STEP7:公園にある大きな岩
ヒマリの話のあとに、話すと言い出したのは大伯父だった。
大伯父はちゃんとした話をしてくれるかな?
◯登場人物
優太
高校二年生 帰宅部
読書、ゲームが趣味
陽真理
高校二年生 怪談倶楽部
ユウタの幼馴染、明るく友達が多い
麗華
高校二年生 怪談倶楽部 部長
ヒマリの一年の頃からの友達
ユウタの大伯父 修二
69歳 IT会社の会長 破天荒
「俺が話そう」
え。
手を挙げたのは、シュウジ伯父さんだった。
「いや、伯父さんは話さなくていいよ。保護者代表ってだけなんだから」
一応僕が止める。何か嫌な予感がしたからだ。
「あー、保護者代表ってことなんだが、みんなの話を聞いてて楽しくなってきてな。俺が話したらダメなのか?」
大伯父は、僕ではなくてステップス倶楽部の部長のレイカの方を向いて言った。
「いえいえ、参加してくださるのは大歓迎ですよ。むしろ年輩の方たちのお話を聞ける方が、私達の話よりも深いお話を聞けることもありますし」
部長が余計なことを言った。
「そうだろ〜? んじゃまあちょっとだけ、話をしよう。あーあー、ちゃんと録音できてるかな。あ、話す前に……」
大伯父は、部屋の中央に、前回同様に録音状態にして置いていた、今回は部長の携帯のほうに近づいた。
そして、声量を落として携帯に向かって、
「余計なことをすんなよ。わかったな」
まったく意味不明だ。
「オジサン、何してんの?」
ヒマリがツッコむ。
「ん? いや、さっき聞いた録音の不具合があっただろ。それが例えば変な霊の仕業だとしたら、そいつに向かってわざと喧嘩を売ったんだ。準備運動みたいなもんだな」
相変わらず大伯父は何を考えてるのかわからない。
まぁ好きにしたらいい。僕はなるべく関わらないようにすることにした。
——俺が、大阪の大学に行ってた時の話だ……
俺は割と小さな頃から、色々なことを考えてしまうタイプだった。
色々なことって何かと言うと。たとえば、普通に人と話している時、こいつは今話している言葉をどういう感情で言ってるんだろう。本心からなのか、なんとなくで言ってるだけなのか。
もちろん全てじゃないが、その場の勢いで言ってしまうなんでもないこともあるだろうし、特に考えもなく発言してしまうこともあるとは思う。
ただ、その発言した言葉の、裏に潜む感情があったとしたら。
そんなどうでもいいことを考えてしまうタイプだったから、割と人間関係は苦手だった。
だから、飲み会とか、大勢の連中で集まってバカ騒ぎするようなのもあまり好きじゃなかったし、むしろ一人で静かな場所でいることのほうが好きだったな。
自然と人の居ない場所を探してしまったり、まぁ普段は家で引きこもっていることも多かったんだが、たまには外の空気も吸いたくなる時もあるにはあった。そういう時によく行ってた歩いていける距離にある、公園があってな。
その公園には大きな岩があった。
高さは大人の背丈より少し高いくらいで、全体の大きさは六畳間くらいはあったんじゃないかな。
俺はよく、その岩の上に寝転ぶのが好きだった。
そんな岩の上に寝転んでる変な奴に声をかけてくる人間はいないからな。夜とかもちょうど岩の温度がいい感じで、心地よくて。何か考えてる時もあったが、何も考えずぼーっと寝転んでいる時もあった。
コンコン
それは俺がいつものように岩の上に寝転んでた時だった。
なんだかノックをするような軽い音がしたんだ。
時間は真夜中だった。
「誰だ」
公園には人影はなかったと思ったが、知らん間に来ていたのかもと思い、そのノックをしているやつに話しかけてみた。
返事はなかった。
コンコン
俺は起き上がって、岩の周りに誰がいないか確認をしてみた。
やっぱり誰もいなかった。
コンコン
岩の中?
まぁ普通なら有り得ないことなんだが、もしかしたらそういうこともあるのかなと考えてみた。
俺はそのノックに返事をすることにした。
コンコン
反応はなかった。
まぁ時間も遅かったこともあるし、俺は少し気になったが、別に襲われたりするわけでもないから、そのまま家に帰った。
何日かの間、大学のことやら、用事やらで公園に行ってなくて。ある日通りがかった時、例の岩の周りに白い幕が立っていた。たまにある工事の時にあるやつな。
通りすがりだったこともあって、なんだろうなくらいの感じで俺はちらりと見ただけだった。
そのまた数日後。
その岩は消えていた。あぁ、俺のお気に入りの場所だったのにな、と思った。
後日、大学の連中に聞いた話なんだが。
岩の上に小学生くらいの子供が登って、落ちて、打ちどころが悪くて死んだらしい。




