18話「機械仕掛けの屋敷」
出たよ。また人が死ぬ話かよ。
「違うな。」
神様がささやく。そしていきなり出てきてシリアス口調で…
保健室には時間帯に妥当な夕日が差し込み、先生が逆光で顔はあまり見えないが座ってる姿からスタイルの良さがわかる。
頭の中に染み込む神様の声が気がかりになる。
「死の匂いがしない。そんな予定もないし、多分、明生ってやつは知ってやがる。」
予定ねぇ…てか死に匂いなんてあんの…?明生に目をやる。
見える明生の横顔は少し笑った様に見え、瞼を閉じて少し目を離した所、すぐに戻った一本線の通った凛々しい顔になっていた。
「知ってますよ。あなたが海馬木香って名前で数年前ハッキングの大会に出場して優勝しましたよね?」
…
先生は何も言わずに椅子に座って組んでいる足を直し、逆の足でまた組み直した。
そして少し何かを考え、口を開く。
「何がしたいの?」
また、にやりとする明生が一歩前に出た。
「アメリカのホワイトハウスにハッキングを頼みたい。欲しい情報があるんだ。先生お願い!」
無理だろうな。
「なんだ…そんな事なら簡単だよ。」
っと言って椅子から立ち上がる。
「大体ホワイトハウスにハッキングなんて、できるわけ…ってできるんかい!?」
俺は恥じらいの心も持たず、まるで高校球児のワインドアップの様に大きなモーションでつっこんで…
スタンドを使わずに寸刻の時を止める事に成功した。
理性が舞い戻り羞恥心が、心の部屋で暴れ出した。その証拠に顔が夕日の様に赤くなってるのを自分の顔の火照りで予測でき、下を向いた。
野市が身を乗り出して顔を覗いてきたのが視界に入る。
「ノリツッコミ…だと…上級者と見た。」
っと田中先生が言って…少し救われた気がした。
野市は笑いをこらえてる。
「話に戻る、簡単、簡単なんですね?」
明生がニヤリとしながら言う。
多分、このにやけには俺のノリツッコミは少なくとも、数パーセントは含まれていると思われ、その証拠にこちらを一度チラ見した。
「えぇ、一回私の家に行かないと無理よ。まぁ簡単って言っても三日は、かかるかしら。貴方達にも協力して貰うわよ。」
田中先生は眼鏡をくいっと一度上げてこちらを見る。影になっていて顔はイマイチ見えないのは変わらないが少し笑った気がした。
「俺らパソコンの事わかんないですよ。明生がちょっとニコ厨なだけです。」
野市が言うと、
「ばっか!」
顔を赤らめた明生が野市を小突いた。
明生があまり見せない珍しい表情だった。それを横目にスッと立ち上がり先生が、
「じゃ行きましょう。」
「え?今からするんですか?」
っと野市が素っ頓狂な顔で明生に向かっていた体を止めて言ったが…どこに行くのだろう…
「当たり前でしょう?何をするにも早い方が良いに決まってるわ。」
決まってはないが、急がないとな…
先生は職員室によって来ると言って俺たちは先に校門の前で待っていた。その時にはもう綺麗な夕焼けは、ほぼ沈みかけてウェルダン位の焼き加減であった。
気になる事があったので聞いて見る事にした…
「いったい先生はどこに向かう気なんだ?」
明生も野市も黙っているが…
「まさか…」
明生は口を開く…
「だってなんか調子に乗ってるみたいだったし…下手に何か気に障った事言ってしまったらどうしようもないから…」
知らなかったのか…
「もしかしたら職員室で先生にチクってんじねぇの?」
野市が言って俺は確かにと思ってしまったが明生は違った。
「…なんて言ってチクるんだよ…」
なるほど…先生は自分が海馬木香である事を隠していたわけだし…言えるわけがないんだ…と言う事が野市にわかるはずもなく…
「いや…よくわかんないけど…」
「お前はあんまり気にしなくていい事だ…」
っと明生が言うとニッコリ笑って野市は上を見た。
数分をすると先生が来て…んじゃ行こうかっと一言、言って先に歩き出した。
途中で先生が自分の家に向かっている事を教えてくれた。
先生の家は案外、学校から近くにあり。数分で着いた。
その途中、なぜ名前を変えて大会に出場したのか、なぜベットのカーテンが二つでは無く三つなのかを聞いた。
「私の名前って普通じゃん!まぁなんかペンネームっていうかかっこいい名前が欲しかった訳よ!それでね…」
…
そこからめんどくさくなってしまった。
海馬がなんかのアニメのキャラの主人公で木香が敵の名前らしい。ストーリーまで説明されて、拷問かと思った。
「カーテンが少ないのは学校に泊まったりする事が多いから、あそこでパソコンを解体したり組み立てたりしてるの!…」
…
また長くなってしまった。
床が開くようになっていて、そこにパソコンが入っているらしい。そしてそのパソコンの話を永遠とされた。
IBN5100っとか言う幻のレトロPCらしい、そっからはもう日本語であるか否かもわからない状態で…全くもって機械馬鹿である。しかし家に帰らないって気になるな。
しかしそんな事をヘンテコなパソコンの話とか、アニメの話とかを忘れされてくれる物と遭遇、いや到着した。
家について今、愕然としているが、
豪邸。
これぞ、豪邸であった。
門をくぐると数人の執事とメイドが出迎え、
「「「お帰りなさいませ。」」」
「すげー」
っと言う野市に並んで俺は田中先生の後ろにいたが、先生は、
「…」
カバンを受け取ろうとするメイドを素通りして、
「こっち」
っと家の奥に案内してくれた。
なんとなく、家に帰らない気持ちが解った様な気がした。
部屋に入ると、真ん中にどでかいベットが一つだけ。
…
「これだけ?パソコンは?機械は?」
すると田中先生はベットの柱に手をつけて、
「この下」
っとだけ。
あとは小一時間かけて、ベットをずらし肩で息をしながら、聞いた。
「どこにあるんですか?」
そう。
ベットの下はエロ本はおろかゴミ一つ落ちていなかった。
すると先生はおもむろにカッターを取り出し。◯百万円はするであろう高そうな絨毯を切り始めた。
絨毯が一太刀入るとごとに野市が、
「百万、二百万…」
っとつぶやいていた。
なんだか悲しかった。
そんなこんなで切り終え、先生が床に手をやったと思ったら、
ガガゴン!
床が開き階段が出てきた。
そして明生が
「これなんてゲーム?」
…
はじめてボケた。かな?
続く




