録音不良
第二回合同納涼祭が始まった。はじめにステップス倶楽部のレイカが前回の怪談の録音で気になることがあったと言う。
◯登場人物
優太
高校二年生 帰宅部
読書、ゲームが趣味
陽真理
高校二年生 怪談倶楽部
ユウタの幼馴染、明るく友達が多い
麗華
高校二年生 怪談倶楽部 部長
ヒマリの一年の頃からの友達
麻衣
高校二年生 怪談倶楽部 副部長
レイカと同じくヒマリの一年の頃からの友達
創太
高校二年生 怪談倶楽部
ユウタの大伯父 修二
69歳 IT会社の会長 破天荒
ステップス倶楽部の部長のレイカがみんなの方を見回しながら話す。
「前回の合同納涼祭の録音内容は、伊坂先生と私達で共有して、音声の編集は部のパソコンでしてたんです。はじめは音声をテキストに変換してたのもあったんですが、異変には気付いてなくて……」
部長は何のことを言ってるんだろう。
「信じられないかもしれませんが、順番に説明すると……変だったのは一番はじめに話していた伊坂先生の話でした。不定期な感覚で雑音が入るというか、ボリュームが急におかしくなっていたんです」
録音のボリューム……
「そこで、数日前にステップスのみんなで伊坂先生と学校で集まった時に、ボリュームのおかしな箇所を切り取って、並べたり、そこだけボリュームを絞ってみたり、テキスト変換したりして、何かおかしいところはないか、加工してみたんですね」
レイカは自分の携帯電話を取り出して操作しながら言う。
「今からその切り取ったところの音声を聞いてもらいます」
『そのうち誰か帰ってくるだろうし、それに子供の俺が取っても取り つぎ!! も何もできるわけじゃない。そう思って、うるさいなと思いながらも、鳴りっぱなしの電話を放置していた わ!! けだ。
十回以上は鳴っていたと お!! もう。さすがにこれは取るだけ取って、大人は誰もいないとか、子供だからわからないとか、言うくらいはできるかなと思い、
どうしたの? と聞いてみても、相手は何も答えない。そして、その鳴き声のあい ま!! と言うか、微かに聞こ え!! てくる水の音がした。
水の音……というより、水たまりの上を歩いているような、そんな音 だっ!! たかもしれない』
「これ、伊坂先生が話してた怪談の一部だよね……」
なんだか途中で声が大きいところがあった。
「通常音量で聞くとわかりにくいかもなので、これのボリュームを全体的に絞ったものを次に再生しますね」
レイカの表情は、無表情に近かった。
『────────つぎ────────────わ────
──────お─────────
─────────ま────────え──────
───────────だ────』
!!!
「これって……」
ヒマリが言う。
「たまたまかも知れないし、誰かのイタズラだと思いたいんだけど……全く意味不明だよね」
ソウタも口を開く。
「伊坂先生にも聞いてみたんだけど、心当たりは全くないみたいで。でもその翌日、伊坂先生の体調が悪くなった」
マジか……何か呪いの類なのか。
「一言だけいいか?」
空気を読むと言った大伯父が、椅子に座ったまま発言する。
「今聞いた怪談話に紛れた謎の恐怖メッセージがホンモノかどうなのか。今日も同じように、みんなで怪談話を録音してみたらわかるんじゃねえか?」
まぁ、そうなんだけどね。でも、それをなるべくしたくないから今話してるんだと思う。
「シュウジ伯父さん、あまりそういうのは……」
僕が言ってる途中で部長のレイカがそれを止めた。
「いえ。その方の言うことはもっともだと私も思います。むしろ、ステップス倶楽部としてはこの不可思議な出来事こそ、今回の合同納涼祭の本分なのではと」
それに続けて副部長のマイも話す。
「ん〜、ちょっぴり怖いんだけど、これって何か理由があって起きてるんだと思うし。私は正直なところ少し興味あるかも。前回も言ったけども、もちろん強制ではないので嫌だという人は退出してもらって構いませんからね」
吹奏楽部の面々も含むみんなを見渡しながらマイは言った。吹奏楽部の部長のダイスケが口を開く。
「今回のイベントはステップス倶楽部と吹奏楽部のコラボイベントだし、僕は最後まで見届けるつもりだよ。それにこんな中途半端な状態で退出してしまったら、それこそ呪われてしまいそうだからね」
この吹奏楽部の部長は意外と肝が据わっているのかもしれない。
他の部員も無言で頷く。
「では、予定通り。第二回合同納涼祭を始めますね。初めは誰が話しますか?」
ステップス倶楽部のソウタが手を挙げた。
「僕が話すよ」
前回の伊坂先生の話の録音には、不可解なメッセージが込められていた。
怪しさしかないが、大伯父の提案と部長の了承もあって、合同納涼祭は続行、話も同じように録音することになった。
さて、これからどうなるのだろうか。




