8話「求愛行動。」
ダブルクリックをすると「拡大しますか?」と案内が出たので、「はい」を選択すると。
よく考えたらこんな漫画あり得ないよな…たまに人気のある漫画なら外伝版とかで小物説明とか詳細とかわかるんだろうが…
こんなことを考えて少し椅子の背もたれに寄りかかる。
背もたれは俺の重さを認めるように可動域まで下がりきったが、神様の自分が作ったから当たり前だ。
っと言いだしたので音を立てて元に戻り、姿勢を戻して俺は画面に集中を戻すことにした。
遺書は、達筆で真っ白な紙に書かれて、内容はこうだった。
『波打つ水面に浮かぶ満月を捕まえるように私は、あの人を追う。唯一の友達をなくして、消えたくなりました。さよなら。』
なんかの歌詞の様だ…
そうか俺は漫画の中じゃいないから少し変わるのか…
漫画を閉じて。
考えろ!っと自分に言い聞かせる。
考えても自分の海馬には空に等しい事を空なりに思い出す。
すると、静寂を切り裂くように、いきなり携帯がなった。
つか俺携帯持っていたんだな…知らなかった。
慣れない手つきでスライド式の携帯のメールを開く。
真宵からだった。
え?
内容は…
『三人で毎日いた。あの場所だけが変わらない…満月とは言えない今宵に、行ってしまったあの人を追う様に月を捕まえに行きます。さよなら。ごめんね。』
何で今日じゃないはず…
…
「おまえだよ…」
俺…?
「お前がいるから変わったんだ。お前はオリジナルキャラだから肩が触れるだけで未来が変わる。お前が今日、あの女と見つめあわなければ今日ではなかった…漫画は日付が変わったら更新される。だからお前は気がつくことができなかった。」
椅子に座っていられず、取りあえず立ち上がってみた。
立ち上がっても何も変わらないが足は震えていた。
やられた。
こっちが動く前にやられた…
場所がわからない。
俺がいるせいで文面まで変ってる…
漫画だったら海ってわかったが…
どうすれば…
携帯を握っている手に力が入っているのに気が付き、ある事にも気がついた。
携帯だ!
写メとかあるだろ普通。
データフォルダを探した。
足だけでなく手も震え、気持ちも震えていた。
生まれたての動物シリーズに例えれる位震えていた。
3人で写っている写真はいっぱいあるけどなぁ…
………あ!!!
気が付いた時には走り出していた。
写真には一番、学校の屋上の写メが多かった。
しかし、まだそれだけでは、わからなかったが、遺書の月を捕まえるようにでわかった。
うちの学校は山の上にあって正直自転車では到底登れなかった。
走りながら真宵に電話を何度かしたが出ない…
月に近い学校の屋上にいるはず…予想を外していたらどうしよう…なんて考えている余裕もなかった。
もう学校にはついていたが、どうやって入ろう…なんて考えている時間があったかすら、わからないくらい躊躇なく窓を肘で破って入った。
階段を駆け上がる音が誰もいない学校に響き渡り、
ドラムの連打の様な心臓の音が自分の体に響いているのが解った。
他人が今の俺を見たら夜の学校が怖いと言うイメージをより鮮明に、より大きくしてしまう位ひどい顔をしているのを階段を上がる鏡で見えた。
自分がそんな些細な事を気にする立派な男子高校生と気がついた。
そしてなんと言って止めるか、決まっていた。
走っている間に決まった。
頭の中で決まった瞬間、神が爆笑する声が聞こえた。
屋上のドアを開けて。
ドアの音でこちらを向いていた真宵がビクッとする。
やはりいた。
真宵がいた。
走っていた時より足音が聞こえないせいかより心臓の音が大きく聞こえ肩で息をする。
「おい!!」
そしてこれしかなかった。
これ以外手がなかった。
これをしなければ、次は詰みだったんだ。
これが俺の「チェック」だ。
っと自分に言い聞かせながら。
荒い息を整えて…
口の非常にネバネバした唾を舌から退ける…
…
…
…
口を開く
「真宵!結婚してくれ。」
神がまた笑った声がした
続く…




