116話 秋祭り
10月の第2日曜日秋祭りが始まる。久沓神明社では秋の神事が行われる。それぞれの町では花火の音が鳴って祭りが始まることを知らせている。
神社には氏子や町の役員などが集まっている。九郎は朝から氏子総代の補佐として手伝いをしている。
それぞれの町内では神輿が町の中を練り歩いて神社に向かっている。
神社の拝殿では、お祓いをして清めが行われる。その後、各町内の神輿が境内に入って来る。
神社の鳥居の前の坂には出店が出ている。夏の祭りに比べて人出が多い。
神輿が出そろうとひと段落して、氏子や役員の中に一杯始める人が出てくる。
九郎もここまで事故などのトラブル等はなく一息をつく。玉枝が九郎を誘う。
「出店に行きましょ。」「玉枝さん、神楽の準備はいいの。」
「まだ時間はあるわ。」「なら、あやめも誘って3人で行きましょう。」
「私と2人でという発想はないのね。」「いつも玉枝さんと一緒じゃないですか。」
この時、九郎の携帯に電話がかかってくる。彼は電話に出ると玉枝に言う。
「仕事が出来ましたから出店に行けなくなりました。」「残念ね。」
九郎は拝殿へ行く。玉枝はあやめの所に行く。あやめが玉枝に言う。
「九郎と一緒ではなかったの。」「九郎ちゃんは仕事に行ったわ。」
「残念ね。一緒にお昼を食べようと思っていたのだけど。」「私が九郎ちゃんの代わりをするわ。」
玉枝はあやめとお昼の折詰を開けて食べ始める。彼女たちはこの後、巫女神楽がある。
九郎は来賓の出席のチェックをする。それが終わると氏子総代とお昼の折詰を食べる。
午後になると本殿に氏子や役員たちが集まる。その中に九郎もいる。
雅楽の演奏が始まり巫女姿のあやめと玉枝が舞い始める。九郎は何度か舞を見ているが今回もあやめに見とれる。
巫女神楽は玉枝の妖艶な美しさとあやめのかわいらしい美しさで観客の目を奪う。
「夏の祭りより良かったですね。」「本当に神秘的です。」
巫女神楽が終わると感想がささやかれる。みんなの評価は良いようだ。
この後、神輿が各町内に帰って行き、神事は終わる。
秋祭りではこの後、花火があるので出店は夜も続く。
しかし、神事は終わったので、拝殿の左側にある建物に氏子や役員が集まって反省検討会と言うお疲れ会が行われる。
これに九郎たち3人も参加するので、出店や花火を見ることはできない。ここでは玉枝は人気者である。
「玉枝さん、きれいだね。うちの息子はどうかな。」「いや、うちの嫁に来てくれないか。」
「ありがとうございます。さあ、どうぞ。」
玉枝は見合い話を受け流しながら酒を注いで回っている。氏子総代があやめに言う。
「九郎君は、いい男だぞ。息子にしたいくらいだ。仲人をしてあげるから早く結婚しなさい。」「私たち学生ですよ。」
「学生結婚、いいよ、許しちゃう。」「飲み過ぎです。」
氏子総代は完全に出来上がっていた。九郎は氏子や役員につかまっている。
彼らによると九郎は社本家に婿入りするらしい。




