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どこからか聞こえてくる音  作者: くろくまくん
第四章 録音データの違和感

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STEP6:鳴らない踏み切り

ステップス倶楽部のソウタがセミの話をした。


どちらかというとセミ捕りの仕方に詳しくなったかもしれない。


次はヒマリが話すようだ。



◯登場人物


優太ゆうた

高校二年生 帰宅部

読書、ゲームが趣味


陽真理ひまり

高校二年生 怪談倶楽部

ユウタの幼馴染、明るく友達が多い


麗華れいか

高校二年生 怪談倶楽部 部長

ヒマリの一年の頃からの友達


麻衣まい

高校二年生 怪談倶楽部 副部長

レイカと同じくヒマリの一年の頃からの友達

「というわけで、次は私が話すね。これはテニス部の先輩が、先輩のお婆ちゃんから聞いた話なんだけど……」



——これは、私がお婆ちゃんから聞いた話で、お婆ちゃんが若い頃にあったことなの。


 私が住んでいた家は住宅地の中にある小さな家だったんだけどね。


 住宅地を抜けたところに、とても小さな踏み切りがあった。その路線は単線だったから線路の幅も狭くて、ぴょんとジャンプしたら飛び越えてしまえるくらいの、ホントに小さな踏み切りだった。


 そこを通る電車は三十分に一本くらいかな。だから踏み切りの音を聞くこと自体が少ないくらいで、たまに電車が通る時でもすぐに行ってしまうから、そこで待つということ自体がほとんどない。


 カンカンカンカン……


 しばらく鳴って、電車が通り過ぎたあと、踏み切りのバーが上がる。


 私は買い物に行くために踏み切りを渡った。


 その時、なんとなく気になったのは、踏み切りを渡ったあと、線路をずっと見ている小さな女の子がいたの。五〜六歳くらいかな。


 まぁ、電車が好きな子なんていくらでもいるし、たまに通る電車を眺めてるだけなのかなと、思っただけだった。


 私は買い物を済ませて、来た道を戻る。だいたい一時間以上くらい経ってたかな。時間はよくは見てなかったんだけど、まぁまぁ経っていたとは思う。


 すると、さっきの女の子がいた。


 電車を眺めてる、というより、誰かを待ってるのかな。


 カンカンカンカン……


 ちょうど私が渡る手前に踏み切りが鳴り出した。凄いタイミングだ。私は電車が通り過ぎるのを待つ。その時、ちらっとその小さな女の子の方を見る。


 感情がない、というか。寂しそうでもなく、つまらなそうでもなく。電車を楽しみに待ってるわけてなくて。


「誰か待ってるの?」


 なんとなく、私は聞いてみた。


 返事はなかったし、私の声が聞こえてるかどうかもわからなかった。おかしいなとは思ったけど、知らない人に声をかけられても答えないという子もいるはずだ。


 私は気にもせず、踏み切りを渡り家に帰った。


 また別の日。


 私はまた買い物で、その踏み切りを渡った。踏み切りを渡ったところに、またあの小さな女の子がいた。声をかけてもよかったんだけど、どうせ返事はないと思ったから、軽く手だけ振っておいた。


 女の子の目だけが、私の方を向いた気がした。


 買い物が終わって、私は早足で帰っていた。観たいテレビ番組があることを買い物をしている途中に思い出したからだ。


 踏み切りはちょうど降りてないタイミング。


 まだ、女の子はいた。


 その時。


「待って」


 ものすごい力で私の腕が掴まれた。


 え。


 この女の子の力、だよね。小さな女の子とは思えないほどの力だった。


 私は怖さとびっくりとの両方で、その場に立ち止まってしまった。


「鳴ってないみたいだけど、今ホントは鳴ってる」


 え。なんだかよくわからないことを女の子が言う。


 でもその瞬間。


 遠くから電車の来る音が聞こえてきて、そして、あっという間に通り過ぎた。


 え、どういうことだ。


「もう大丈夫、行っていい」


 なんだか私は、狐につままれたような気持ちだったけど、テレビ番組のこともあったから急いで家に帰った。


 あとで思い返すと、あの小さな女の子は。


 私のことを助けてくれたのかな、って思った。



◇ ◇ ◇



「はい、私の話はおしまい」


 ヒマリはみんなの方を見回して言った。


「なんか最後らへんがわかりにくかったんだけども、ホントは聞こえるはずの踏み切りの音が聞こえなくされていて、危うく電車に轢かれるところだったところ、ってこと?」


 僕は横から聞いてみる。


「うんうん、たぶんそういうことだと思う。その女の子が誰で、踏み切りの音が何故聞こえなかったのかとか、そういうこともわからない。だって聞いた話だし」


 まぁそりゃそうか。


「前に伊坂先生が言ってたように、物とか場所とかに長い月日をかけて、色々なものが宿っていたり、不可思議な現象を起こしたりとかはあるかもしれませんね。今ヒマリが話してくれたのは、普通なら聞こえるはずの音が聞こえない状況という不思議。そういう種類の話ですね」


 部長のレイカが補足する。さすが部長だ。ヒマリも前回の木琴の話よりはだいぶ良くなった気がする。


「ヒマリ、今回は話し方気をつけたの?」


「もぉ、ユウちゃんがわざとらしい話し方するな、って言うから気をつけたんだよ〜」


 あ、やっぱ僕のせいか。


「では、次は誰が話しますか〜?」


 副部長のマイがみんなに聞く。


「俺が話そう」


 え。


 手を挙げたのは、シュウジ伯父さんだった。


 

ヒマリが電車の踏み切りの話をした。


前回に比べると、話し方はマシになったようだ。


次は大伯父のシュウジが話すと手を挙げるが……

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― 新着の感想 ―
良かった、良かった、と思っていたんですけど。修二さんの怖い話ってまさか、あれですか、いつぞやのギャンブル……それとも刃物……。すごくリアルに怖い体験をしてばかりいましたよね? 早く続きを拝見せねば。
なんだかんだ助かって良かった良かった。 (*´ω`*) それにしても全部、音に絡めたホラーなのは凄いです。 (・∀・) 次はシュウジか〜。 めちゃ怖い話をしそうですね。 (´ε`)
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