25話「考えすぎ。」
記憶が戻ったわけでは無いが。
考えてみれば、簡単だった。
自分が好きな物はよく覚えているが、
どうでもいい物は、
記憶が、
知識が、
浅く、鮮明では無い。
通気口の中に入ろうとしたが、少し待ってみる事にした。
定期的な見回りがある場合に対しての対応である。
手錠を外す前に何度か執事が見に来てたから、いなくなったらすぐに、わかるのか。
いなくなったら、すぐに騒ぎ立てるだろうな。
あいつら、どうしてるんだ?
まぁ同じ手錠してたから、ピッキングの技術が誰かさん見たくあるとは、考えられないから…まぁ大人しくしてるとは思うがな。
多分、見回りは一時間間隔で来てると、仮定して考えるか…
いや…三十分間隔?
でも三十分間隔ならそろそろ来ても良い頃だ。
それとも、もう来ないのかもしれない。
…
考えすぎなのか…
「考えすぎではなく、もしかしたら考えなさすぎ、なのかもしれない。いや、もしかしたら、考えすぎなのかもしれない。」
神様は続ける。
「考えなさすぎ、つまり、あまり考えない人は、正しい答えを導くのがうまい。しかし、考えすぎな人は、色々な、ルートの考えを、可能性を考える事しかできない。」
「言いたい事は判るが、それは、感が良いか悪いかの話だろ?」
僕が言うと、
「そもそも、感が良いやつ、何ていないよ。自賛してる奴はいっぱいいるがな。」
気付いたら、話が脱線していた。
「自賛で良いだろ。兎に角!俺が考えすぎかどうかは、もうどうでもいい!今どうするかだ!」
「それは、かなり考えなさすぎ。」
…
もう勝手にしてくれ。
しかし、動かない事には何も始まらないし…
見張りを待つのをやめて、通気口に入って別の部屋に行く事にした。
しかし、この高い天上に、どうやって…っと見上げると…
煙突の出っ張りを使ったら簡単に行く事が出来た。
通気口の中は暗く、狭い。
匍匐前進で進むのがやっとである。
トカゲみたく、四足歩行になっても、蛇みたく、無足歩行になっても、いやそうなるともう歩行じゃないか…
こういう時になって初めて、人間が二足歩行である事を恨んでみたが…
やはり無駄な努力だった。
自分が拘束のされていた部屋を過ぎた頃、光が見えた。
多分、隣の部屋だ。
声が聞こえる。
「……………………!」
「……………!」
なんか言い合ってるみたいだ…
明成と、野市みたいに、
と言うか、
明成と、野市だった。
あんまり、大声を出したら…っやっぱり、執事に怒られた。
仕方ない…
とりあえず、こいつらは、後回しだ…
前を見ると、少し遠い所に、また光が見える。
そこまで行くとまた声が聞こえた。
「………」
今度は普通の声の大きさ…ってこの声!?
フィルターの隙間を覗くと校長がパソコンに向かって話しかけている…
「お前は間違ってないって。」
……誰と話してるんだ?
続く




