21話「人の正義。」
家に帰ってから、真宵に連絡をしてみようと携帯の連絡先をみて見るが、なぜか真宵の携帯の連絡先がない…
亮一のはある。
数人とクラスメイトのはあり、野市のもあった。
しかし、あれほど仲が良い真宵と連絡先を交換してないのか…
まぁ真宵が携帯を持っていないのかな…?
それにしても…
野市は、なぜ急に言い出したんだろう…?
昨日までは、どこで身投げするか悩んでたくらいなのに…
いきなり心境の変化ですな…
「人の心を完璧に理解できる人など、おらんよ。」
神様がまたいつも通りに、
神様らしく、
神様みたく、
お告げみたいな事を言う。
「「こいつの事は俺が一番、解ってる」って言っても、そんなの言葉だけで、その人の嘘一つも見抜けぬ。言霊に頼って上辺だけ仲の良い友を演じる様な物。そして「自分」自身、それを理解する事も出来ん。」
…
自分自身かぁ
俺は多分自分自身をどれくらい理解出来ているであろう…?
自分の何を知っているだろう…?
もしかしたら真宵や亮一の方が知ってるのかも…
しかし、今の俺は俺しか知らないな。
後は、俺以上に神様が理解してるだろう。
それでも神様は続ける。
「人は死ぬ時、走馬灯を見ると言われているだろ?あれは自分の人生を振り返って自分の「意味」を理解しようとする。そこで自分の身の丈を理解して、消えて行く。」
「人はさ…」
俺が言いたくなったので口を開く。
「人は生まれた瞬間、その時はこの世に必要されてるかどうか、わからない、むしろ必要とされてないのかもしれない…けど、生きてくにつれ、自分に意味を見出して、どっかの綺麗にはまる歯車みたくなるんだと思う。」
「それを人は成長と呼ぶ。」
話はそこで途切れる。
双方、いや片方の一方通行の考えは無意識の内に神様の脳に垂れ流れ、
何を考えてる時も、
何も考えてない時も、
それは驚くほどに淡々に、
驚くほどに単純に、
驚くべき事に毎回…
そんな俺が今の神様のその能力の事を考えてる事も、
何か話そうかと思ったら神様の方から聞いてきた。
「そう言えばお前、なんか面白い事考えてたな。」
「いつの事だよ?」
こいつが「面白い」っと思う事…?
「自分が犯罪者とか何とか考えてた時に策が浮かんだんだろ?」
「ああ」
その事か…
「なんだっけ…学校に立ってこもってクーデター紛いの事起こすんだろ?」
多分こいつに体があったら最高に腹の立つ顔でニヤニヤしてるんだろうな…
「まぁそんな感じだよ。先生が非協力的な態度で又、今の現状を打破できる策が俺らから出てこなかったらしようと思ってるよ。もう犯罪者になってるわけだし、開き直りの策で苦肉の策でもある。」
好都合な事に明後日は全校朝会でほとんどの人が一か所に集まって行動しやすい。
「これが正解なら良いのだがな…」
と言うと神様は「正解か…」と言ってフ…と笑われてしまった。
「正解なんてこの世に存在しないよ…」
「意味が解らん…」
「じゃ…」
じゃっと言って少し黙る神様は考えているのかもしれない…
少しすると、
「お前はこの世から争いがなくなると思うか?」
そう聞いてきた。
その問いの意図を考えようとしたが、「早く答えろよ。」と注意された。
多分それの答えは・・・
「NO」だ。
人は他人と共通の敵を相手取るときに手を取り合い協力する。敵もまた人で同じことが言える。
宇宙戦争をしない以外に地球から争いがなくなることはないと思う。
宗教でも同じことは言える。唯一神を唱える宗教が二つあったら、その神は片方の宗教の「悪」になりうる。だから宗教戦争などがある。
俺は…正しい方の見方だ。
そう…俺の中では…
それは正義ではない…
なんで正義じゃないんだ?
俺は…俺の見方だったんだ…
死にたいと思う真宵の「悪」になり。
クーデターは俺の中では「正義」だったが…
監禁とかするつもりだったから…その人たちから見たら…
ただの悪。
ただの犯罪者…
「お前が悩んでるから…ひとつ教えてやろう。」
そう言って神様は話し始めた。
多分俺の解釈を聞いていたのだろう…
「ある事象があって、それに対する答えが2個あったらどちらが正解かなんてわかる術はない。例えば1+1の答えは2だ。しかしその「1」という物体が二個に分裂したら答えは「3」だろ。」
「そんなのへ理屈だろ?」
「違うな」
「例えば一個のリンゴがあってそこのもう一つリンゴを置いたらそこには何個あると思う?」
「2個」
「違う俺はリンゴとは言ったがリンゴはリンゴでも「りんご」は犬の名前だ。」
「は?」
「つまり「リンゴ」という名前の犬2匹で交尾して新たな子どもが生まれた答えは無限だ。」
「屁理屈じゃないか!そんなの良いようでは何個でも答えは生まれるだろ!」
「だから答えは無限であり何が正しいかなんて証明できない。」
そう言って神様が続ける。
「どのような物が正解かと言うのでも意見が分かれ誰かが選ぶから正解でも、多くの人が助かるから正解でもない。反論がある時点でもうそれは正解ではないのだよ。正しいのは正義ではない…では強いものが正義でもない。今のこの世は違う多いものがこの現代の正義である。視点の問題で…正義であるという事は誰かを悪から守るという事で、「悪」の中の悪になる事、つまり、俺らから見た悪から見た正義、つまりそいつらの悪になる事になる。そこまでは正解だ。俺ら二人の中ではな。だから…」
「だから…お前はお前の見方で良いんだよ。」
…
まぁどちらにせよ…
明日にならないっと解らないな…
次の日
約束していたので昨日の公園に集まる。
三人ともほとんど定時の12時に来た。
そこから先生の家は近い。
歩いて数分でついた。
その数分の間、誰も話さなかった。
ついてチャイムを鳴らし昨日の様に出迎える執事、メイドさん達。
これは慣れるのに少し時間がかかるな…
先生の部屋に案内され入ると先生は私服だった。
この姿を見ると、何だかお嬢様って感じするなって感じの格好であった。
沈黙を破ったのは先生だった。
「ごめんなさい!昨日あんなこと言ったけど私も生きたい。生きていたい。」
ここで痛感した。
人を理解できるのは無理だなって。
俺は鼻で笑うと神様も鼻をならした。
そんな気がした。
続く…




