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第11話 高校生

 高校の入学式。別に大したことは起きなかった。


 名古屋市内だが、比較的広い敷地といろいろな生徒の自己紹介で終わった。


 特筆すべきことはなかった。けれど、クラスに到着してからはかなりまずいことが起きた。


 同じクラスに篠原という名前の男子生徒と柊すみれが一緒になった。


 そして、一番まずい展開なのは、篠原という男子生徒が気軽に声を掛けてきている点だ。


 入学式が終わり、数日クラスになじみ始める生徒が多数の中、彼だけが太陽に話しかけている。


 無論、太陽はスルーを決め込んでいるが、一切止まる気配がない。


「太陽君、こんど一緒にマウンテン行こうよ。せっかく同じクラスになれたんだし」


 先ほどからずっと口説かれている。その点に関しては全く問題ない。我慢すれば解放される。


 だが、彼は気さくな雰囲気と甘い表情を時折見せる。太陽がもし女子であったら惚れてしまったかもしれない。


「だから言ってるだろ篠原君、俺はこれから予定あるんだって、ほかの……」


「篠原じゃなくて、勇気でいいよ。それに君じゃないといけない。理由は特にない。けれど、君がいい」


「そのアイラブユーは他の女子に向けてやってくれ。俺は同性に興味はない」


「つまり、好きな人いるとか、早いね。だれだれ?」


「……言わない。というか詮索するな。部活とか行けばいいだろ」


「まあ、それもいいんだけど、僕の目標は外交官だから、英会話コミュニケーション部であんまり活動しなくて暇なんだよね」


「俺は暇じゃないんだけど」


「それはそれ、これはこれ」


「……おごれよ」


 妥協をしないなら、こちらから仕掛けるしかない。本当は証券会社に行き本日の変動幅を見るつもりだが、喫茶店も決して悪いわけではない。


「もちろん」


 そう言って、近くの喫茶マウンテンに連れられた。大きな雪山のある看板が目印の喫茶店だ。


 太陽は入店と共に、経済新聞を手に取り席に着く。


「太陽君、本当に君は変わってるね」


「よく言われる」


 水を店員からもらうと、メニューを眺める。


「ここ、パスタがおいしいんだよ」


「知ってる」


 かなり有名な喫茶店のため、中京高校に通う生徒のほとんどが知っている。


 つまらなさそうに、太陽が答えると篠原は面白そうなことを思いついたかのように話す。


「店員さん、ミートパスタお願いします」


「同じのをもう一つ」


 店員を呼びすぐさま注文を済ませ、篠原は本題に入る。


「……まあ、いいや。それで本命は放課後に何をしているのか。すごく気になってね、あとをつけてみた」


「ストーカー行為は犯罪だ、通報していいか?」


「まって1回だけだよ。勘弁してよ。それで君が放課後に向かっていたのは証券会社。それも金山の」


「で、それが何? 人の趣味を暴いて楽しかったか?」


「いやいや、普通は部活とか、あってもゲームセンターとかがメインなのに、どうしてそこに行くのか?」


「人の勝手だろ。それに通学途中で金もかからない。マネーゲームの代行としての遊びかもしれない」


「……だから、君はこれから何をするか聞きたい」


「いやだ。話すメリットがない。ストーカーに何を話す。探偵でも目指してんのか?」


「探偵、確かにいいかも。なら太陽君が助手だね。太陽君、今回の事件どう思う?」


「ストーカー行為なので、篠原がつかまります。以上です」


「意外と乗ってくるじゃん」


 注文したパスタが2名分届くが篠原の言葉は止まらない。

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