第72話 計画と白の艦隊
「次は、どこへ行くんですか?」
「次は、惑星『クルビー』にある衛星基地『ダンカー』に向かって下さい。
そこで、会わないといけない人物がいますので……」
会わないといけない人物?
もしかして、今回と同じような感じで会う人なのか?
合言葉を言って確認するような……。
……とりあえず、依頼者の言うように運びましょうか。
これも、一応仕事ですし。
俺は、惑星『クルビー』の座標を確認するため、カレンを見ると既に座標をすでに調べ終わっていた。さすがだ……。
『マスター、惑星『クルビー』の座標を調べました』
「ありがとう、カレン。
エヴァ、座標入力後、惑星『クルビー』に向けて発進!」
『了解!惑星『クルビー』の座標………入力完了!
亜空間長距離ワープ、始動!』
エヴァの宣言の後、すぐに宇宙船『アーサー』のブリッジから見える景色が変わる。亜空間航行に入ったようだ。
「カレン、『クルビー』までの航行時間は?」
『十日です。惑星『クルビー』は、現在、放浪期に入っているようで、恒星から少し離れているみたいです。
そのため、この日数になるようです』
恒星から離れる?
恒星って太陽みたいな星のことだよな、自ら燃える星。
その太陽から、離れる惑星が宇宙にはあるんだな……。
これぞ、宇宙の神秘ってやつか……。
「惑星『クルビー』ってどんな星なんだ?」
『惑星『クルビー』は、百年前後ごとに恒星からの周回軌道を変えるようです。
その時、『クルビー』の衛星も一緒に移動するみたいで、基地としたようですね』
なるほど、宇宙ステーションやスペースコロニーはその移動について行けないということで無いわけか……。
『『クルビー』の総人口は、約五十億人。
衛星にある地下都市などに約十億人ずつ、別れて居住しているようです』
「ずつってことは、衛星都市っていくつもあるの?」
『はい、『クルビー』にある衛星は三つ。
『マチン』『キグマ』『オペス』といいます。そこの地下に都市を築き、住んでいるみたいですね。
連邦政府との繋がりは、今から約670年程前です』
連邦政府と交流があるなら、かなり科学技術の進んだ惑星ということか。
……地球も早く、連邦政府とつながりを持てばな……。
▽ ▽
亜空間航行、六日目。
夕食を食べ終え、食堂でコーヒーを飲みながらまったりしていると、ミャリーさんが真剣な顔で話し始めた。
ここのところ、何か考え込んでいたけど……。
「加藤さん、それにみんな、私の話を聞いてほしい。
これ以上は、どう考えても加藤さんたちを巻き込みそうなので、私たちの計画を聞いてほしいの」
ミャリーさんたちの計画か……。
おそらく、惑星『セネリーオル』へ『超新星の涙』を届けること。そして、惑星『セネリーオル』の人々の救済に、元宇宙海賊の鉱物商デビット・リンドをどうするか、だろうな……。
この間の中堅ステーションで待ち合わせたキニーという人も、ミャリーさんの仲間だろうし、いろいろと動いているみたいだ……。
「その計画というのは……」
「惑星『セネリーオル』の救済を目的とした、デビット・リンド討伐計画よ」
「討伐、ですか……」
ミャリーさんの話は、かなり前から計画しすでに始まっていた。
デビットの情報を得るために、すぐそばに人を送り込み、情報を流してもらっているというスパイ計画。
そこで得られた情報をもとに、デビットの討伐計画を考えていたようだ。
でも、どうやって討伐するのか。
デビット・リンドは、元宇宙海賊の時の人脈と鉱物商になってからの人脈を持ち、表では鉱物商として動き、裏では宇宙海賊たちを使って獲物を斡旋していた。
そのため、デビットを何とかするためには、つながりのある宇宙海賊を何とかしなければならない。
そこで、ミャリーさんたちが目をつけたのが、連邦の矛、色の艦隊。
これから会いに行く人物が、その色の艦隊との交渉役になっているそうだ。
どうにかして、その色の艦隊を動かすことができれば……。
「色の艦隊か……。
俺が今まで聞いたことあるのは、『赤の艦隊』『青の艦隊』『緑の艦隊』の三つだけか。
それでも、結構重大なことなんだな……」
『そうですね、連邦の色の艦隊は、いわば連邦政府の力そのもの。
その艦隊と接触したことある私たちは、ある意味幸運だったのかもしれません』
俺は、ミャリーさんが交渉している色の艦隊について聞いてみた。
「ミャリーさんが、交渉している色の艦隊って、何色なんですか?」
「私たちが交渉しているのは、『白の艦隊』よ。
色の艦隊の中で、最も数が多い艦隊なの。
デビットとつながりのある宇宙海賊を相手にするのよ?数が多くないと……」
なるほど、戦いは数だよ、というわけか。
確かに、相手は元宇宙海賊の男。どれだけの繋がりがあるか分からないからな。
数が多い方が、対処できるということか。
「……そういえば、色の艦隊って呼び方がいろいろあるのかな?
『赤の艦隊』とか『青の軍隊』とか『緑の部隊』とか、そう聞いたことを思い出したんだけど……」
『マスター、色の艦隊は連邦の力そのもの。
ですから数が多いのです。
それぞれの色ごとに、分けているようですよ。
『軍隊』というのは、色の軍隊というのが正しい呼び方です。今は色の艦隊で通っていますが、本来は色の軍隊が正しいようですね』
「へぇ~、ならなぜ色の軍隊ではなく色の艦隊と?」
『それはおそらく、宇宙だからでしょう。
宇宙での主力は、宇宙戦艦による艦隊戦になります。
そこから、色の艦隊と呼ばれるようになったのだと推測できます』
確かに、宇宙空間で歩兵のできる戦闘って無いに等しいものな。
敵の宇宙船に乗り込んでの戦闘なら、歩兵も活躍できるだろうけど、やっぱり主戦は艦隊戦になるわけか……。
「話を戻すけど、その『白の艦隊』は、動いてくれそうなんですか?」
「分からないわね。キニーとの話だと、『白の艦隊』は動いてくれそうなことを言っていたけど……」
それって、クラリスさんがどうのこうの言っていた話か。
確かに、任せて大丈夫とか言っていたな……。
「確か、クラリスさんでしたっけ?」
「ええ、『白の艦隊』との交渉を任せている人物よ。
何でも、『白の艦隊』の偉い人に知り合いがいるとか言っていたわ」
それで、任せて大丈夫、ということか。
『白の艦隊』か。
数が色の艦隊で一番多いみたいだけど、どんな艦隊なんだろうな……。
宇宙戦艦とか、カッコいいのかな?




