STEP4:掃除機の音
怪談倶楽部の副部長のマイが話を終えた。
次はそろそろユウタの番かな?
◯登場人物
優太
高校二年生 帰宅部
読書、ゲームが趣味
陽真理
高校二年生 怪談倶楽部
ユウタの幼馴染、明るく友達が多い
麻衣
高校二年生 怪談倶楽部 副部長
レイカと同じくヒマリの一年の頃からの友達
ステップス倶楽部の副部長、マイが話を終えた。
「はい、お粗末様でした。みなさんもよかったらどんどん話してくださいね〜」
夜中のトイレが出てくる話はダメだろう。僕はトイレとかお風呂とか、そういうの苦手なのに。
僕の隣に座っていたヒマリが、僕を肘でつつく。
「ん? どうしたの?」
「ユウちゃん、おトイレの話だから怖いんじゃないかなーと思って聞いてたんだよ」
「うるさいな〜、もう。あ、そろそろ話しとこうかな。なんか後のほうになるとハードル上がっちゃう気がするし」
というわけで、僕は手を上げて、みんなに知らせることにした。えーと、自己紹介。
「あ、はじめまして。僕の隣にいるヒマリの誘いで今回参加することになった、優太です。普段は帰宅部なので何もしていません」
自己紹介なのかなんなのか、わからないような挨拶をした。
——これは、僕の先輩が。知り合いのお友達から聞いた話だそうです。
地方の大学に行くために、俺はその寮の無い大学の近所に賃貸のマンションを探した。
少し離れているけども、自転車で二十分ほど。通えない距離じゃない。あと、家賃が凄く安かったのと、家具家電付き(まぁまぁ古めなんだけど)というのがよかった。新しく揃えるにはお金もかかるし、ただでさえ学費も奨学金を利用してるので、なるべく出費は減らしたい。
1DKの間取りは決して広くはないけども、寝るところと、ご飯を食べるとこが分かれている。それだけでなんだか自分の家を持った気分になって、ちょっぴり嬉しかったりはした。
少し火の付きにくいガスコンロも、北極みたいに霜が付きまくりの冷凍冷蔵庫も、便利とは言えないけど、ないよりは全然マシで。
洗濯機は無かったから、近所のコインランドリーに週二回くらい通っていた。まぁ一人暮らしだから洗濯もそんなに多くはないし。
一つだけ気になったのは、掃除機だった。
見た目はなんというか、ひと昔前のような、ちょっと角ばったカタチのコンセントを引っ張って挿すタイプの掃除機。
全然吸わないということはなく、むしろよく吸う。
部屋自体そんなに汚くはならない、あまり物も置いてないから、たまに掃除するくらいなんだけど。
この掃除機……紙パックタイプだよな。
紙パックタイプとは、掃除機本体の中に、ゴミを貯める袋が入っていて、それがゴミでいっぱいになったら、交換をするタイプだ。
俺がここに住んでから、もうそろそろ一年くらい経つと思うんだけど……この掃除機の紙パック、交換してないような。
きゅいーん ごごごごご ずごごご
もの凄くよく吸っている。
たまに大きいカタマリのゴミを吸ってしまった時も
きゅいーん ごぼ ごぼ ずごごご
普通なら詰まってしまいそうなのに、なんだか勢いよく吸い込んで問題なく動いている。
何気に高性能な掃除機だったりして、見かけによらず。そんなどうでもいいことを思いながら、週に一回か二回ほど、部屋に掃除機をかける。
ある日、おかしなことが起きた。
前の日の晩に、大学の友達が何人かで遊びにきていて、ハメを外して飲み食いをしていた。まぁまぁ食べ散らかして、次の日そのまま学校に行ったんだ。
そして、帰ってきたら、何故か部屋がなんとなく綺麗になっていた。
え。
空き巣……? 金目のものはないよな。
というか空き巣って部屋を散らかすんだよな。
部屋を綺麗にして出ていく空き巣なんていないよな。
しかも、座布団やら部屋にあるテーブルとかはそのままなんだけども、食べ物とか飲み物とかだけが綺麗に無くなっていた。
なんだか、ホテルみたいだな。そんなサービスないよな、こんな汚い賃貸マンションで。
きゅいーん ずごごご
え。
部屋の隅に置かれていた掃除機がコンセントも挿していないのに音を発した。
ついに壊れたのかな。でも、普通って壊れてたら動かないよな。俺は掃除機のほうに近づいていく。
きゅいーん ずごごご ばきばき
明らかにおかしい音がしている。
ずごごご ばきばき ぐちゃり
きっとこれは異常だ。普通に考えるとおかしい。この掃除機はやばい。
わかっているのに、俺はどうしても気になって、その掃除機の紙パックが収納されている蓋を開けてしまった。
ぶつん
ユウタは楽器とかは関係ない家電の掃除機の話をした。
そろそろ休憩を挟むのかな?
まだまだ夏の合同納涼祭の夜は、始まったばかりだ。




