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83話 玉枝、人を焼く

 午後2時前になり、九郎と玉枝、一久は拝殿に向かう。拝殿には依頼者の男が待っている。九郎が男を見ると首に霊のようなものが巻き付いている。

 一久は九郎に聞く。

 「どうだい。」「首に霊のようなものがいます。」

 「祓えそうかな。」「強力には見えませんが。」

玉枝が割り込む。

 「この霊は弱いですから祓えますよ。」「そうか、玉枝さん、ありがとう。」

一久はお祓いを始める。お祓いを終えると男の首に巻き付いていた霊はいなくなる。九郎が一久に言う。

 「憑りついていた霊は消えましたよ。」「そうか、良かった。」

一久は男に言う。

 「お祓いは無事済みました。紹介でこの神社に来られてそうですがどんな方ですか。」「泉という人で修行中だからということで、こちらを紹介してもらったのです。」

 「そうでしたか。」「あっ、あの方です。」

九郎たちが見るといつの間にか30歳代前半の男と40歳代位の男が近づいてきている。九郎と玉枝は30歳代前半の男に見覚えがある。

 陰陽師の泉水鏡である。依頼者の男が水鏡に話しかける。

 「泉さんもいらしていたんですか。」「お祓いは無事に済んだようですね。」

 「おかげ様で。」「私は神社の方と話がありますので。」

 「ありがとうございました。失礼します。」

依頼者の男は去って行く。九郎が水鏡に言う。

 「神社に用があるのですか。」「この神社のお祓いに興味がありまして、怨霊の力を借りているんですか。」

 「私の神社に興味があるようですが、君に関係あるのですか。」「玉枝さんでしたか、彼女が怨霊ということに気づいていないのですか。」

 「知っているよ。」「怨霊なのに放っておくつもりですか。」

 「新しい神社を建てたら彼女を祀りたいくらいだよ。」「彼女の恐ろしさを分かっていないようですね。」

 「どうするつもりかな。」「私ではかなわないので助っ人に来てもらいました。」

もう一人の男が前に出る。玉枝はいきなり燐火で男を燃やす。男は焼かれながらもがいている。九郎と一久は驚く。

 2人は、玉枝が人を害するとは思っていなかったのだ。九郎は玉枝に懇願する。

 「玉枝さん、やめて、やりすぎだよ。」「九郎ちゃん、判らないの。」

玉枝はやめない、男は焼き尽くされ、跡かたなく消える。



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