ヒマリとのデート
母親から、夏休みの間に、ちょっぴり苦手な父方の大伯父がやってくることを聞くユウタ。
なるべく関わりたくないと思っているが……
◯登場人物
優太
高校二年生 帰宅部
読書、ゲームが趣味
陽真理
高校二年生 怪談倶楽部
ユウタの幼馴染、明るく友達が多い
「……ちゃん! ユウちゃん〜」
リビングから母親の声が聞こえた。昼寝をしていたところを起こされた。
「なに〜」
完全に寝起きの声で答える。聞こえてるかどうかはわからない。
「今からシュウジ伯父さんを迎えに行ってくるからね。夕方までには帰ってくるからね」
もう来たのか。まぁ直接関わることはないよね。
一応なんだけど、ここで僕の家族というか。ヒマリも含めて、僕の周りの人間関係を解説しておこうと思う。
僕は高校二年生。帰宅部。家は学校から歩いて十五分くらいの小さなマンションだ。そこに父と母と僕の三人で暮らしている。家の近くには母方の祖父が一人で住んでいる。母方の祖母は僕が生まれるもっと前に亡くなったみたい。
ちなみに今回、大阪から上京してくる大伯父の話をしていたけども。父親の方の祖父母はいないのかという話だけど、あまり詳しくは聞いたことないんだけど、父親が若い頃に二人とも亡くなったらしい。
あと、幼馴染のヒマリ。彼女の両親。これは前にも話したかもだけど、僕の両親と、彼女の両親は仲が良く、若い頃からの付き合いらしい。
年齢はよくわからないけども、これは僕が勝手に思う力関係というか、序列は……僕の母、ヒマリの母、僕の父、ヒマリの父、そんな順番な気がする。
なんだかんだと女性が強いのかな。そういえばヒマリもまぁまぁ強引だよね、いつも。
強引……と言っても、僕に嫌なことをするわけじゃないんだけど。ヒマリは僕と違って誰とでも仲良く出来る明るい性格だ。それに加えてとても賢いと思う。どちらかというと、あまりウジウジと考えないタイプなのかな。僕とは正反対だ。
その幼馴染のヒマリに、大伯父の来訪を伝えておこう。
「変なオジサンもう東京に来てるみたい。家に居たら出くわしそうだから、どこかモールとかに付き合ってほしいんだけど」
メールを送っておいた。彼女の予定はわからないけど、もし空いてるなら付き合ってくれるかもしれない。
メールはすぐに返ってきた。
『ユウちゃんも大変だね〜。じゃあドーナツで手を打ちましょう』
たまに彼女はわざと敬語を使ってくる。なんなんだ。
「では、ドーナツ三個でよろしくお願い致します」
僕も敬語で返した。
『そんな食べたら太るわ!』
言葉のあとに、怒りのスタンプが送られてきた。僕はそれをスルーして、出かける準備をした。ドーナツ屋さんはここから歩いて行けるショッピングモールの中にあるのだ。
外に出て、モールに向かいながらヒマリに電話をかける。
「今モールに向かってるよ」
『ユウちゃん早いね! もう少ししたら出れるから、先にモールで待っててくれる?』
「わかった〜」
建物の中ならまだ涼しいから大丈夫かな。僕はゆっくり歩きながら、エアコンのかけすぎで冷え切った身体を午後の日差しを浴びることで常温に戻した。
そういえば、大伯父が来るのっていつぶりなんだろう。僕が中学に入った時くらいだったかな? なんだかオリンピックの周期みたいな感じで来てたような。実際は来てたけど僕が見ていない、会っていないだけのこともあるかもだけど。
「モールのフードコートのとこで座って待ってるよー」
ヒマリにメールを送った。
了解のスタンプだけが返ってきた。
今更だけど、ヒマリって友達多いのに割と僕に構ってくれるよな。幼馴染だからなのかな?
なんというか、自分の友達を僕に紹介したりとか、一緒に遊んだりを押し付けたりはしないし。彼女なりに気を遣ってくれているのかもしれない。
ヒマリって……彼氏はいるんだろうか?
幼馴染の交友関係を全く知らない自分が、なんだか情けない。
そんなことを考えていたら、彼女がやってきた。
「待たせちゃってごめんね、ユウちゃん。ん? どうしたの、なんか真剣な顔して」
「ん、なんでもないよ〜。大伯父さん来るのっていつぶりだったかなーと思ってさ」
ヒマリは袖のない水色の涼し気なワンピースを着ていた。眉を寄せてユウタの問いについて一緒に考え出した。
「ん〜、どうだろ? 中学入った頃じゃなかったっけ」
やっぱりそのくらいか。僕は自分がどうでもいい、しょうもないことで悩んでしまってたことを恥ずかしいと思った。
大伯父のことにしろ、ヒマリのことにしろ。




