夏に熱々の鍋を好んで食べるやついる??
ヒマリのなかば強制のような誘いを受け、怪談倶楽部の夏休みイベントに参加することになったユウタ。
そして、夏休みになった。
◯登場人物
優太
高校二年生 帰宅部
読書、ゲームが趣味
陽真理
高校二年生 怪談倶楽部
ユウタの幼馴染、明るく友達が多い
夏休みに入ってから数日後の木曜日。
そう、例のヒマリに誘われた怪談イベントの日だ。夜の八時からだから、それまでは、僕は当然暇だ。
ちなみにヒマリはテニス部に入っている。怪談倶楽部は人数合わせの籍だけのものに違いない。何か部活に入ってもいいのはいいんだけど、前にも言ったように、特に興味がない。
むしろ本を読んだりゲームをしてるほうが、人とのしがらみがなくて良い。複数の人とのやり取りはどうしても気を使うのだ。気を使わないといえば、ヒマリくらいかな……わからないけども。
なんだか、何を考えているかわからない人っているでしょ? 自分のことを棚に上げて何を言ってる、という話だけど。
あ、怪談倶楽部イベントはオヤツ持参オッケーらしい。ただし、ステップトーク中(怪談を話すことをステップトークと呼んでいるらしい、なんかめんどくさい)はダメで、合間の休憩中のみ、部屋の外で飲食可能とのこと。意外と厳しいな。
結局何人くらい集まるんだろう? 視聴覚室に収まるくらいの人数だから大人数ではないと思うけど、あまり多すぎたらやだな……まぁヒマリが僕を誘うくらいだから、きっと人数が足りないからなんだろうけど。
『ユウちゃん、今日の納涼祭忘れないようにね〜。私、部活終わったら連絡するから、一緒にオヤツ買いにいこうね』
ヒマリからメールが来ていた。先に買いに行こうと思ってたけど、そういうことなのでオヤツ調達は後にする。
暇だから散歩がてらアイスでも食べに行こうかな。
家の中では当然のごとくエアコンをガンガンにかけている。たまに母親に温度下げすぎだと怒られるけども、大人と子供の体温差を考えてほしい。自分で子供というのもどうかという話だけど。
七月下旬ともなると、もう完全に夏だ。最近夏が長いと言われているが、実際気温は上がったり下がったりなので過ごしやすい時期もあるにはある。
でも、日中はやはり暑い。一応ヒマリにメールを返しておく。
「外に散歩がてらアイス食べに行ってるから、部活終わったら鳴らして」
メールだと歩いていると気づかない時が多いからだ。着信だと何秒か震えていると気づく時もある。まったく気づかない時もあるけど。
ヒマリは確か夏休みの時の部活は午前中で終わると思う。そのうち外歩いてたら終わるんじゃないかなという予想だ。
自宅から数分歩いたところのコンビニに入る。いつも行ってるところだ。
——ピロリロリロ ピロリロリロ
この音って、何か意味があってこの音なのかな。今更なんだけど。
目の不自由な人のため。お客さんに対しての入店の歓迎。従業員に対してのお客さんの入店知らせ。あとは……楽しいから? 自動ドアの開閉音がハードロックとかだと人によったら喜ぶかもだけど、ちょっと嫌かな。
僕は、アイスを物色しながら音について考える。
目も耳も、鼻も口も、脳に近いところにある。だから入ってきた情報は割と早くに脳に入るようなイメージ。
音っていうとざっくりだけど、物音、声、音楽、なんだか音って色々だ。
今回の怪談倶楽部の音にまつわる怪談というのは、吹奏楽部コラボだからやはり、音楽にちなんだものというイメージなのかな……
確かヒマリの両親が若い頃、音楽をやってた、っていう話を聞いたことがあるけど、僕はあまり音楽の知識はないからな。
と、考えながらアイスをひとつ選ぶ。やはり暑い時は氷系のアイスだな。今日はカップのレモンシャーベットアイスだ。フタを開けるとレモンの輪切りが乗っている。
このレモンの輪切りを一口でがぶっと食べるのが好きだ。
支払いをして外でアイスを食べる。
すると、携帯が震えだした。アイスを食べたいからスピーカーにして電話に出る。
『ユウちゃん、部活終わったよ〜、今どこ?』
「おつ〜、今学校の近くのコンビニでアイス食べてるよ」
今日もしゃくしゃくしながらアイスをほじくっている。
『ユウちゃん、ホントアイス好きだよね〜。まぁ私も食べるんだけど。着替えてすぐそっち向かうね』
いや、夏はアイスだろう。
むしろ夏に熱々の鍋を好んで食べるやつを見てみたいぞ。んー……まぁいるかもだけどね。
というわけで、僕はアイスを食べながら、ヒマリが来るのを待った。
怪談倶楽部イベント当日のお昼。
部活のあるヒマリを待つ間、コンビニでアイスを食べるユウタ。
夜のイベントまで少し時間があるね……?




