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就職先は宇宙船の艦長さん  作者: 光晴さん
惑星『コベルキル』~惑星『シンガー』へ

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第48話 現政府軍と逃走




我々は、敵勢力の艦隊と交戦になった。

月の『モーガス』にある我が政府軍の基地に、避難民を収容しようという案が出たため、周辺に展開してた敵勢力の排除にかかったのだ。


ところが、思いのほか反攻が激しく『モーガス』にある月基地が落とされてしまった。

何とか挽回しようと、もう一つの月である『レレン』にある基地の戦力を使い強襲。


敵対勢力を一掃することに成功した。

ところが、敵対勢力も戦力を残しており、避難民のもとに向かおうとした我々にまで攻撃を仕掛けてくる始末。


現政府の大臣が乗っている、この艦隊に攻撃を仕掛けてくるとは……。



「艦長、敵勢力の艦隊の攻撃が激しすぎます。

この先に何か奴らにとって大事なものでもあるのでしょうか?」

「……この先にあるものと言ったら、避難民がいるコロニー群だけだろう?」


「もしや、そこに敵対勢力の重鎮がいるのでは?」

「大臣、ブリッジには入らないように言ったはずですよ?」

「艦長室なんかで、じっとしておられるか!儂も戦うぞ?!」


いい歳して、何を言っているんだ?この大臣は……。

あなたを守るために、この艦隊がいるんだよ!


しかし、ここまでの抵抗をされるということは、何かあるのだろう。

進むか退却するか考えていた時、通信士から警告される。


「艦長!ワープアウトしてくる宇宙船があります!」

「何?!どこにだ!」

「……前方、第一戦隊艦の後ろです!」


ということは、一番前で敵戦艦と戦っている宇宙戦艦たちの後ろか!


そのことを理解した俺が、ブリッジから前方に視線を向けると、巨大な宇宙船が出現した!


「で、でけぇ……」

「俺たちの戦艦の、何倍あるんだ?」

「……!通信士!すぐに連絡をとれ!ここは戦闘宙域だぞ!」

「は、はい!」


こんなところに出現するとは、どこの所属か!

しかもあの形、どこかで見たことある宇宙船だ……。


「!艦長!ちょうどいい、あの大きな宇宙船を盾にして攻撃をするんだ!」

「大臣!あれがまだ、どこの宇宙船かもわかってないんですよ?」

「こんなところに出てきたのが運のつきだ!

敵だろうが味方だろうが関係ない!利用する物は利用して、先に進め!」


この大臣は、何という……。

しかし、我々は現政府軍、上の命令には逆らえんか……。

許せ……。


「艦隊をあの巨大宇宙船の後ろに展開!攻撃を続行しろ!」

「ほ、本気ですか?!艦長!」

「復唱はどうした!」

「……りょ、了解!巨大宇宙船を盾にして、艦隊を展開します!」


すまんな、どこの宇宙船か知らないが……。

しかしその時、巨大宇宙船に動きがあった。

何と!戦線を離脱していくではないか!


我々が手をこまねいている間に、巨大宇宙船が方向を変え、下方向へ避難し始めた。

しかも、敵艦隊からの攻撃を受けてもビクともしない。


「……あれは、まさか!『シールドシステム』か!」

「艦長!『シールドシステム』も持っているってことは!」

「分かっている!」


まさか『シールドシステム』とはな。

ということは、あれは軍関係の宇宙船ではないということ。

しかも、別の惑星からの宇宙船だ。


さらに、『シールドシステム』を搭載できる宇宙船は、限られた業種のみ。

ムムム……。



「何をしている!あの巨大宇宙船が戦線から逃亡してしまうぞ!」

「逃亡って、大臣。あれは、どこの宇宙船だか分かっているんですか?」

「お前たちは、分かっているのか?!

ここは我らの政府の法律が優先される!あれを捕まえて利用しろ!」


この老人、本気か?!

『シールドシステム』を持つ宇宙船は、宇宙連邦政府の連邦法で守られている。

もし、私的利用しようものなら連邦政府が黙ってないぞ?


「だ、大臣!あれに手を出しては……」

「黙れ!敵前逃亡で、あの宇宙船を拿捕するんだ!」


くっ、上の命令には。逆らえないか……。


俺はすぐにブリッジにいる部下に命令する。

こんな命令は出したくないのだ!だが、上の命令には逆らえない……。


「敵前逃亡をした宇宙船を追いかけて拿捕する!

他の艦隊は、我が艦を援護しつつ前進!」

「りょ、了解!いいんですね、艦長!」

「ああ……。通信士!巨大宇宙船に呼びかけろ!

敵前逃亡は重罪だ、とな!」

「了解!」


こうして、我が艦は、巨大宇宙船を追いかけることになった。

俺の後ろで、ニヤつくこの大臣を撃ち殺してやりたい!



「艦長!敵勢力からも一隻、巨大宇宙船を追いかけるために離れていきます!

このままだと、戦うことも……」

「蹴散らせ!蹴散らして、あの巨大宇宙船を手に入れるのだ!」

「……か、艦隊戦用意!このまま追いかけながら、射程距離に入ったら撃て!」


……クソッ、やはり現政府はクソの集まりだ!




▽    ▽




戦線を離脱しようとしている俺たちの宇宙船『アーサー』に、前方と後方の艦隊からそれぞれ一隻づつ近づいてくる。

前から近づく宇宙戦艦は、何も言ってこないが、後ろからくる宇宙戦艦は、敵前逃亡だとか何とか、うるさく言ってくるようだ。


オリビアが、最初に敵前逃亡だとか叫びだしたころから、通信を遮断した。

聞くに堪えなかったようだ。


「エヴァ、下方向へはそのままで、取り舵いっぱい!」

『了解!マスター。方向このまま、取り舵いっぱい!』


ここは、右から左へ方向を変える。

うむ、急な方向転換をしても、ブリッジには何の影響もない。

艦内の重力コントロールが完ぺきな証拠だ。



『マスター、後ろの宇宙戦艦が、前方の宇宙戦艦へ向けて攻撃を開始しました』

『それを受けて、前方の宇宙戦艦も攻撃を開始、戦闘が開始されました』


カレンとヘレンの報告を受けて、ウンザリする俺がいる。

こんな時でも、戦いは続くのか、と。


しかし、この戦いが、俺たちに幸運ももたらした。


『マスター、ショートワープに支障のない宙域に入ったよ!』

『どうやら、例の二隻が戦闘を開始したため、この辺りに漂っていた微細なゴミが焼き払われたものと思われます』

「それは幸運だ、すぐにショートワープ、用意!」


エヴァが、カレンから座標を教えてもらい、打ち込む。

オリビアは索敵を展開し、戦闘が行われている宙域を表示した。

それを見て、再度座標が変更され、打ち込まれる。


『マスター!準備完了!』

「よし、ショートワープ!」

『了解!ショートワープ!』


二隻が戦闘を行っている隙に、宇宙船『アーサー』は、その大きな姿を一瞬で消した。

それを確認した二隻の宇宙戦艦は、操縦を誤り、ほぼ同時にお互いの攻撃の直撃を受け、そのまま撤退。


こうして、この宙域での戦闘行為は終了したのだ。








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