第12話 休日
「土日とか何してるの?」
「父さんと競馬。天皇賞春はメジロマックイーンが熱い」
「……やっぱり金か。クラスの中に守銭奴な奴もいるけれど、君はかなり異質だ失うことを恐れる人が多いが君は逆だ。積極的にリスクを取って増やそうとする」
「そうだな金は大事だからな」
「いや、違う。君は金を大事と思っていない。本質的には金以上の何かが大事だ」
「仮にそうだとして金は大事だろ」
パスタを食べながら太陽は答える。
「僕の推測だと、さっき言ってた父親、もしくは家族関係が関係すると思う。けれど、これ以上詮索するのは失礼だ。今日はこの辺でやめておくよ」
「つまりこの後もストーキングをするつもりか」
「とりあえずはさっき言ってた競馬かな。メジロなんたらだっけ、いつかは知らないけど、もうすぐなんでしょ」
「ああ、4月28日の日曜日だ暇なら……」
「いや、見るつもりはないよ。必要なのは結果さ。君の異質さが見れるのは過程じゃない」
そう言い残すと、篠原は食べている途中だが、会計を先に済ませた。
(こいつ、本当の天才だな。私の転生とは違い本当の天才)
戻ってきて食べ始めると、太陽も篠原もパスタの味が言葉として漏れてしまう。
「「うまい」」
小声だったが、互いに聞こえている。
多少値が張るが、間違いなくおいしい。高校生らしくない会話を続けたが、味覚などの感性はまだまだ高校生のままだ。
その後、二人は店を出て、別方向に帰っていったが、それでも変な気分だった。
((この高校生活は絶対に退屈にならねぇ))
直感だが、間違いなかった。異質な二人が出会い。そして互いに試しあった。
結果から見れば太陽が暴かれただけだが、太陽には明確な目標がある。
けれど、篠原には明確な目標がない。
高校生活をする上で目標というものはすごく大事だ。
テストで何点を取る、インターハイ出場、金賞を取る。
最初に目標を立ててから動く人間が大半だが、篠原にはそれがない。
だからこそ、太陽に嫉妬している。
そしてゴールデンウィークを開けた最初の中間試験。篠原の異質な力が表立って出た。
全教科95点以上、そして総合トップ。
多少の苦手や得意はあるだろうが、それでも完全なる一位。そして英語は100点。
後ほど聞いたが、すでに英検準1級を取っているらしい。それだけの学力があれば
高校英語など大したことはない。
「太陽君、君の言った通り、メジロマックイーンが勝ったね。やっぱり人気なの?」
「前年の菊花賞で勝った馬が勝ちやすい傾向があるからな。1番人気だったし、別にすごいわけじゃない」
案の定、篠原はテストに関して興味を持っていない。恐ろしく感じるが彼の感性からすれば当たり前の範囲だ。
「あー、それとなんでこの高校は入ったんだ、もっと上を目指せただろ」
「家から近かったから。大学はそれなりを選ぶけど、高校なんてどこでも対して変わらないよ」
「嫌味か。いや、嫌味だな。俺も50位以内は入ってるが嫌味だな」
「……けど、社会ならきっと君のほうがうまくやれるだろ」
「どうだか、確かに天才は凡人から嫌われるもんな。現にクラスメイトからかなり嫌われてるだろ」
「それはお互い様でしょ。それよりゴールデンウィークの成果はあった?」
「もちろんあった。今年が間違いない。この先、1年は沈む。間違いなくあとは上がるだけだ」
「そうか、なら何がいい? キーエンスとかはどうだ?」
「きっとそれも来年だな。基本的に秋以降。その時期が株価の最安値を変えるチャンスだ。今は物理的に金を稼ぐタイミングだ、個人的には村田製作所が熱いと思ってる」
「なるほどな、ちょっと見ておく……なら、そのための競馬か?」
「当たり前だ。父さんが競馬が好きでな、小学生のころに中京競馬場に連れていかれたんだ」
「そうか、通りで強いわけだ。村田製作所……考えておく。太陽はいつ買うつもりだ?」
「今年の年末その時期に買う」
「わかった。それまでは僕も邪魔しない」
「いや、好きにしてくれよ。必ずその時期に買うわけじゃないし」
「……考えておく。日本一稼ぐ高校生が目の前で誕生するかもしれないんだ。僕はそれを目の前で見たいんだ」
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