒する形でジェレック君がこっちに戻って来た。
工一さんはそのまま牧場で泊まりだし、大量のボロボロの剣を運んできた台車に、追加の帯と使い捨ての装備を乗せてグルスニールにひかせ、それを護衛する形で探索組の人達が牧場に向かっていったようだ。まぁまだあるだろうけど、補充は必要か。人数調節もあるだろうし。
「この剣どこに保管しておきます?」
「[当面は使えんのだ。5振りはこちらで調べる為に持っておくが、残りは地下倉庫で良いだろう]」
そういう戦力の入れ替えがあれば、何かあると察して日付を確認して、明日が丁度2ヵ月目だって事に気付く人はそれなりにいる。いつもより早く寝る人が多かったからな。
まぁ私も準備は出来ているとはいえ、体力に余裕がある分には困らないので早めに寝るんだが。実際? 部屋に引っ込んでから、一体型PCの方なら牧場の施設にも「ジェル」を補充したりできる事に気が付いて、そういう事をやっていた。
ちょっと考えたけど、罠の追加は無し。皆大分不思議に慣れているけど、「旨蜜珠」の回収の為に外に出る人はいるだろう。ボロボロの剣だって回収できるならする筈だ。そこに、事前連絡なしで物騒なものを増やすのは良くない。
という訳でほどほどにして就寝。そして、翌日、転移1ヵ月30日目、あるいは2ヵ月目。
「襲撃! ゾンビとモンスター2種混合の襲撃! 襲撃だ!」
……全部盛り来ちゃったかぁ……。と、ちょっと遠い目をせざるを得なかったが、まぁ想定内ではある。だってゲームの『サバイバルクラフターズ』ではそうなってたからな。
とはいえ王子様がこっちにいるし、ジェレック君もいるし、大体察している人がそこそこいたので、混乱は最小限で済んだ。むしろ探索組は既に出発の準備を整えている。
まぁボロボロの剣に「旨蜜珠」と、外に出るメリットというか、外に出る事で得られるすごいものがはっきりしてるからな。なおかつ、拠点自体の防御力はとても高い。まぁ外に出ようとするか。それはそう。
「あれ? 私の担当時間少ないですね?」
「[ヤヌシは外回り担当だ]」
「えっ」
「[どうやら襲撃の時に外で修理活動をしていると、色々集まってくるようだからな。集めた所を叩いて「神の恵み」の量を増やす]」
「あー」
少ないっていうか無いな? と、予定表を見て王子様に聞いたら、予想外の答えが返って来たが、つまり囮になれって事だな。ついでに、周りの建物の内、修理が可能そうなものはここで修理に取り掛かると。
いやまぁその為の計画は工一さんが建ててくれたみたいだし、必要な情報はあるみたいだから、たぶん前から2ヵ月目に備えていたんだろうけど。
「せめてもうちょっと共有してほしかったんですが」
「[お前は大体地下にいただろう]」
「うーん」
否定はできないんだがそうじゃないというか……。
まぁここでゴネても時間が無駄になるだけなので、諦めて修理する建物の図面を確認して、建物修理に必要な道具を持ってくる。素材はスマホの謎収納に入れた。これがあるから私が修理役なんだろうな。まぁいいけど。
そして私を待っていたらしい護衛組の人達に合流し、出発。戦闘をしながらというか、出来るだけ数を仕留めながら移動する予定なので、グルスニールは無しで徒歩だ。
「ツミキさん、一軒家なら1時間で綺麗に出来るって本当ですか?」
「ばっか流石に2階建ては2時間ぐらいかかるだろ」
「天井まで届く壁の穴を10分かそこらで塞ぎ終えたとか聞きました!」
「何ですかその荒唐無稽な噂は?」
なお移動中、ちょっと待て、って話を聞く事になったが。無理だが???
むしろ、今日中に1軒が大体直ればいいな、ぐらいのペースのつもりだったんだが、まさかそんなペースで直していく事を期待されているのか? 嘘だろ?
そんな訳ない、よな……?




