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就職先は宇宙船の艦長さん  作者: 光晴さん
惑星『オニレルド』~惑星『ドールーン』へ

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第34話 遭遇まであと少し




とある太陽系にある生命体がはぐくまれた惑星から、二つほど離れた惑星の側に三つのコロニーが一つになった場所がある。


そこには、三百年ほど昔の戦争で敗れ、逃げのびてきた人々が細々と暮らしていた。

敗戦初期には、憎しみから復讐も考えていたが、長い長い時間が人々から復讐心を小さくし、今や増えすぎた人口問題に頭を悩ませていた。


そんなスペースコロニーの一角に、一人の女性が暮らす場所があった。


その女性の名は、マリア。

見た目年齢は19歳で、双子の妹がいる。将来は惑星間を飛び回る行商人を目指している。そのために、昔の戦場跡で見つけた宇宙戦艦のスクラップを集め、修復跡だらけの宇宙戦艦を使って行商を始めた。


いろんな惑星をその宇宙戦艦で行き来しながら商売をして、いろんな力を手に入れてきた。今では、スクラップのような宇宙戦艦に長距離ワープの技術も手に入れたし、自分自身にも『生体強化』を施せるぐらいまでになった。


そして、今日、いよいよ新しい宇宙戦艦を手に入れるため動き出そうとしている。



今までお世話になった宇宙戦艦を、スペースコロニーの宇宙港で眺めていると、後ろから声をかけられた。


「お姉ちゃん!私を置いて行こうなんて、どういうつもりなの!」

「ち、違うのよエリカ。

今回は、新しい宇宙戦艦を取りに行くだけだから、エリカには危ない真似はさせれないと思って……」


「危ないって、何するつもりなの?!」

「な、何もないんだけど……」

「なら、私もついて行くからね!」


マリアの妹であるエリカは、姉のことが大好きだ。

姉と一緒に行動したがるのは、昔からだった。どんな場所であろうとも、一緒に行商について来ていたのだ。


しかも、宇宙戦艦の操縦はエリカが担当している。

普通は、一緒に行こうというのだが、今回は新しい宇宙船を惑星『ドールーン』へ取りに行くだけ。

ならば、マリアだけでとってきてエリカを驚かせてやろうとしたのだが、失敗してしまった。


マリアは、しょうがないと苦笑しながら、エリカの乗船を許可した。


「それじゃあ、惑星『ドールーン』へ出発しましょう!」

「了解!お姉ちゃん!」




▽    ▽




亜空間航行、十日目。

惑星『ドールーン』で待ち受けている宇宙海賊との遭遇まで、あと二日。

覚悟はできているとはいえ、日にちが迫るとドキドキしてしまうよな……。


そんな不安を紛らわせるため、俺は自室にて本を読んでいる。

何故か、一緒にニニシアさんとマナルルさんもいるんだが……。


「コウスケ、この巻の続きはないの?」

「その本は、今その巻が最新刊なんですよ。次は二ヶ月先になりますね」

「そうか~」


そう言うと、ニニシアさんは残念そうに本棚に戻し、新しい本を取り出し読み始める。連載物は、本になって出るのが遅いものもあるからな。

マンガは、比較的早いのかもしれないかな……。


こんな会話をしながら、本を読むだけで、不安を少しだけ忘れることができた。

これなら、あと二日、何とかなりそうだ。




そこへ俺の部屋の扉が開き、岡持ちを持ったカレンが入ってきた。


『マスター、お待たせしました。昼食をお持ちしましたよ』

「待ってました!」

「カレンさん、ありがとうございます」


俺がカレンに礼を言う前に、マナルルさんがお礼を言い、ニニシアさんにいたってはお腹が減っていたみたいで、食事に喜んでいた。

俺とカレンは、そんな二人にお互いを見て苦笑いだ。


「ありがとうカレン、今日の昼食は何?」

『今日は、カツサンドを作ってみました。

もうすぐ宇宙海賊との遭遇ですからね?そんな宇宙海賊に勝つために、カツのサンドイッチです』


笑顔でカレンが説明してくれた『カツサンド』。

俺の不安な心を、カレンは察してこのカツサンドにしたのかな?

そんなことを考えながら、俺は食べていく。


「……美味しい!」

「サンドイッチなのに、サクサクだ!」

「うん、美味しいよカレン。このソースはオリジナルなの?」


『はい、いろいろとレシピが載っていたので、自分なりに試してみました』

「カレンって、料理がすごいのね」

「フフ、お嬢様は、料理ダメですものね~」


「マナルルだって、同じでしょう?それに、私は料理がダメじゃなくて苦手なだけなの!」

「……同じことでしょ?」

「同じじゃないよ!」


「まあまあ、ニニシアさんの手料理はまた今度ということで、今は、カレンの料理を堪能しましょう」

「……そうね」

「美味しいは、正義ですね」


マナルルさんが、変なことを言っているが、今はカツサンドに集中。

二日後には、宇宙海賊との遭遇だ。

後で、ブリッジに行った時、もう一度宇宙海賊に遭遇した時の手順を確認しておこう。




▽    ▽




超長距離ワープをした後、少しエンジンを冷まさないとオーバーヒートを起こしてしまうため、この宙域で休憩をしている私たちの宇宙戦艦。


後三回の超長距離ワープで、目的地の惑星『ドールーン』へたどり着く。


「やっぱり、この宇宙船に積んである長距離ワープエンジンも、買い替えないといけないかな~」

「でも、お高いんでしょ?お姉ちゃん」

「まあね~、今、手に入れるためには何回か行商をしないと無理だね」


一昔前なら、今のワープエンジンで事足りたのだが、これから新しい宇宙戦艦を手に入れたとなれば、新しいワープエンジンも必要になるだろう。

この宇宙戦艦から新しい宇宙戦艦へ積み替えるだけでは、これから先の行商にも支障が生じるかもしれない……。


「……どこかに良いワープエンジンがないかな~」

「もらえたら、うれしいんだけね~」


「「……ぷっ、あははははっ」」


二人で笑いながら、今後のことを考える。

これから先も、行商を続けていくなら、やっぱり新しいエンジンもほしいんだよね。亜空間航行可能なワープエンジンがあれば、もっと遠くへ行けるし。

そして、何れは例の『シールドシステム』を手に入れたいな……。



「……お姉ちゃん、エンジンの冷却が完了したよ!」

「それじゃあ、超長距離ワープを使いましょう。

惑星『ドールーン』へ向けて、出発!」




▽    ▽




亜空間航行、十三日目。


いよいよ、目的地の惑星『ドールーン』に到着する。

そして、ワープアウトすれば、例の宇宙海賊との遭遇だ。


『ハンガーオーグ』という名の宇宙海賊が、どんな連中なのかは分からないが、手はず通りに行動すれば、危険はないみたいだ。

援軍も呼んであるみたいだし、覚悟を決めて気をしっかり持とう。


宇宙船『アーサー』のブリッジには、乗組員全員がそろっている。


「エヴァ、亜空間長距離ワープ停止まで、カウントダウンを開始」

『了解!ワープアウトまで、5……4……3……2……1……0!ワープアウト!』


エヴァが操縦席のレバーを操作すると、ブリッジから見えていた光のトンネルが変化していく。

いつもの通り、通常の宇宙空間へ変わると、すぐにオリビアが索敵を始める。

はたして、宇宙海賊はすでに来て待ち伏せているのか……。








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