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就職先は宇宙船の艦長さん  作者: 光晴さん
惑星『ニッカス』~惑星『セネリーオル』へ

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第68話 メイド服を着た依頼者




惑星『オーハス』、地球と同じ青いこの星は、今から千年ほど前に連邦の傘下に入った。

そのため、連邦政府からの技術支援によって今や連邦の傘下の惑星の中でも、十番以内に入るほど科学技術が進んだ惑星となっている。


その『オーハス』にある宇宙ステーションにある、宇宙港に俺は降り立った。


「え~と、資料によれば宇宙港の十二番ゲートロビーで待ち合わせのはずなんだけど……」


俺が、キョロキョロとロビーを見渡していると、一人の女性がコソコソと近づいてきた。

フードを深めにかぶり、俺に近づく。


「あの、『ショルフダール』の方ですか?」

「え?ああ、はい、そうです。ミャリーさんですか?」

「はい、今回はよろしくお願いします」

「いえ、こちらこそ、よろしくお願いします」

「では、早速行きましょう」

「あ、はい」


そういう会話の後、ミャリーさんに促されるように、俺たちは宇宙船『アーサー』に乗り込むことに。

ミャリーさんは、終始周りを気にしているようだが、俺が確認したかぎり怪しい人はいなかった。


宇宙港の受付で手続きを終え、宇宙船『アーサー』へ乗り込む。

ただ、ミャリーさんは、宇宙船『アーサー』に乗り込むまで、周囲を気にするだけで一言もしゃべらなかった。




▽    ▽




宇宙船『アーサー』に乗り込むと、ようやくホッとし肩の力を抜く。

そして、俺に謝ってきた。


「すみません、何もしゃべらずにここまで連れてきてもらって……」

「いえ、別に構いませんが、追われているのですか?」


俺が、そう質問すると、ミャリーさんは顔を横に振って否定する。

また、追手は研究機関の関係者か?という質問にも同様に顔を横に振って否定した。


そして、ブリッジへ向かう宇宙船の通路で自己紹介を済ませる。


「今回は、私の依頼を受けてくれてありがとうございます。

私はミャリー・ホルネと言います」

「こちらこそ、宇宙運搬会社『ショルフダール』の加藤といいます。

目的地まで、無事、ミャリーさんを送り届けさせてもらいます」



俺は、ミャリーさんをブリッジに案内すると、宇宙ステーションを出発する。


「それで、どこへ向かえばいいのですか?ミャリーさん」

「まずは、惑星『ニッカス』にある宇宙ステーション『キダ22』へ向かって下さい。そこで受け取らなければならないものがありますので……」

「分かりました」


俺は、惑星『ニッカス』がどこにあるか分からないので、カレンの方を見ると、すぐに手元にあるパネルに打ち込み、場所を調べてくれる。


『マスター、惑星『ニッカス』の位置が分かりました』

「よし、エヴァ、惑星『ニッカス』へ向けて、発進!」

『了解、マスター!

惑星『ニッカス』の座標……入力完了!亜空間長距離ワープ、開始!』


そう言うと、ブリッジから見えていた景色が一気に変わり、亜空間航行に入った。


「カレン、『ニッカス』までどのくらいかかりそう?」

『……距離的に、亜空間航行で二日です』

「了解、それじゃあミャリーさん、目的地に着くまでの間、寝泊まりする部屋に案内します」

「よろしくお願いします」


そう言い、頭を下げてきた。




▽    ▽




ミャリーさんを、カレンと一緒に部屋へと案内すると、お腹が空いたのか俺の腹が鳴る。

三人で、クスリと笑い、俺たちはミャリーさんを食堂へと案内した。


「ここが、食堂です。

航行中は、ここでなるべく食事をとってください。

飲み物もありますので、のどが渇いた時などにはここにお願いします」

「分かりました」


そこで、さっそく俺はカレンに食事をお願いする。

ミャリーさんは、地球の日本の食べ物は初めてなので、俺と同じものをお願いした。


食事が出てくるまでの間、少しミャリーさんと話すことに。


「ミャリーさんは、故郷の星以外の食事って大丈夫なんですか?」

「ええ、これでも生体強化していますからね。

大抵のものは大丈夫ですよ」


そう言いながら、今までかぶっていたフードをとり、コートを脱ぐ。

すると、資料の画像の通りのメイド服が現れた。

全体の色は黒、エプロンなどは白で、細かいところまでこだわりが見てとれるほど完璧なメイド服だ。


ただ、靴だけは服装に会っていない最新の宇宙靴だった。

少し派手な装飾で、いろいろな機能が付いていそうだ。


「……やっぱり、メイド服なんだよな……」

「?加藤さんは、この服のこと、ご存じなんですか?」

「えっと、それメイド服ですよね?」


すると、ミャリーさんはすぐに笑顔になりご機嫌な感じになった。


「はい、その通りです!

いや~、この服のことを知っている方とこんなところで会えるとは思いませんでした」

「えっと、どういうことですか?」


俺は困惑気味だ、ご機嫌なミャリーさんとは対照的に。

それはそうだろう、メイド服は地球の文化の一つ。

そんな服が、宇宙のどこかで同じように文化の一つとして、花咲いているとは思わなかったのだ。


「実はこの服、『初めの人類』の中に出てくる人の衣装の一つなんです。

あ、『初めの人類』とは、連邦政府を造り上げた人類の逸話ことで、初めて一つの銀河を統一した人たちの事なんです……」



『初めの人類』は、呼び方は様々だが、新人研修の授業ではそれまで支配されていた銀河を、譲り受けた人類系統の祖先の物語と教えてもらっている。


今から四千年以上前の出来事で、宇宙に進出した人類系統の祖先は、それまで宇宙を統一して支配していた者たちから、いくつかの銀河といくつかのテクノロジーを譲り受け、連邦政府を造り上げたらしい。


もちろん、連邦政府樹立後も、苦労は絶えないのだが何とか形にして今に至る、とのことだ。


その、人類系統の祖先の文化の一つにメイド服が存在する……。

もしかすると、地球と同じような歴史をたどってきた人たちなのかもしれないな。

ただ、宇宙へ進出したタイミングが違うだけで……。



「そういえば、依頼にあった『宝石』はちゃんと持っていますか?」


俺は、ミャリーさんの機嫌がいい今のうちに聞いておくことにした。

後で確認するときに、無かったではすまないからね。


「ええ、それならここに」


そう言って、何もない空中からメガネケースぐらいの黒い箱を取り出した。

亜空間倉庫を持っているとは、さすがだな。


「亜空間倉庫を持っているんですね?」

「ええ、惑星『オーハス』では、当たり前の技術ですからね。

ただ、倉庫の大きさは個人個人で違いますから、便利とは言えないこともあるんです」


確かに、亜空間倉庫の大きさは人それぞれだ。

俺は何故か、小学校の体育館ぐらいの大きさになったが、ミャリーさんは違うのだろう。


そんなことを考えていると、ミャリーさんが黒い箱を開けて中にある『超新星の涙』を見せてくれる。

透き通った青い宝石の中に赤い核がある。


資料の画像の通りだ……。


「綺麗な宝石ですね……。触ってもいいですか?」

「ええ、構いませんよ」

「では……」


そう言って、俺は宝石の表面を撫でようと触ったら、目の前の宝石が消えた。

それだけじゃない、周りの景色も一変し、白い空間の中に立っていた……。


「………え?」








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