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就職先は宇宙船の艦長さん  作者: 光晴さん
惑星『地球』へ 2

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第88話 新型宇宙船 2




まずは、自分たちの部屋を見ていくことにした俺とカレンは、ロビーから乗組員の個室に繋がるドアを開ける。


すると、そこにも円形状のロビーがあり、こちらは最初のロビーと違って少し狭い。

広さは十畳、といったところか。

最初のロビーは三十畳くらいあったからな……。


そこへ、一番端にあるドアからヘレンが出てきた。


「ヘレン、どう?個室は」

『マスター、ここの個室は寝室となっていますね。

ベッドは最初からついていましたが、私物を置けるスペースが少ないと感じました』

「ということは、寝るときだけ個室ってことか」


個室のドアは、六つ。

俺、カレン、オリビア、エヴァ、ヘレンの五人で分けても一つ余るな……。


「余った一つは、何に使おうか?」

『マスター、ベッドがすでに設置してありましたので、寝室以外使い道がないように思えます』

「……しばらくは、そのままにしておくか」


使い道を決められないまま、俺とカレンは、掃除を続けるというヘレンを置いて他の部屋を見てまわることに。



次に来たのは、最初のロビーから入ることのできる食堂だ。


最新の宇宙船は、少人数でも動かすことができるようになっているから、乗組員の数も少なくてすむ。その辺が分かっている設計士の設計だな。

食堂の広さは、十二畳ほど。


テーブルと椅子を並べれば、食堂というより食事をするところって感じだ。

家の食事をするところを思い出す。


また、キッチンは広々として使いやすそうだ。

動線を考えて作りこまれている。


「これ業務用の冷蔵庫か?」

『大きな冷蔵庫ですね。

宇宙船『アーサー』にある冷蔵庫も大きかったですが、これはその倍はありそうです』

「いろいろ入りそうだな……」


キッチンの奥には、野菜などを置いておく保冷室があった。

ここは、三畳ほどの広さだが、温度管理もできて便利そうだ。



次に向かったのがトイレだ。


実は、トイレを使用するのは俺しかいない。

アンドロイドは排泄をしないので、使うことが無いそうだ。

食事などでとり込んだものは、身体を動かす栄養にすべて分解されるらしい。


ただし、暴飲暴食をすると、たまに排泄することがあるらしく一応トイレの使い方も知っている。


「……トイレ、良し」


あと、宇宙船のトイレは、地球で知られているトイレの形をしていない。

何故なら、重力をコントロールすることができるからだ。


宇宙船内部の重力は地上と同じ、1Gと安定している。

これは、宇宙船を回転させてつくる疑似重力とは違い、惑星が生み出す重力に近いとか。その構造や原理は、よくわからなかったがさすが進んだ科学は違うのだろう。


とにかく、そんな重力のおかげで地上と同じトイレが設置できるわけだ。



次に向かったのはお風呂だ。


脱衣所は十畳あり、浴室は二十畳の広さがあった。

まるで、温泉旅館並みである。

脱衣所に設置される洗濯機は、地球の物を置く予定だ。


実は、こうした家電製品は、宇宙の進んだ科学で造られたものは設置されない。

何故なら、アンドロイドはともかく、俺が使うことができないからだ。


無論、使い方を知り使うことはできる。

が、それでは地球の家電が使い難くなるだろう。

全自動洗濯機になれた者が、すべて手で洗う洗濯板に戻りたいかといわれれば……。

それと同じことが起きてしまうのだ。


そのため、家電などは地球のレベルで抑えている。



色々見てまわったが、大変住みやすい構造になっていると思う。

しかし、足りないものも多いので、新しい宇宙船に乗り換えた後、地球で仕入れてこなければならないな。


『マスター、貨物部への引っ越し終わりましたー!』


そこへロビーに入ってきたのが、エヴァとオリビアだ。

俺を見つけたエヴァは、すぐに報告してくれた。


「ご苦労様、エヴァ、オリビア」

『私たちの部屋は、どこになりますの?』

『オリビアたちの部屋は、そこの個室へつながるドアの向こうですよ。

まだ、どこが誰の部屋と決めてないからオリビアたちが決めていいですよ』


『分かりましたわ。エヴァ、確認しましょう』

『うん!また後でね、マスター!』


そう言うと、個室へつながるドアを開けて入っていく。

俺とカレンは、この宇宙船の他の場所を確認するために、居住区を出て行った。



今回の新しい宇宙船は、二つに分かれるのが特徴だ。

そのため、貨物部はただ広いだけの場所であり、いろいろ荷物を積み込むことができるほど広い。


エレベーターを使って宇宙戦艦部の最下層へ降りると、貨物部へつながるハッチがあるのだが、ドッキング時にはこれが開放される仕組みのようだ。

スロープ状になった広い通路を通り、貨物部へ到着する。


「………これはまた、『アーサー』より広くないか?」

『貨物部は全長が約二キロほどあります。

マスターが、広く感じるのは高さが『アーサー』と違うからでしょう』


確かに、これだと地球の豪華客船が何隻積み込めれるか……。



最後は宇宙船の要の動力部、なのだが……。


「なあカレン、この宇宙船の重要部分でもある動力部が、この狭さでいいのか?」

『はい、問題ありません。

近年の宇宙船の動力部は縮小化が進んでおります。

そのため、宇宙船の大部分をとっていた動力部は、今やこの大きさまで縮小されました。この動力部で、大気圏突入や離脱、さらにワープなども可能な推進力を得ることができます』


マジかよ……。

動力部って、ここ、十畳ぐらいしかないぞ?

色々見たこともない、何これ、という形のものが多数あるが、全体的にいえることは、これだけで大丈夫なのか?ってこと。


この宇宙船の大きさは約二キロと少し。

さらに、宇宙戦艦部でも約五百メートルある。

それを動かすには、小さい気がするが……。


「そういえば、この動力部で武器のエネルギーも賄えるのかな?」

『武器のエネルギーは別ですよ、マスター。

この動力部は、あくまで推進力の動力部です。

兵器関連の動力部は、宇宙戦艦部の前方にあります』


ということは、兵器の下の所か。

それじゃあ、そこも確認といきますか。



「……立ち入り禁止?」

『はい、兵器類は技術が外部に漏れるのを防ぐため立ち入り禁止となります』


カレン曰く、兵器類は軍事機密が当たり前のもの。

そのため、故障やメンテナンスを頼む場合などは、この兵器を作ったところにお願いするらしい。


そのため、兵器部分だけで取り外しが可能となっていて、お願いする場合は、そこを外して送るのだとか。

面倒くさいようだが、軍事技術を外部に漏れないようにするための処置なのだそうだ。


「ほとんどの兵器は、外部委託なの?」

『はい、その軍で使わないのであれば、そうなります。

そもそも兵器類は、民間は必要ありませんからね。

運搬業には、『シールド』が義務付けられていますし、宇宙海賊は軍の宇宙戦艦を襲って兵器を手に入れているようですよ』


宇宙海賊、すごいな……。

でもまあ、正面から襲うってことは無いよね……。



これで、見るところは見たかな……。








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