29話「回想壱 「同じだ。」」
映画の内容は考え事を優先して、内容はうる覚え…いや…詳しくは、うろ覚えだったかな。
うろ覚えの様に誤って認識される事は多い。
思い込み、
植え付け、
もしかしたら、誰かが俺の記憶を、今の記憶を無くして塗り替えたら…
それに気付く方法はあるのか?
俺の場合、記憶の塗り替えの途中の部分で止まってる?
いや、
記憶の構築をしているのか…
それなら普通の人と変わらない。
まぁ構築をしてるのは、消えた記憶じゃないから普通の人とは、違うな。
そんな事を考えながら、映画館を後にして真宵の話を聞いていた。
考え事をしながら、話すのは神様ので慣れてる。
会話と言っても、さっきの映画のヒロインの演技が気に入らないらしく、
さっきの、映画は吹き替えではなく、字幕で見ていて、ヒロインの女優の英語の発音にケチをつけまっていた。
こだわり過ぎたろ…
「宇多?」
後ろから聞いたことが、あってほしくない様な声が…
どうせ…
どうせ野市…
ほらな、
「やっぱり宇多だ!」
明生もいた。
こいつら、いっつも一緒だな。
ほもか?
5W1Hずっと一緒なんじゃないのか?
「ヤァ!イイテンキダネ、バイバイ!」
THE機械的挨拶。
踵を返して、
帰ろうとする。
逃げようとする。
まぁ無理だわな。
手をつかまれ、今日のデートでまだ手も繋いでないのに、ファーストシェイクハンドを奪われた。
「なぁデートか?」
ニヤニヤする顔が下を向く俺を覗き込む。
こんなに腹だだしい物体がこの世の物とは思えない…
「いやー宇多が、亀井と付き合ってるとは…」
野市…わざとらしすぎる…
「お前らこそ、なにしてんだよ?」
「映画のハシゴ。お前らも「朝バー」見たのか?」
「見たよ。」
「内容は面白かったな。」
「そうだな。」
「あの…」
会話を続けようとする野市の足を明生が軽く踏んで、
「まぁまた遊ぼうや。」
空気読める良いやつだ。
野市と明生は、また映画館の方へ消えて行った。
野市の背中はいつもより小さく見えた。
「仲いいんだね。…えっと野市君と明生君だっけ?」
なんか寂しいそうに言う、
「ちょっとだけ、話した事があるんだよ。」
間違ってないよな。
そう言えば…真宵は…
「そう言えば…真宵はこの数週間の会ってない間どうしてた?」
少し和らぐ真宵の表情を見て、なぜか安堵する俺でもあった。
「あのね、なんだか、怖くて部屋に引きこもってた…」
「真宵はどう思った?あの大統領の演説について…」
恥ずかしそうにモジモジしながら真宵は、答える。
しかし、これは何キャラだ?
ウザキャラである事は確かである。
「あのね、私は…生きたい。生きていたいと思ってた。」
予想的中と言った所だ。
結構、確信に近づいたかもしれない。
「なんで、生きたかったんだ?」
今度は不思議そうな顔で真宵が答える。
俺が見てきた、
俺が会ってきた、
この一件で、
生きたいと言って来た奴ら、
こいつらは…
…
真宵と別れた俺は神社に来ていた。
「そろそろ、来ると思ってたよ。」
宮菜は、ハゲ頭を書きながらニヤニヤして言う。
「自分の身に起きてる事を、知りたいんだろ?」
色々あって忘れていた…
いや、後回しにしていた。
「お前は、何を知ってる?」
宮菜に訊く。
「なにも知らないし。なんでも知ってる。」
口癖か?
「お前は何者だ?」
「僕は嘘つきだ。さぁここで問題…僕は何者だ?」
「自己言及のパラドックスなんて、今更流行らないよ。」
すこし笑みを見せた宮菜は、
「何者でもないし、何者でもある。」
遊んでるな…完ぺき。
「ふざけなくていいから…なんの為にお前はいるんだよ?」
「案内役さ。」
それだけ、答えて「今日は帰って寝ろ」
っと言って神社の中に入ってしまった。
もう…どうすれば…
その日は寝る事にした…はずだった。
寝たはずなんだ…ここはどこだ!?
広がるのは限りない、白。
広がるのは限りない、無。
夢?
「夢なのか…?」
「夢じゃない。」
後ろから声がする。
見知らぬ男…
後ろには五人ほどの人達…
「お前らは…だれだ?」
ニヤリとしてその男は口を開く。
「俺らは、お前と同じオリジナルキャラだ。」
続く




