第六話~現実~
龍は頭を抱えていた。
「大丈夫よ、龍君。誰だって最初は怖いものよ」
雪子がなぐさめてくれるが、龍は立ち直れない。戦いの最中に気絶してしまったのだから、無理もないが。
「別にいーんじゃない?ちゃんと帰ってこれたし」
アスカはチョコレート菓子を食べている。
ジンは無表情の中に、少しの苛立ちを見せていた。
「まさか、ここまで役立たずだったとはな」
その声音には、あざけりさえ感じる。
「………っ」
気付いたら、龍はジンに掴みかかっていた。
「!!」
雪子とアスカが目を見張る。
龍は、地を這うような声で言った。
「僕は知らなかった。人間と戦わないといけないなんて」
ジンは胸ぐらを掴まれても冷静だ。
「知っていようが知っていまいが、お前には戦うしか道はない」
「戦うことを知っていたら、僕はここにはこなかった!」
龍が叫ぶ。
ジンの切れ長の目がきらりと光った。
「お前は、好奇の視線から逃げたかったのではなかったのか?」
「………っ」
龍は言葉につまる。確かに逃げたかった。
でも。
「人を殺したいわけじゃない!」
「奴らはただの操り人形だ。もはや人ではない」
ジンは冷静さを保ったままだ。
「ちょい待ち」
唐突に、アスカが龍とジンの間に割って入る。
龍はジンを掴んでいた手を離した。
アスカは続ける。
「別にアタシたちだって、むやみやたらと殺したいわけじゃない。でも、向こうはそうじゃないんだよ」
「え………?」
雪子が悲しそうな目で続けた。
「人は私たちを敵だと思っているの。例え私たちがそう思っていなくても………」
「俺たちは、向こうが挑んでくるから戦う。それが嫌なら、いつでも地球に帰ってかまわない。だが、人間と戦うさだめは、一生お前についてまわる。文句を言いたければ、俺たちではなく人間たちに言うんだな」
ジンの目は厳しい。彼はそのまま部屋を出ていった。
「………」
俯く龍を見て、アスカと雪子もそっと部屋から出ていく。
龍は一人になった。
「僕は、どうすればいい………?」
思い浮かぶのは、今ここにはいない、あの人の顔。
龍はその場に立ち尽くした。
更新が遅くてすみません。読んでくださって、ありがとうございます。
次回、お楽しみに。




