親子水入らずの夏祭り?
第三回合同納涼祭の録音データの不具合は気になったが、ヒマリの提案もあって、みんなでお祭りに行くことになったユウタ。
大伯父と祖父も加わり、かなりの大所帯で祭りへ行く。
◯登場人物
優太
高校二年生 帰宅部
読書、ゲームが趣味
陽真理
高校二年生 怪談倶楽部
ユウタの幼馴染、明るく友達が多い
ユウタの大伯父、修二
69歳 IT会社の会長 破天荒
親子水いらず……んー、だいぶ余計な水入りまくってる気はするけども、お祭りが始まった。
せっかくだから、楽しむか。
「ユウちゃん、もう大人たちは大人たちだけで楽しむだろうから、子供は子供だけで行こうよ〜。ママからお金は貰ってるし」
僕もそのほうがいい気がした。あ、でもその前に……
「シュウジ伯父さん、前回の録音の不具合の件って、聞いてますか? 聞いてたらでいいんですけども」
大伯父は指を鳴らして答える。いや、鳴らすほどのことではない。
「そうそう、俺も言おうとして忘れてたわ。二回目の時はなんもなくて、今回はついに来たな〜。ユウタはどう思うんだ?」
やはり大伯父は例の音声データは聞いていた。
「どう思うって言うか……なんとなくその前の一回目の続きのようなメッセージかなとは思いましたけど」
「あぁ〜! まぁそういえばそんな感じかもな。まぁとりあえず気にすんな。今日はとりあえず祭りを楽しむことに専念しろ」
え、気にすんなで終わらせることかよ。
「盆踊りってのは、ご先祖様の霊やらなんやらが、一年に一回帰ってきて、みんな元気にやってるか〜! と様子を見に来るんだよ。そんな時に楽しんで元気にしてなかったら、ご先祖様も心配するだろう。そういうわけだ」
結局飲んで騒ぎたいだけのような気もする。
「はぁ……まぁとりあえず行ってきますね。シュウジ伯父さんもお祖父ちゃんも飲み過ぎには気をつけてくださいね」
無言で手をあげて行ってしまった。
「ごめんねお待たせヒマリ。出店に行こうか」
ヒマリは笑顔で答えてくれる。
「わーい、出店でいっぱい食べよ〜!」
晩ごはんも食べてなかったのもあって、お祭りの出店ではたくさん食べた。
唐揚げ、串焼き、たこ焼き、ベビーカステラ、たません、かき氷、あとは何食べたっけ。
◇ ◇
「ふ〜、もうお腹いっぱいだね〜。食べものも何でもないものなんだけど、こうやってお祭りで食べるから美味しく感じるんだろうね」
それは僕も思う。まぁ僕の場合、人混みが苦手だからあまりお祭りに行くことも少ないんだけどね。
出店が並んでいるところから少し離れたところに、座って休憩できるスペースがあったから、そこで少し休むことにした。ヒマリと並んで座る。
「シュウジ伯父さんも、お祖父ちゃんもなんだけどね。父さん母さんや、ヒマリの両親も、こういうお祭りの時だからか、なんか楽しそうだよね」
それなりに年齢は重ねていると思うんだけど、さっきの親同士のやり取りを見ていて、なんだか無邪気だなと思ったからだ。
「普段みんなで集まることもそんなにしょっちゅうないから余計に楽しいんじゃない? 私もそこまで詳しくは知らないんだけど、あの四人って仲良しだと思うよ〜」
子供が出来て、歳をとってからも仲良しの関係ってなんかいいなと思った。
「まぁ仲良しだよね。あ、仲良しと言えば、ヒマリは友達とかとは行かなくてよかったの? お祭り」
宵闇の中で、出店の明かりに照らされた浴衣姿のヒマリはなんだかいつもより大人っぽく見えた。
「あっ、だってさっきも言ったけど今日は親子水入らずのお祭りなんだからさ。それにユウちゃん、あまり人多すぎたら疲れるでしょ?」
まぁ、そうだけどね。てか、肝心の家族はみんな各々でお祭りを楽しんでいそうだけど。
「ありがとうね、いつも気遣ってくれて。ヒマリはさ、色んなこと出来るから羨ましいよ。僕は基本的に引きこもってるからね」
ヒマリがニヤニヤしている。
「お、なんだか今日のユウちゃんは素直ですね〜。憎まれ口ばっかりの時より、可愛いですね〜」
どんな言い方だよ。
「いや、感謝してるからそれを伝えただけだよ。ウチの両親もヒマリにきっと感謝してる」
「あのね〜、私はそうしたいからしてるだけだよ。ユウちゃんに同情してるわけでも、暇つぶしをしてるわけでもないから。人それぞれ得手不得手があるでしょ。私はユウちゃんに楽しんでもらえる担当。んで、ユウちゃんは難しいこと考える担当」
どんな担当だよ。でも、人それぞれに得手不得手があることはわかる。
「ありがと、ヒマリ」
僕はなんだか言葉が出なくて。短く答えた。
「ね、ユウちゃん。私とユウちゃんも、そのうち私達のパパやママみたいになるのかな?」
え、それって……。
「どう……だろうね」
ヒマリが僕の肩に自分の頭を乗せてきた。
「私、お腹いっぱいだからちょっとユウちゃんの肩で休憩しよっと」
「う、うん……」
この状況はどうしたらいいのかな。ちょっと情報不足だ。
「ユウタ〜〜!! 何いちゃついてやがるんだ、この野郎!!」
なんとなく、現れるような予感はしていたけど、最悪のタイミングだ。
余計二兄弟みたいな二人がやってきた。




