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就職先は宇宙船の艦長さん  作者: 光晴さん
惑星『地球』へ 2

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第89話 宇宙船の名前




宇宙船の中を一通り見回った俺とカレンは、ブリッジへ向かう。


ブリッジに入ると、すでにオリビアとエヴァが、自分の担当の席に座り、操作パネルを弄っていた。


『マスター、これすごいよ!

宇宙船『アーサー』と全然違うよ!』

「それはそうだろう。でも、使いこなせそうか?」

『たぶん、大丈夫!任せて!』


エヴァの座るパイロット席の上から、俺が顔をのぞかせると、笑顔で感想を言ってきた。

俺としては、使いこなせるか心配だが、エヴァはやる気満々のようだ。


「オリビアはどう?通信機器は変わらないと思うけど……」

『そんなことありませんわ、マスター。

通信機器も、最新のものがそろえてありましたわ』

「使いこなせるかい?」

『問題ありませんわ、お任せください』


通信機器も、どうやら最新のものがそろえられているようだ。

オリビアも笑顔でいろいろと確かめているようだ。


とりあえず、お試しついでにロニー先輩に回線を繋いでもらった。



二階の艦長席から真正面にある大きなメインモニターに、スライムのロニー先輩が映し出される。

やっぱり、スライムが服を着ているようにしか、見えないよな……。


『どうだい?新しい宇宙船は』

「はい、スゴイの一言ですよ。

今は他の感想は言えませんが、必ず、この宇宙船を使いこなしてみたいです」


『まあ、最初はそんなものだよ。

それじゃあ、その宇宙船の登録作業といこうか?』

「宇宙船『アーサー』の時と同じですね?」


『そうだ、新しい宇宙船を手に入れた時は、必ず行わなければならないことだよ。

そうしないと、宇宙海賊と間違えられるときがあるからね。

それじゃあ、まずはその宇宙船の名前は決まっているかい?』


新しい名前か……。

前が『アーサー』だったから、次はこれしかないよな。


「はい、『イグレイン』と名付けたいと思います」

『『イグレイン』か~。

僕は『グネヴィア』と名付けるかと思ったのに、そっちにいったのか~』


「よく知ってますね、地球の物語の一つなのに」

『そりゃあ、地球のことを学んだからね~。

色々面白そうな物語とかあって、楽しんでいるよ~』


ロニー先輩は勉強家、というよりいろんな星の物語を読んでいるんだよね、確か。

だから、本好き、もしくは本の虫かな。


『それじゃあ、宇宙船の名前は決まった。

宇宙船の艦長は、加藤君の名前で大丈夫。乗組員の数は、前と同じ未登録でいいのかな?』

「はい、それでお願いします」


色々と聞いて、ロニー先輩が手元にある端末に入力していく。


『次は兵器の登録だけど、これは分かるからこっちで登録しておくね。

……『ガンジャス』製の『ロックビーナス』と。

さて、あとは加藤君に確認だね』


ん?確認?

と、それにしてもあの兵器の名前、『ロックビーナス』って言うのか……。

というか、名前があったんだな……。


「確認ですか?」

『そう、加藤君は新しい宇宙船を手に入れた。

それも兵器付きの奴をね。これは、今まで以上に大変な運搬業務を任されるかもしれない。それでも、やり遂げる覚悟はありますか?』


ロニー先輩の真剣な問いかけが分かる。

これは、これからの依頼の大変さを言っているのだろう。

ここは、俺も真剣に答えなくてはならないだろう。


「俺は、この宇宙での運搬業務を誇りに思っています。

だから、どんな依頼だろうと、必ず相手に届ける覚悟は持っているつもりです」

『……まあ、いいでしょう。

ちょっと心配だけど、合格としておこう』


どうやら、なんとか合格をもらえたようだ。

しかし、なんて答えれば文句なしの合格がもらえたのだろうか?


『……よし、これで登録は完了した。

加藤君、これからもいろんな依頼に応えて運搬業に精を出してね?

また会う時も、元気な姿を期待しているよ』

「はい、ありがとうございました。

ロニー先輩もまた会える時を楽しみにしています」


そう言うと、通信は切れた。

艦長席から、宇宙船の外を見ると、いつの間にかロニー先輩のドック戦艦は、宇宙船『アーサー』に円筒形のリングを嵌めて、固定してあった。


どうやら、俺たちが宇宙船の中をいろいろと見てまわっている間に、一通りの作業を終わらせていたようだ。

さすがに仕事が早いな……。


そして、宇宙船『アーサー』を固定したまま、ロニー先輩のドック戦艦は発進した。

全長三キロある『アーサー』を抱えての航行は、どこか滑稽に見える。


ロニー先輩のドック戦艦は、全長一キロぐらいしかない。

だから、『アーサー』の前方部分が飛び出しているのだ。

だが、そのまま、ドック戦艦は亜空間ワープに入った。


そして、一瞬で宇宙の彼方へ消えていった……。


まあ、実際は宇宙の彼方へ消えたわけでもないのだけどね……。

ロニー先輩のドック戦艦を見送った後、俺は地球に降りて買い物を済ませてくることにした。

ついでに、実家に帰って顔を見せておくか……。




▽    ▽




地球の日本に降りて、まずは銀行でお金を下ろし買い物を済ませておく。

家具や家電、食料に飲料などなど。

それから、次の日、実家に顔を出した。


「ただいま~」


俺があいさつをして、家に上がると母親が驚いた顔で出迎えてくる。

まあ、久しぶりに実家に帰ってきた感じだ。


「康介、帰ってくるなら連絡くらいしなさい」

「今日は、急にできた休みだったんだよ。

連絡する暇が無かったんだ、それに、すぐ帰らないといけないし」

「もう、桜も今日は仕事だし、呼べないじゃない……」


妹の桜は仕事か。

まあ、平日の今頃はそうだよな……。

本当は、決まった休みに帰って来たいけど、不定期だし宇宙での仕事が終わっても次の仕事がすぐに入るからな。


だから、こんな顔見せしかできないわけだ……。


「そういえば、康介さんは付き合っている人とかいないの?」


母が、コーヒーを入れながら聞いてくる。

付き合っている人って……、そんな暇ないよ。


「いないよ、そんな暇ないし……」

「そうなの?もしかしたら外国人のお嫁さんが来るのかと、ワクワクしているのに……」

「ないない、そんな浮いた話はないよ」


「残念ね~。それじゃあ、お見合いなんてどう?」

「お見合いって、時間とれないって……」

「そう?諦めるしかないのかな~」


今の生活で、俺が奥さんをもらったら、大変なことになりそうだ。

それに、奥さんに今の仕事のことを話していいものかどうか……。


そこのところを、聞いておいてもいいかな?

そんなことを話しながら、妹家族の愚痴で終わる母との顔見せの帰郷でした。


とりあえず、次に帰ってくるときは連絡をするように約束させられました。







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