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どこからか聞こえてくる音  作者: くろくまくん


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10/25

途中休憩、そして……

ユウタが掃除機の話を終え、その後休憩になりそうだ。



◯登場人物


優太ゆうた

高校二年生 帰宅部

読書、ゲームが趣味


陽真理ひまり

高校二年生 怪談倶楽部

ユウタの幼馴染、明るく友達が多い


麗華れいか

高校二年生 怪談倶楽部 部長

ヒマリの一年の頃からの友達


伊坂先生

48歳 三年生の担任

吹奏楽部と怪談倶楽部の顧問

「はい、ここで話は終わりです」


 掃除機の話を終えて、それをみんなに伝える。


「すっごい終わり方! ユウちゃん、そのあとどうなったの? 食べられたの?」


 横のヒマリが聞いてくる。


「その後は知らないなぁ〜。僕も、また聞きだから詳しくまでは知らないし」


「そう言われると元も子もないよね。あ、てか今のお話って音に纏わる話なのかな〜? 掃除機も音を出すといえば出すけど……」


 ステップス倶楽部の他の人達も、吹奏楽部の四人もなんとも言えない顔をしている。


「まぁまぁヒマリ。電化製品……というか、何か長く使っていた物に、思念が宿ったり、何かが取り憑いたり、感情が備わったり、という話はよく聞くよな。俺が初めに話した黒電話もそうだが、ダイスケのピアノの話も同じような類だ。そして、そういう話の場合、物自体というより、それを体感した人間自身の問題である場合もある」


 伊坂先生が口を開いた。


「先生、それって精神的な病気とかそういうのですか?」


 怪談倶楽部のソウタが聞いた。


「あぁ、それもあるかもしれないな。妄想に取り憑かれてしまった人が、ないものが見えたり、聞こえるはずのない音が聞こえたりと、そういう病気も実際にある。それはその人自身の問題とも言えるかもしれないな。もちろん外的要因がある場合は、その人のせいじゃないんだけど」


 もしかしたら、この伊坂先生も。過去に色々な辛い経験をしてきた人なのかもしれない。怪異というよりかは、自分自身が辛い経験をしたり、辛い経験をした人が身近にいたとかもあるかも。


「まぁ怪談というのは、元々は人が作り出したものだから、色々な妄想や恐怖やらが加わって多少大げさになっていることもあるとは思う。ただ、実際に理屈では説明できないような、不思議な出来事や、神がかり的なことがあるにはあるんだよな。だから、みんなにはこういう機会に、怖いとか気持ち悪いとかだけでなく、なぜそういう怪談が生まれたのだろうか、とか。その話の元になるようなことも考察してくれると、俺は嬉しいかな」


 なんだかハードルが上がった。僕、そこまで本格的に参加するつもりはないんだけどな。


 でも、伊坂先生が発言していることは、なんとなくだけど、僕が普段思っていること、考えていることに少し似通っているような気はした。


「先生〜! そういう難しい話はいいから、休憩にしましょ〜!」


 ヒマリが手を上げて言う。考察という言葉から一番遠いヤツだ。


「あはは、そうだな。そろそろ一時間経つ頃だし、十分くらい休憩して、続きやろうか」


「では、今から十五分後の九時十五分から続きを開始しますね」


 怪談倶楽部の部長のレイカが先生の言葉を引き継いで言った。


「ユウちゃん、買ってきたオヤツ食べよ〜」


 いきなりオヤツかい。


「いきなり食べたら無くなってしまうよ〜? 僕、先にトイレ行きたいんだけど……」


 ヒマリがニマニマしている。


「あ、ユウちゃん、怖いから私についてきて欲しいんでしょ?」


「え、いや、違うよ? でもまぁヒマリもついであるならついてきたらいいかな、と思って」


 ヒマリのニマニマ度がアップした。


「ほぉほぉ! うんうん、いいよいいよ。私は大丈夫なんだけど、ユウちゃん怖いならお手々繋いであげてもいいんだよ〜」


 どれだけ、嬉しがりなんだよ。まぁ正直なところ一人で暗闇の学校を歩くのは怖いのは怖い。なので、ヒマリについてきてもらうことにした。


 トイレは三階の視聴覚室の階段を降りた二階にある。ヒマリにトイレの入り口で待っててもらって、僕は用を足す。



 ふと、僕の耳にピアノの哀しげな音が聞こえてきた。


 とてもか細く、耳を澄まさないとわからないレベル。


 でも、なんというか。怖いという感情は湧いてこなくて。


 しんみりする、という表現が正しいのかな、と思った。


 トイレから出てヒマリに聞いた。


「ヒマリってたまにクラシックとかも聞くんだ? ロックとかジャズとかのイメージだったんだけど」


 ヒマリが変な顔をする。


「え、いきなりなんの話? クラシックは……聞かないこともないけど、好んでは聞かないかな」


「ん、いきなりって言うか。今待ってくれてる間、ピアノの曲かなんか、鳴らしてたでしょ? トイレの中からも少し聞こえたよ」


 三階に上がりながら話す。


「何も聞いてないよ〜。ユウちゃん怖い話で幻聴が聞こえてきたんじゃないの??」


 そう……なんだ。まぁいいか。


 その後、合同納涼祭は、22時半頃まで続き、ひとまず一日目を終えることとなった。


 吹奏楽部の人の音楽室で起きた怪異や、ヒマリが話した木琴の話(完全にすべっていたと思う)などがあったが、次回どうするというのは、また後日連絡をくれるらしい。


「んじゃまぁ、一回目は特に盛り上がることもなく、淡々と進んだ感じだったけど、またみんながしてくれた話の録音を、ピックアップしたり、まとめて新聞みたいにしてみようかと思う。次の集まりは一週間後の木曜なんだが、もしかしたら俺から声かけさせてもらうこともあるかもだから、その時はよろしく」


 最後に伊坂先生の締めの言葉で終わった。


 一応活動記録というのを作るのかな。声かけというのは、それを作るのを手伝えということに違いない。


 なんとなく、ヒマリ経由で僕に声がかかりそうな気もしたけど、まぁその時はその時で考えよう。


ユウタが休憩の時、トイレで聞いたピアノの音はなんだったのかな。


次回の合同納涼祭二日目は一週間後の木曜日だ。

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