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どこからか聞こえてくる音  作者: くろくまくん
第五章 廃寺での合同納涼祭

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STEP8:長い長いトンネルの中で

大伯父とヒマリにいじられながら、廃寺に辿り着くユウタ達。


第三回合同納涼祭がスタートする。


さて、はじめは誰の話かな?



◯登場人物


優太ゆうた

高校二年生 帰宅部

読書、ゲームが趣味


陽真理ひまり

高校二年生 怪談倶楽部

ユウタの幼馴染、明るく友達が多い


麗華れいか

高校二年生 怪談倶楽部 部長

ヒマリの一年の頃からの友達


ユウタの大伯父、修二しゅうじ

69歳 IT会社の会長 破天荒

「うんうん、俺も楽しいことは好きだからな。さーて、誰から話してくれるんだ?」


 第三回合同納涼祭が始まった。


 学校の視聴覚室の時にしていたように、今度は廃寺の一室の大きな長方形の机が中央にドンと置かれているところに、ソウタが持ってきたLEDライトを等間隔で置いて、各々の持ってきたライトを消して、ぼんやりと仄暗い雰囲気の中で話す。


「では今回は、私が初めにお話をしますね」


 ステップス倶楽部の部長のレイカが手をあげた。一回目と二回目に話してくれたレイカの話は、なんと言うか、しっとりとした怖い話だったような。僕はあまり集中して聞いてなかったから内容は覚えていないんだけど。


「これは、私が小さい時に、母から聞いたお話です。母が小学生の高学年の頃の話だったようです」



——私が小学生の頃、今でも本当にあったことなのか、私自身もよくわかっていないことなんだけどね……


 私の家族はお父さんとお母さん。そして、お兄ちゃんが二人と、そして私。下には妹が一人の四人兄妹だった。


 ウチはわりと家族みんな仲が良いほうで、それは私が小学生に上がる前からもそうだったんだけど、家族全員で買い物に行ったり、たまに外食に行ったり。あとは年に一回か二回は旅行をしていた。


 それはその年の夏休みに、山の方に貸別荘を借りて旅行に行った時の話。


 私が小学六年で、お兄ちゃんはちょうど三つずつ上で、高校三年と中学三年、下の妹は五つ離れていて小学校に入ったばかりだった。


「今回は長野県の大自然に囲まれたコテージに行くぞ〜!! そして、大自然に囲まれた新鮮な空気の中でバーベキューパーティーだ〜!」


 お父さんは若い頃からリーダーシップというか、色々計画をしたりするのが好きだったようで、家族みんなを色々なところに連れていってくれた。それに面倒見がいい。


 お母さんは、そのお父さんのサポート役で、足りていないところをアドバイスしたり、細かいところの補助をしてあげる感じ。そして二人はとても仲良かった。


「俺、虫苦手なんだけど、虫たくさん出たりしないかな〜?」


 これは次男。男の子なのに虫が苦手。まぁ男の子だから虫が好き、ということはないもんね。


「わーい、お肉♪ お肉♪ みんなでたくさん食べようね〜」


 これは妹。小学生低学年の時から、いや、幼稚園の時くらいから大の肉食だ。たくましい。


 東京から長野に行くルートがどう行くのかは私はよくわからないんだけど、車で高速道路に乗って、三時間から四時間くらいらしい。


 そして、その行程の中でトンネルもそこそこある。


 その不思議な出来事は、トンネルを走っている時に起きた。


 トンネルって暗い中にライトが等間隔で付いていて、長いトンネルになるとそれがいつまで続くのかわからない時がある。


 あと、暗いからちょっぴり眠くなる。


 運転席のお父さんと助手席のお母さんは起きていたけど、後ろのお兄ちゃん二人と、妹も朝から張り切り過ぎてか、寝ていた。


 なんだか私は旅行のハイテンションからか寝れなくて、でも車酔いしないように目を閉じて、静かにはしていた。


 きぃぃぃぃぃん……


 耳が痛くなるような。耳鳴りっていうのかな、でも頭に響くという感じではなくて、実際に遠くから聞こえてくるような、身体の中からではない音が聞こえた。


 きぃぃぃぃぃぃん……


「お母さん、耳が痛い」


「水筒にお茶入れてるからね、それ飲んで少し目を閉じておきなさいね」


 耳の痛みはマシになった気がした。


 でも、その音はずっと鳴っている。


 きぃぃぃぃん……きぃぃぃぃん……


 寝たらマシになるかなと思って、私は目を閉じて無理にでも寝ようと思った。


 すると、


——そっちはだめ、あぶないよ……


 え。


「お母さん、なんか言った?」


「え? 何も言ってないわよ」


 うん、お母さんの声じゃなかった。かといって、妹の声とも全然違う。なんだかとっても小さな女の子の声が聞こえた。


——だめだめ、大変なことになるよ……


 横に座っている妹の方を見ても、完全にイビキをかいて寝ているだけだ。


 なんだか、私は怖くなってきた。


 さっきの耳鳴りと何か関係があるのかな。


——お願い、今から引き返して……


 私は怖くはなってたんだけど。でもその聞こえてくる声は、悪い声ではなくて。なんだか必死に訴えかけてるような。そういう声に感じた。


「お父さん! なんかわかんないけど、このまま行っちゃ危ないって」


 聞こえてくる女の子の声の話をして、お父さんとお母さんに変な子だと思われるのが嫌だったのもあって、私は自分の考えで言った。今思うと、めちゃくちゃなんだけども。


「え、このまま行くと危ないの? なんで? というかこの道じゃなかったら、すっごく遠回りになるぞ〜」


 まぁ、なんで? となるよね。


——お願い、お願い。みんなに危ない目にあってほしくないよ……


 女の子の声はつづく。


「あっ、ちょっとトイレ行きたい私! 今すぐ!」


 もうバレバレかもしれないような嘘をついて、とにかく車を停めないと、と思ったんだ。


「え〜トイレ!? この近くにパーキングあるかな……いったん停まれるところで一時停止して、パーキングエリアあるか調べてみるよ〜」


 お父さんは、高速道路の途中にある窪みみたいな一時停車できるスペースに車のランプをつけて停めた。


「えーと、えーと、今がこのあたりだから……この長いトンネルを越えて、少し行ったところに小さなパーキングエリアがあるみたいだ。そこまで我慢できる?」


 私はどうしたらいいかわからなくて、女の子の声は引き返せというけど……


 その時だった。


 ドゴォォォォォォーーーーーーン!!!


 凄まじい音が、なんか大地震でも起きたんじゃないかっていうくらいの、物凄い音がトンネルの向こうの方でした。


「えっ! なんだなんだ?」


 さすがに物凄い音だったから、寝ていたお兄ちゃん達も妹も起きてきた。


「もぉ着いた〜?」


 妹は寝ぼけている。


「なんか危ないような気がするから、しばらくこのまま停まって待つか。なんか凄い音したもんな……あっ、トイレ!? 大丈夫か?」


 もちろん、元々トイレは嘘だ。


「うん、なんかわかんないけどおさまった」


 しばらく待っていると、救急車やら消防車やらの緊急車両が進行方向へ走って行く。


「え、なんか事故、かな……もしかしてトンネルが崩落したとか言わないよな……」


 結局のところ、私たちが走っていた長い長いトンネルの奥の方で、崩落事故が起きていたらしい。


 滅多にないようなことみたいなんだけど、そんな滅多にないようなことが、家族旅行の時に起きないでほしいよね。


 ちなみにそれからは、その耳鳴りも、女の子の声も一切聞こえなくなった。


 私達家族みんなを助けてくれた女の子の声。



ステップス倶楽部の部長レイカが話してくれた母親から聞いた、謎の音と声の話。


それは、家族を救うために発信された何者かの声なのか、


それとも……

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― 新着の感想 ―
命を救ってくれたんですね。 (*´ω`*) ええ娘や。ホロリ。 (;∀;)
トンネルって暗いだけじゃく、温度も低いから入った時ゾクってするんだよな(怖)夏はそれがいいけど。
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