ユウタの大伯父
合同納涼祭の一日目が終わった。
一週間後にあるステップス倶楽部の集まりまで、ユウタは暇になる。
◯登場人物
優太
高校二年生 帰宅部
読書、ゲームが趣味
ユウタの母
45歳 小物雑貨のデザイナー
ステップス倶楽部と吹奏楽部の合同イベント、夏の合同納涼祭の一日目が無事終わった。
次の二日目があるのは一週間後だし、ヒマリは夏休み中でもテニスの部活がほぼ毎日あるみたいだし、僕はというと、相変わらずアイスをしゃくしゃくとしている。
自宅のリビングで今日は休みだったらしい母親が話しかけてくる。
「あ、そういえば、パパの伯父さんが夏休みの間、上京してくる、って言ってたっけ?」
そんな話は一度も聞いていない。父親の伯父さん(僕からすると大伯父さんになるわけだけど)は何度か家には来たことがあるけども、どちらかというと僕は苦手なタイプだ。
ちなみに僕の家は東京なんだけど、大伯父は大阪に住んでいる。
口数の少ない父親がたまに、話してくれたところによると、大伯父は一言でいうと【ヘン】なのだ。
なんというか……もうすぐ七十歳にもなるような老体のくせに、なんだか軽い。あと上手く言えないんだけど、破天荒な感じだ。
「そんな話聞いてないけど……僕、あの大伯父さん苦手なんだけどな……」
僕は素直にそう話す。だいたい遊びに来た時は、僕のことをめちゃくちゃいじってくるのだ。
「あはは。まぁあんなオジサンだからね〜。ママもパパと若い時に旅行してた時に、初めて伯父さんを見た時は、すんごく怪しくってね。変なオジサンが出た〜! って言ってたのよ」
やはり、母親の第一印象もそうだったのか。
まぁ害はないんだけどね。なんとなく苦手な人っているよね。
「そんなに長いこと滞在してるの?」
「ん〜、確か仕事でこっちに来るみたいだから未定なんじゃないかな〜? あの伯父さんああ見えてIT関係の会社の会長だからね〜! 確かめちゃくちゃお金持ちだと思う」
え、そうなんだ。でもいくらお金持ちだからと言って、変なオジサンに変わりはない。
「そうなんだ。長期滞在でお金持ってるなら、他に家を借りればいいのにね。ホテルをとるとか」
「それは言えてる。たぶん、あの人寂しがりなんだよ。ママのお父さんが確か歳が近いんだけど、飲み友達って言ってたような。もう歳だからお酒はあまり飲み過ぎないようにね、って言ってるんだけどね……」
変な上に飲んだくれなんて、もう手のつけようがないな。僕が何回かしか見た記憶がないのは、祖父と飲み歩いてることが多いからか。
祖父は昔、父親と、ヒマリのお母さんとかと一緒に仕事をしていたことがあるって、話してたことがあったような気がするな。
なんか写真とか、印刷関係って言ってたような。
とりあえずヒマリに、大伯父のことをメールで伝えておくか。
「なんか夏休み中に、あの変なオジサンが家に泊まりにくるらしい」
たぶん、これでヒマリならわかるはず。
「あ、母さん。また来週もヒマリの部活のイベントで夜から出かけるからね」
例の合同納涼祭のことだ。
「ユウちゃんもヒマリちゃんもそういうの好きなのね〜。ママは怖い話嫌いじゃないけど、あまり好きじゃないな〜」
「うんうん、僕も別に好きってわけじゃないんだけどね。ヒマリにほぼ強制的に連れていかれてる感じ」
僕は母親に答えた。
「あはは、ヒマリちゃん相変わらず強引なんだね〜。なんだか、私の若い時のことを思い出すなぁ……」
母親の青春時代のことなんて知らないけど。
「んじゃ、部屋で昼寝してるね〜。大伯父さんとはなるべく関わりたくないからよろしく」
「それ聞いたらシュウジ伯父さん悲しむよ〜」
母親の言葉はスルーして、自分の部屋に行く。
部活が終わったあとなのか、ヒマリからメールの返事が来ていた。
『げ! あのオジサン私、苦手なんだけど……もしユウちゃんあれなら私の家に泊まりに来なよ〜』
泊まりはダメだろう。でも、ヒマリも僕と同じ気持ちなのが少し笑えた。
悪い人ではないんだよね。でも、変なんだ。
二回目の合同納涼祭まで、ゆったりと過ごす予定のユウタに、突然舞い降りた、大伯父の上京の話。
なんだか話を聞いていると、普通の感じじゃない雰囲気だね。
トラブルが起きなければいいけど……




