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就職先は宇宙船の艦長さん  作者: 光晴さん
惑星『コベルキル』~惑星『シンガー』へ

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第47話 戦闘宙域




惑星『コベルギス』のコロニーから支援物資を載せ、惑星『シンガー』に向けて亜空間長距離ワープを使って、今日で二日目。

明日のお昼過ぎには、ワープアウトして惑星『シンガー』に到着する。


ただ、惑星『シンガー』の一部では戦闘が繰り広げられているらしい。

そこだけは、どうにかして避けないとな……。


そんなことを考えながら、俺は今、食堂で昼食をとっている。

今日のお昼は、『カルボナーラ』だ。


「今日の食事も、美味しい!」

「本当に、こんな美味しい食事は羨ましいです」


ニニシアさんとマナルルさんが、食べながら感想を言ってくる。

この二人は、本当に美味しそうに食べるんだよね。


「うん、美味しいよカレン。

でも、いいのか?卵使ってしまって……」

『ありがとうございます。いいんですよ、マスター。

この依頼が終われば、地球に寄れるみたいですから』


そう、食料がかなり減っているんだよね。

卵も、今食べた『カルボナーラ』で終わったみたいだし、他にも買い出ししておかないとな……。




食事も終わり、まったりと食後のコーヒーを飲みながら、話をする。

ニニシアさんとマナルルさんのことだ。


「ニニシアさんとマナルルさんは、この依頼で体験就職も終わりになりますけど、どうでしたか?宇宙の運搬業は」


ニニシアさんは、少し考えて、一口コーヒーを飲み答えた。


「この間も言ったけど、もっと気楽な仕事だと思っていたわ。

本音を言えば、ここの食事が忘れられなくて、体験という形で入ったんだけど、こんなにも大変なものだなんて思わなかった」


「お嬢様も私も、何もできませんでしたね……」

「私たちには、責任がないんだもの。

コウスケは、その責任があるために何度も何度も上司の送ってくれた資料を読んでいたし、カレンたちだって、コウスケのことを気遣いながら支えていた。

でも、私たちは……」


ニニシアさんがそう言うと、ニニシアさんもマナルルさんも黙ってしまった。

飲みかけのコーヒーを見つめながら……。


「……どうですか?この仕事、やってみたくなりました?」


俺がそう声をかけると、ニニシアさんが首を横に振る。


「無理ね、私にはできそうもないわ。

体験就職の期間、何度も的外れな口出ししていたし、この仕事の本当の大変さというものを今になって理解したわ」

「そうです、お嬢様がこの運搬業をしたら、毎回クレームで大変そうです……」


マナルルさんのその言葉に、俺たちは、配達先や依頼者に文句言ったりしているニニシアさんを想像して苦笑いだ。


「私はやっぱり、真実を追求したい。

コウスケたちの仕事を側で見てきて、コウスケたちも遊んだりもしたけど、仕事の時は生き生きしているのよね。

そんな姿を見て、自分の居場所っていうのを考えさせられたわ。

ミアと別れて、今回の依頼の詳細を聞いて、気づいたの。私の居場所にね……」


ニニシアさんの居場所か。

ここに、ニニシアさんたちの居場所はなかったってことかな……。


今回の依頼の詳細を聞いて、何か言いたそうだったけど、気づいちゃったんだろうな。自分には何もできないってことに。


それで、思い出したってところか……。

自分のやりたいことは、真実を追求すること。

遺跡調査のこと、思い出したんだね……。


……そういえば、俺はどうだったかな……。

俺の初心は……。




▽    ▽




次の日、俺たちは全員ブリッジにいて、ワープアウトに備えていた。


『マスター、ワープアウトまで三十分弱です!』

「了解。カレン、ワープアウトする場所は戦闘宙域ではないよね?」

『はい、マスター。

ナンシー班長様の資料にも、戦闘宙域は主に、惑星『シンガー』の二つの月の一つ『モーガス』付近でおこなわれているようです』


惑星『シンガー』にある二つの月、『モーガス』と『レレン』。

『モーガス』付近で戦闘が行われてる理由は、現政権軍の基地があるからと、資料にあったな……。


おそらく、反政府勢力がそこを攻めて戦っているってことだろう。

はた迷惑な話だよ……。


「そういえば、今回運搬業者に支援物資などの運搬を頼んでいるのって、『シールドシステム』を持っているからって、資料にあったな……」

『おそらく事実でしょう。

戦闘宙域は、刻々と変わっていると、報告されていましたし……』


ナンシー班長の資料にも、戦闘宙域の拡大が懸念されていたな……。

俺たちが到着するまでは、静かでいてほしいね。



『マスター、ワープアウトまで一分を切ったよ!』

「了解、それじゃあみんな、とりあえず警戒を!

ワープアウトして、何が起きるか分からないからね!」


全員が俺の言葉に頷く。

そして、時間になった……。


『ワープアウトまで、5……4……3……2……1……0!

ワープアウト!』


エヴァがレバーを操作し、ブリッジから見える景色が、光のトンネルから宇宙空間に戻った時、それは起こった。

目の前に宇宙戦艦の集団が現れたのだ。しかも、艦隊戦の真最中だ。


「何っ!戦闘中?!」

『マスター!』


俺の驚きの言葉と同時に、エヴァが俺の指示を声をあげて待っている!

エヴァの声ですぐに我にかえり指示を素早く出す。


「エヴァ!シールドレベルを六へ上げて!あと、衝撃吸収シールドも展開!」

『了解!マスター!』

「オリビア、周辺宙域の索敵!戦闘宙域を抜けるよ!」

『了解ですわ、マスター!』


すぐにエヴァがパネルを操作し、シールドと衝撃吸収シールドを展開する。

その間にも、宇宙船『アーサー』に流れ弾が当たりそうになるが、それをうまくよけている。


いきなり現れた俺たちの宇宙船に、驚いているのは戦っている連中も同じ。

敵か味方か分からないまま、現れた場所で判断して、こちらへ攻撃を開始したようだ。



『マスター、索敵終了しましたわ。

現在位置と、この宙域での戦闘している宇宙戦艦の位置をメインモニターに出しますわよ』


オリビアがそう言うと、すぐにメインモニターにこの宙域の展開図が出る。

この図によれば、どうやら俺たちは目の前で攻撃している勢力の真ん中に出てしまったようだ。


「これは、まずいな……。

前にも後ろにも戦力がいて、攻防を繰り返してる……。

ショートワープをしようにも、邪魔なものが多すぎるし……。


エヴァ、下方へ面舵いっぱい!飛んでくる攻撃は気にするな!

防げるはずだからな」

『了解、マスター!下方向へ面舵いっぱい!』


エヴァはすぐに行動に移し、宇宙船『アーサー』を操作する。

そして、戦っている艦隊の中から、俺たちの宇宙船だけが、戦線を離れていく。


だが、それを見逃してくれるほど甘いものではない。

すぐに、攻撃が集中してくるが、シールドシステムは優秀だった。

どんな攻撃も、宇宙船『アーサー』に傷をつけることはできなかったのだ。


ゆっくりと戦線から離脱していく宇宙船『アーサー』。

そこへ、二隻の宇宙戦艦が全速力で向かってきた。

一隻は、逃がさないように相手側から、もう一隻は、敵前逃亡と間違えたらしい。


『マスター、二隻から通信が入っていますわ』

「……とりあえず、音量を下げて聞かせて……」


……案の定、前からは、罵りながら追いかけてくる宇宙戦艦。

対して、後ろからは、敵前逃亡は重罪とかなんとか怒鳴り散らしている宇宙戦艦だ。


「……通信を切っていいよ、オリビア」

『では』


そう言ってすぐに切った。

これ以上は、聞きたくなかったんだな……。







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