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82話 依頼者

 九郎と玉枝は、アパートでのんびり過ごしている。九郎は神社のバイト以外していないので、夏休みの残りの予定は真っ白である。

 九郎が昼食を食べ終わった頃、スマホに電話がかかる。一久からの電話である。九郎は婚約の件ではないかと緊張して電話にでる。

 「九郎です。」「九郎君、明日大丈夫かな。」

 「大丈夫です。」「急なんだけど、お祓いの予定が入ったんだ。昼前に来て欲しい。」

 「分かりました。」「お願いするよ。」

玉枝が九郎に聞く。

 「何の用事だった。」「お祓いの手伝いをすることになった。」

 「また、巫女の衣装着れるわね。」「玉枝さん、巫女でなくても良いと思うけど。」

 「雰囲気が大事なのよ。九郎ちゃんも宮司の衣装着たら。」「僕は似合わないからいいよ。」

翌日、玉枝は朝から巫女姿になっている。九郎は玉枝に久沓神明社に行くまで姿を消すように頼む。

 2人は歩いて神社に向かう。玉枝が九郎に言う。

 「私の巫女姿を見られたくないなんで、そんなに私を独占したいの。」「恥ずかしいだけです。」

九郎は、玉枝がまたからかってきたと思う。神社の鳥居の所まで来ると玉枝は気配を大きくして姿を見えるようにする。

 九郎があやめの家のインターフォンを鳴らすと一久が出てくる。

 「九郎君、玉枝さん、今日は頼むよ。」「はい、お願いします。」

 「まずは昼食を食べてくれ。」「お祓いは何時からですか。」

 「2時に来る予定だよ。」「分かりました。」

九郎と玉枝は居間へ行く。今ではあやめがそうめんの用意をしている。

 用意ができるとみんなで昼食を食べる。九郎は婚約の話が出るのではないかと考えながら食べている。

 一久は、玉枝の巫女姿を褒めている。食事が終わると、一久は依頼者の説明をする。

 「依頼者は、いつも視線を感じるそうだ。」「気のせいではないですか。」

 「それが泉という人にこの神社を勧められたそうだよ。」「泉ですか、どこかで聞いたような・・・」

 「九郎ちゃん、泉水鏡よ。」「あの陰陽師を同じ苗字だ。」

 「陰陽師の泉水鏡というのは、君たちと何かあったのかな。」「実家に帰った時、玉枝さんを退治しようとしたんです。」

 「私にはまったく歯が立たなかったのよ。」「今回の依頼者がその陰陽師の関係者かもしれないということだね。」

 「まだ、決まったわけではないですけど。」「分かった。気を付けるよ。」

九郎は、依頼者が訳ありでもやることは変わらないと思う。

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