音にまつわる怪談話のネタ探し
部活終わりのヒマリとコンビニで待ち合わせることになったユウタ。
夏はやっぱりアイスだね。
◯登場人物
優太
高校二年生 帰宅部
読書、ゲームが趣味
陽真理
高校二年生 怪談倶楽部
ユウタの幼馴染、明るく友達が多い
ちょうどアイスを食べ終わったくらいに、ヒマリは来た。
「あっ! ユウちゃん、一人だけアイスずるい〜! 私も食べる!」
え、僕は待ってる間に食べてただけなんですけど……。これって買えっていうことなのか。
「やっぱ夏はアイスだね! 美味しかった〜。コンビニに売ってるよ、アイス」
ヒマリは僕の前に立つと無言の圧力をかけてきた。
「買ってほしいの?」
そして、無言でニッコリと頷く。小学生かよ。
「オヤツはどうする? ここで一緒に買う? てか、そのイベントまでだいぶ時間あるし、一旦帰ってから、また出直してきてもいいけど」
「とりあえずアイスだけ買ってよ」
はいはい、わかりました。ヒマリって小さい時からこんなだったっけ。まぁ別に無茶なことを言ってくるわけじゃないし、別にいいんだけどね。
「私これにする〜、いちごと練乳たっぷりの氷のやつ」
それ、一番高いやつ。まぁいいかぁ〜、普段そんなにお金も使わないし。
レジで支払いをして、また外に出る。なんだかコンビニに出たり入ったりしていると、暑いところ涼しいところの感覚がおかしくなってくるな。
「ユウちゃんありがとぉ〜! いただきまーす」
「はい、どうぞ〜。ヒマリ、じゃあ一旦帰って、夕方くらいに出直す? この暑さでずっと外はキツイもんね」
ヒマリはアイスの氷をしゃくしゃくしながら、フリーズドライのいちごを上手にすくって食べている。
「うんうん、そうする。あ、ユウちゃん、怖い話のネタあるの?」
「え、全然ないよ。その時の流れじゃない? そういう話って」
「え〜、ユウちゃんマジテキトーだよね。私そんな即興で話すのとか無理なんだけど。なんかお題っていうか、こんな感じの話、みたいなのちょうだいよ」
大喜利かよ。ん〜……なんかあるかな。
「一応だけど、今回は音にまつわる怪談話、ってことでしょ? 音が出るもの、吹奏楽部なら楽器。あとは日常の音を出すもの、自然に聞こえるもの。なんかわかんないけども、普通なら聞こえるはずのない、何かの音みたいな、そういう話でいいんでない?」
ヒマリがアイスを食べながら妙な表情になる。
「もうちょい簡単に言ってほしい。ユウちゃんはなんか哲学すぎるんだよ〜」
全然、哲学じゃないんだけど。
「そうですか。じゃあ、これでいいんじゃない。深夜の音楽室でね。木琴あるでしょ。日中は鳴らないんだけど、ぽきりぽきりとなる話。演奏中とかには大丈夫なんだけども、深夜の誰も見ていないところで、実は木琴達は嘆き悲しんでいるんだ」
「え。それ、どういうオチ?」
漫談じゃないんだけど。
「オチ、ていうか結末はヒマリが考えなよ。まぁ、あれかな。その木琴が実は人の骨で出来ていました、とか。骨が強引なら、その木琴の材料となった木材が、そこで殺された誰かの返り血を浴びているとか」
ヒマリが嫌な顔をする。
「何それ、キモーい!! もっと可愛い話にしてよ〜」
ていうか、怪談だろ。
「あはは。まぁ好きにしたらいいよ。例えばこんなの、ていうだけだから。みんなで集まって、なんとなく怖いような話とか、誰かから聞いたような話とか、そういうのでいいんじゃないかな」
「ん〜、あんまわかってないけど、わかったー! アイスゴチです! んじゃ、私も一度帰ってシャワーしたり着替えたりして、夕方になったら連絡するね」
「うん、わかった。じゃあまた」
ヒマリと別れて、僕はまた家に帰るためにてくてく歩く。
木琴の話は……ボツだな。
◇ ◇ ◇
結局あのあと、家に帰って適当にお昼を食べて、そのまま寝てしまっていた。
起きると、携帯が震えているのが見えた。
「はい」
『ユウちゃん、寝てたの〜? もう18時だよ。そろそろ用意してオヤツ買いに行こ〜』
もうそんな時間だったんだ。
「うん、わかった。じゃあ18時半にいつものコンビニで」
『はーい、じゃあ後でね』
僕はもそもそと起きて、用意を始める。長時間寝てしまうと、頭がぼーっとする。
——ぽきり
ん?
何か枝が折れるような音がした気がする。
まぁ……気のせいかな。
ヒマリにアイスをおごらされた挙句、怪談のネタまで聞かれるユウタ。
一度帰宅して、また出直すことになった。
寝起きに妙な音がしたが……?




