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追放聖女はもふもふ達と恋をする?  作者: 街のぶーらんじぇりー


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やたら豪華な護衛

 それから、バタバタと一週間の準備の後。私はロワールに向けて出陣した。


 王都にまず寄って陛下にお会いした後、西の国境を越えてベルフォール辺境伯領に入る予定……補給物資なんかと一緒だから歩みは遅く、なんだかんだ到着するまで二週間はかかる。着いたらもう戦は終わってました、とかなっちゃったら申し訳ないなあ。


 ハインリヒ兄様に示唆して頂いた通り、連れていく兵力はわずか五百、それも軽装兵がほとんどだ。そのうち半数を獣人部隊にすることで、シュトローブル辺境伯軍っぽいところをアピールしている。何しろ、バイエルン初の獣人執政官を置いたこと、聖女シリーズ歌劇にクララやビアンカが主要人物として登場しちゃうことなんかで、「獣人大好き聖女」ってのがもう国内に知れ渡っているからね。


 そんなわけで、今回も長い馬車旅だ。座っているだけでも疲れてしまう。


「あ~、馬に乗ったほうが、景色が楽しめてよかったかも……」


 そう、私はここのところ暇だったので、乗馬の訓練に凝っていたのだ。だって、有事には軍事指揮官となる私が、馬に乗れないって何かみっともないじゃない? それに、流れる空気を確かめながら進める乗馬の旅って、何か馬車より素敵に思えたからね。


「いけません。一日中馬に乗っていたら、日焼けしてしまうではありませんか」


 だけどビアンカから一発ダメ出しを食らってしまった。まあ、そうなっちゃうか。レイモンド姉様のような民衆を惹きつけ得る目立った美貌を持たない私にとって、数少ない取柄であるところの白い肌が失われてしまったら、看板の魅力がさらに下がっちゃうってことなんだろうな。小麦色の聖女ってのも、ある意味カッコよく思えるけれど、やっぱりダメかあ。


「それに今回の遠征で、ロッテお姉さんはずっと『聖女』であらねばならないのですよ。聖女のローブで、乗馬できますか?」


 うぐっ、その通りだった。「聖女の看板」が求められている以上、それっぽい格好をしておかないといけない。乗馬用のボトムスなんて、許してもらえないよね。ゆっくりであればローブ姿で横乗りスタイルもいけなくはないけど、馬が驚いて振り落とされて……なんてことには、絶対なっちゃいけないからなあ。


◇◇◇◇◇◇◇◇


 そんなこんなで、大人しく数日馬車に揺られ、王都に着いた私。まずとるものもとりあえず、国王陛下にお目にかかるのが最優先になるわね。


 ノーアポで王宮に押しかけたというのに、ほとんど待たされることなく謁見の間に案内される。う~ん、これって私、かなり腫れもの扱いされているのかしら。


「おお聖女よ、大儀であった。東の護りを担うお主にロワールへの遠征を命ずるなど、我ながら酷なことをしたとは思うのじゃが……」

「ロッテちゃんを追い出したロワール、まして婚約を守らなかったアルフォンス陛下のために出征するなんて、本当に辛いと思うわ、ごめんなさいね」


 国王陛下にはこの際文句を言ってやろうと入れ込んでいた私だったけれど、大好きな王妃様まで並んで詫びて来られたのは意外だった……こうなると残念ながら黙るしかない。高位貴族の人たちも回りにたくさんいるし、ここは模範解答を返すしかないか。


「もちろんロワールに赴くにあたっていろいろ思うところはございますが、このたびはきちんと役目を果たしてまいりたいと存じます」


「うむ、済まぬな……戦功をあげることなど考えずともよい、聖女自身の安全を第一に考え、無事に帰ってくるのじゃぞ」


 国王陛下のご様子にもいつもの腹黒さが窺えず、私を気遣ってくれているように見えなくもない。まあバイエルンにとって、アルフォンス様が王位を保つことが極めて重要なのは、間違いないし……今回は、都合よく使われてあげるしかないかな。


 そう思っていた私は、陛下の腹黒っぷりを甘く見ていたらしい。


「我が国としては、旗印としての聖女を守らねばならぬ。そこでじゃの、そなたに最も優秀な将をつけることにしたのじゃ」


 はぁ? 私を守るだけのために将帥格の方をつけるというの? それも「最優秀」の?


 バイエルンで現在最も優れた将軍と言えば、ローゼンハイム伯爵様だ。だけど彼は全軍の総司令官、おそらく前線に出ないであろう私の護衛など、役不足ってものよね。だとすると……お婿さんのクラウス様あたりかしら、彼なら気心が知れていてありがたいわ。彼だってティアナ様のために前線で手柄を立てたいと思っているのでしょうから、申し訳ないけど……


「うむ、聖女も存じ寄りの者じゃ。ここへ呼んで居るゆえ、紹介しようかの」


 陛下が右手を上げると、侍従が玉座の背面にある扉をうやうやしく開いた。


 え? 普通の将軍なら、私の後ろから登場するはずよね? 国王の後ろから出てきてよい武将なんて、王族か……


「やあ聖女、六日ぶりかな?」


 バイエルンのものとは違う、黒一色の軍服をまとった小麦色の肌の武将は、こげ茶色の髪と明るい茶色の瞳を持った、とってもよく知っている男性で……


「テオドール様??」



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