表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
就職先は宇宙船の艦長さん  作者: 光晴さん
惑星『ケゲル』~惑星『メータム』へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/217

第94話 軽率な行動




新しい仲間になったマリアは、働き者だ。

おそらく、少しでも早くカレンたちと仲良くなじみたいのだろう。


アンドロイドの制作会社でいえば、ヘレンとマリアは別々の会社となる。

それもあって、早く俺たちに仲間として必要にされたんだろう。


何故なら、マリアは砲撃手、普段の航行では、まず活躍できないからだ。

だから、他の所で必要とされたい……。



惑星『ネスビーナス』から惑星『メータム』へ向かうために、亜空間航行に入って三日目、マリアの姿は居住区のキッチンにいた。


『マスター、これ、カレン姉様に教わって作ってみました。

味見をお願いします』


そう言って俺の座った席のテーブルに出てきたのは、卵焼きサンドのサンドイッチ。

見た目、ふんわり感が出ていておいしそうだ。

さっそく俺は、マリアにお礼を言って、卵焼きサンドにかぶりつく。


「……美味いっ!美味いよこれ、マリアって料理上手だな~」

『えへへ……。褒めてくれてありがとう、マスター』


いや、お世辞抜きで、美味い卵焼きサンドだった。

パンも卵焼きも柔らかく、本当に美味しいのだ。

パンに塗ったバター?も、何か一味加えているようで、全体をまとめている。


それに、卵焼きが絶品です。

これは、カレンが作る卵焼きサンドより、美味しいかもしれないな……。


俺が、そんな感想を持ったことが分かったのだろうか、カレンが少し悔しそうにしていた。珍しい、カレンが悔しがるなんて……。




さて、それはともかく、亜空間航行は順調だ。

ナンシー班長が、亜空間緊急通信が入ってくるまでは……。



「では、惑星『メータム』での新人募集は中止に?」

『ええ、今は緊急で引き揚げ作業に大忙しの状態よ。

こんなことになるなんて、初めてのケースだわ……』


事の始まりは、惑星『メータム』にある動画投稿サイトだ。

ここに、今回宇宙運搬会社に入り、艦長として仕事につくはずの新人の一人がやらかした。

もう分るだろう、宇宙での研修や自分が乗る宇宙船のことなどを、動画サイトに投稿したのだ。


始めのうちは、誰も信じていなかったが、暇な人たちの多い動画投稿サイトで検証が行われ、本物と判明。

後は、大騒ぎになるまで絵にかいたような流れとなった。


さらに、その男のもとには、いろんな惑星『メータム』の組織からの連絡に始まり、さらにいろいろな国家からの接触もあり、『ショルフダール』側が護りきれないと判断し、撤退することになったのだ。


ただ、騒ぎのもとになった男や、他の就職が内定した人たちをその惑星に残すわけにもいかず、家族ともども宇宙に避難させたという。

さらに、『メータム』の地上にあった『ショルフダール』の会社も引き上げたらしい。


そして、後には惑星『メータム』での騒ぎだけが残った形だ。



「それで、これからどうするんですか?」

『とりあえず、投稿された動画は削除させたけど、無駄でしょうね。

色々なところに拡散され、騒ぎは今も収束してないわ』


「こういう時は、下手に否定したりすると逆効果ですからね……。

騒ぎが治まるまで、そっとしておくしかないのかな……」

『そうね……。

でもこれは、加藤さんの地球でも同じことになりかねないわ。

少し、対応策ができるまで、地球での募集は一時ストップすることにしましょう』


「というか、地球での募集、まだやっていたんですね」

『それはそうよ、宇宙進出初期の惑星での社員募集は、昔からやっていたし、年間一人か二人しか採用してなかったから、安全と思っていたからね……』


それで、対応が後手に回ったのか……。

今は、惑星『メータム』で募集した社員とその家族を宇宙で全員研修させて、地上での騒ぎが治まるまで、宇宙で運搬業をしてもらおうと考えているそうだ。


すでに、宇宙船の手配は終わっているし、アンドロイドも用意済み、物資も俺たちが運んでいるもの以外に、いくつか届けられる予定だし、今さらすべてをなかったことにはできないそうだ。



「その投稿した本人は、どうしてます?」

『反省しているわ。

宇宙に連れてこられて真相を知り、強く責められたようね。

さらに、他の新人の社員やその家族からも怒られて、うちの社員が仲裁に入っていったんその場は治まったけど、かなり落ち込んでいたわね……』


あんまり、責めてもしょうがないんですけどね。

今の状況が変わるわけでもないし……。


「とりあえず、『ショルフダール』の社員さんにその怒られた人のフォローをお願いします。

その人を責めても事態が解決するわけではないですし……」

『分かったわ、後で連絡しておく。

加藤さんも、とりあえず物資はそのまま先方に届けてください。

向こうで、対処しますから……』


「分かりました」

『よろしく』


そう言うと、ナンシー班長は通信を切った。

……しかし、研修を動画でとって投稿とは……。

大騒ぎになるって、注意は受けなかったのかな?


俺の時は、俺が携帯端末を持ってなかったからな。

注意を受けても、どこか他人の事と思っていたと思う。

でも、今は携帯端末を持っているんだよな……。


まあ、動画投稿とかしないけど。

というか、どうやって動画投稿するのか分からない……。


俺が、腕を組んで考え込んでいると、後ろからカレンに声をかけられた。


『どうしましたか?マスター』

「いや、ちょっと自分の機械音痴が恥ずかしくなってね?」

『マスターは、機械音痴じゃありませんよ』


「……ありがとう、カレン」


カレンの励ましに、少し安心する。

それにしても、地球でも同じことになりそうな事案だな……。


……もしかして、俺の仕事って地球人の中で最も危険な仕事に就いている?




▽    ▽




亜空間航行、十日目。


残り三日で、目的地の惑星『メータム』に到着する予定だ。

が、ここで、ナンシー班長から連絡が入った。


「え!?それってどういうことですか?」

『どうもこうもないわ、そのままの事よ。

惑星『メータム』に宇宙海賊が、近づいているそうよ。

これは、銀河警察からの確かな情報だから間違いないわ』


宇宙海賊が、惑星『メータム』に向かって、何をする気なんだ?

惑星『メータム』は宇宙進出の初期惑星。

そういう惑星への干渉は、連邦法違反だ。


見つかり次第、処刑されてもおかしくない。

それに、確か何千年か前にあった『ボストム』という惑星の顛末を教訓に、この初期惑星への干渉禁止の法律ができたはず。


宇宙海賊という組織が、初期惑星へ干渉しようとしても、銀河警察が動くはず。

ならば、今回の宇宙海賊は何をしに向かっているのか……。


「ナンシー班長、戦いになりそうですか?」

『……なるかもしれないし、ならないかもしれないわね。

向こうに新人教育を任せている社員も、向かっている社員も武装はしているし、宇宙海賊との戦闘経験もあるからね……』


……これは、マリアの出番が来るのかも?







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ