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就職先は宇宙船の艦長さん  作者: 光晴さん
惑星『ニッカス』~惑星『セネリーオル』へ

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第82話 大気圏突入




「三十番艦、被弾!戦線離脱します!」

「六番艦を下げさせろ!三十番艦の抜けた穴をふさげ!」

「本艦の右から宇宙海賊、十隻が近づいてきます!」


惑星『セネリーオル』の衛星軌道上で始まった戦いは、消耗戦に入っている。

すでに、我々の味方の宇宙戦艦は、五十二隻から三十五隻まで減っていた。


もうすぐ、ここへ惑星『セネリーオル』への降下部隊を載せた宇宙船が到着する。その宇宙船が、降下部隊を地上へ降ろすまでが我々の仕事だ。


「降下部隊を載せた宇宙船はまだか!」

「今、後方から来ました!」


オペレーターの一人が声をあげ、モニターに映し出される。

それは、かなりの大型宇宙貨物船で、全長が三キロもあった。


「デ、デカいな……」

「その宇宙船から連絡です!

『我の宇宙船を盾にして攻勢に出られたし』です!」


この宇宙戦艦の横を、宇宙海賊の船からの攻撃を受けながら悠々と通り過ぎていく。

これが『シールド』を搭載している宇宙船なのか……。


「宇宙船の好意に甘えるぞ!反撃開始だ!」

「「「ハイッ!!」」」


デビット・リンドが集めた宇宙海賊の宇宙戦艦を相手に、劣勢を強いられ始めていた我々は、これを機に反撃に出る。




▽    ▽




俺たちが、宇宙艇を受けとり惑星『セネリーオル』へ近づくと、すでに戦闘は始まっている。

一進一退の攻防を繰り広げていたと思えば、あちこちから宇宙海賊の宇宙戦艦が現れ始める。


この戦闘は連邦政府も把握していたみたいで、惑星を隔離するために派遣されていた連邦艦隊が、今はどこにも見えない。


「カレン、この惑星、確か、連邦艦隊がいなかった?」

『……今はいないわよ、マスター』

『オリビアの言う通り、事前に知らされていた可能性があります』


と、言うことは、ミャリーさんたちの計画は、連邦側に筒抜けだったってことかな?

それとも、連邦側も協力していたか……。


「とりあえず、今は荷物を届ける!

それが、俺たち運搬屋の仕事だ!エヴァ、全速前進!」

『了解!マスター!』


嬉しそうに、操作パネルを操作し、宇宙船『アーサー』を操るエヴァ。

そして、目の前に見える景色は、ビームやミサイル飛び交う戦場だ。


俺たちの宇宙船にも直撃するが、たいして効果は無い。


「オリビア、ミャリーさんたちの味方の艦にこの宇宙船を盾に使ってと、メッセージを送っておいて!」

『分かりましたわ』


これで、反撃しやすくなるはず……。



次々と攻撃を受ける中、俺たちの宇宙船『アーサー』は進んでいく。

時には、宇宙海賊の宇宙戦艦が体当たりをしてこようとするが、近くにいる味方の宇宙戦艦が、それを阻止して撃ち合いになったりしている。


『マスター!もうすぐ、惑星の大気圏突入ポイントにつくよ!』

「了解!ありがとう、エヴァ。

聞いてましたか?もうすぐ、大気圏突入ポイントです!」


俺は、艦長席に座ったまま、貨物室の大気圏突入用宇宙艇に乗り込んで待機しているミャリーさんとクラリスさんに連絡する。

すると、モニターに、ミャリーさんとクラリスさんの姿が映し出された。


『了解!確認したわ』

『ポイント到着と同時に、射出してくれ!』

「了解しました。

カレン、タイミングは任せる!エヴァ、後方貨物室のハッチ、解放!」


『了解しました、マスター』

『了解!後方ハッチ、解放します!』


宇宙艇の操縦席で、シートベルトをして待つミャリーさんとクラリスさん。

その表情は真剣そのものだ。



『カレン!』

『宇宙艇、射出!』


エヴァのタイミングで、カレンが宇宙艇を射出した。

宇宙船『アーサー』のブリッジのモニターに映し出される、大気圏突入していく宇宙艇。


そこへ、宇宙海賊の宇宙戦艦からミサイルが発射された。

その標準が大気圏突入している宇宙艇に向かっていた。


「エヴァ!緊急逆噴射!」

『き、緊急逆噴射!』


急に速度を落とした宇宙船『アーサー』に、宇宙海賊の宇宙戦艦から射出したミサイルが全弾命中。

しかし、『シールド』に守られていたためまったくの無傷だ。


が、緊急に速度を落としたため、惑星の重力につかまってしまう。

宇宙船全体が揺れ、大気圏突入時と同じように船体が真っ赤になり燃え始めた。


『マスター!緊急事態発生!船体が落ち始めてる!!』

「全ブースター点火!重力圏から離脱するぞ!!」


すぐに、エヴァが操作パネルを操作し全出力で脱出を図る。

しかし、今一つ浮かび上がらない。

ずっと、大気圏突入時の摩擦熱が現れている。


まるで、惑星の大気圏を滑っているような感じだ。


『マスター、船体に融解箇所が出始めています!』

「エヴァ、姿勢制御スラスターも使って!」

『了解!制御スラスター全開!』


船体の下方部が融解を始めたところで、何とか脱出するため船体下方部の姿勢制御スラスターも使用することに。


『上がれ~!!』


エヴァが祈りを込めて叫ぶと、それが効いたのか大気圏を離脱した。

だが、ここで俺は重大なミスを犯していたことに気が付く。


そう、シールドレベルを上げれば大気圏突入の際のような摩擦熱を防げたことに。

ことが終わってから気付くとは……。




戦闘宙域から、だいぶ離れたところに出た俺たちの宇宙船『アーサー』は、そのまま惑星『セネリーオル』を離れ、ミャリーさんとクラリスさんとの通信が届く衛星の月付近に待機することにした。


『マスター、融解箇所が十二、損傷個所が二つ確認できました』

『こっちも点検終わったよ、マスター。

ブースターノズルの三か所に融解箇所を発見、これは修理だね』

『通信アンテナも、いくつか無くなっていましたわ』


……これは、酷い状況だな。

一応、ミャリーさんたちとは通信ができるみたいだけど、修理が必要か。

ナンシー班長に相談だな……。







大気圏突入時の熱は、摩擦熱ではなく『断熱圧縮』によるものだそうです。

私もよく知りませんでしたが、ここはあえてわかりやすい摩擦熱でこのままいきます。

が、今後の話で指摘するかもしれません。

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