初めての外征・荷物持ち
訓練所での特訓から数日後。
スコットくんが少し緊張した面持ちで、シャランさんの魔道具店にいるひよりの元へやってきた。
「ひよりさん! 実は僕の知り合いの、この街でもすごく強いベテランの先輩冒険者パーティーが、隣町までの護衛依頼を受けることになったんだ。それでね、もし良かったら、ひよりさんも一緒に『一時加入』して行ってみない?」
「えっ! 冒険者のお仕事!? わたし、まだ何もできないよぅ……っ」
驚いて手を振るひよりに、スコットは優しく微笑んだ。
「大丈夫だよ。今回は戦うわけじゃなくて、実戦がどんなものか知るための『見学』っていうつもりでいいんだって。荷物は馬車に積ませてもらえるから、ひよりさんは荷馬車の横を一緒に歩きながら、周りに怪しい魔物とかがいないか『周囲を警戒する』お手伝いをする形になるんだ。僕も一緒だし、先輩たちはすごく強いから安心して!」
「まわりのけいかい……! うん、それならわたしにもできるかも! 行ってみたい!」
ひよりは10歳児の好奇心を爆発させて、ピョンピョンと跳ねて喜んだ。
今回の任務は、隣町へと向かう商人の護衛依頼。
この街から隣町までは、途中で野営を1泊挟むことで、次の日の昼過ぎには到着する片道2日ほどの行程だ。安全な大通りを進むとはいえ、魔物や盗賊が出る可能性もあるため、商人は大金を払って実力のあるパーティーを雇ったのだという。
【総勢7人の護衛チーム!】
翌朝、ひよりはサーシャちゃんが作ってくれた、あの完璧なホールド力と上品さを兼ね備えた「二重構造の制服」をビシッと着込んで、街の正門前へと向かった。
そこに待っていたのは、スコットが言っていたベテランの5人組パーティーだった。
重厚な鎧を着た前衛の戦士、鋭い目つきの弓手、頼りがいのある神官の女性など、見るからに強そうな風格が漂っている。
「へえ、お前がスコットの言ってた新人さんか。ずいぶんとグラマラスで……いや、綺麗な魔法使いのお姉さんだな。今回は荷馬車の横について、周囲を見張る役だ。よろしく頼むよ」
リーダー格の戦士が、ひよりの抜群のプロポーション(特に、ふわっとした布の下で圧倒的な存在感を放つ爆乳)を見て、少し顔を赤らめながらも頼もしそうに声をかけてくれた。
「はい! ひよりです! まわりをいーっぱい見張ります、よろしくお願いします!」
ひよりが10歳の元気よさでペコリと頭を下げると、5人組の先輩たちは「おお、なんか可愛い新人が来たな」と一気に和やかな雰囲気になった。
こうして、ベテラン5人+スコット+ひよりの合計7人の即席パーティーが結成された。
商人の大きな荷馬車を中心に置き、ベテラン5人が前後左右をがっちりと固める。スコットは水魔法のサポートとして馬車の近くに位置取り、ひよりは短剣を腰に帯びて、荷馬車のすぐ横を並んで歩きながら、周囲の草むらや街道の先へと視線を走らせることになった。
【初めての道中と、抜群の安定感】
「出発進行ーっ!」
ひよりが心の中で元気に叫び、一行は街の外へと一歩を踏み込んだ。
初めて見る本物の「街の外の世界」は、緑豊かな草原がどこまでも広がっていて、まるで冒険アニメのオープニング映像みたいでひよりは感動しっぱなしだった。
ひよりにとって、この「周囲を警戒する」お仕事は、まるでアニメの索敵ミッションか、壮大なかくれんぼをやっているみたいで最高にワクワクするものだった。ゴルドとの特訓で鍛えられた鋭い動体視力と、20歳の大人の高いスペックのおかげで、風で草むらがカサリと揺れるだけでも「あっちかな?」と素早く首を振って反応することができる。
何より、サーシャちゃんのリメイク服の機能性が素晴らしかった。
周囲を警戒するために、右を向いたり、左を振り返ったり、上体を激しくひねっても、内側の高級生地がバストをガッチリとホールドしてくれているため、胸が激しく跳ねて痛むようなことは一切ない。
さらに、胸元から腰に垂れるふわっとした布地が、ひよりが動くたびにひらひらと優雅に揺れて、生々しいボディラインを自然に目隠ししてくれている。
脳内では、キュアがいつもの優しい口調で感心したように話しかけてきた。
《ひより、すごいね! キョロキョロと周囲を警戒して歩く姿、すっかりサマになってるじゃないか。サーシャちゃんのお洋服も、体を大きく動かしても全然ブレないし、これなら魔法剣士のステップだって踏みやすそうだ》
(うん! すっごく動きやすいよ、キュア! わたし、なんだか本当にカッコいい警備員さんになったみたい!)
《ははは、警備員じゃなくて護衛の冒険者ね。でも、油断だけはしちゃダメだよ。ただの草揺れか、魔物の気配か、よーく目を凝らすんだ》
(はーい!)
ひよりが腰の短剣の柄にさりげなく手を当てながら
(アニメの真似っこだが、ゴルドの特訓のおかげで妙に型にハマっている)
真剣な顔で荷馬車と一緒に歩いていると、横を歩くスコットが
「ひよりさん、すごく頼もしいです……! 僕も負けないように、魔力の探知を頑張りますね!」
と、頬を少し染めながらも嬉しそうに声をかけてくれた。
「うん! 一緒にしっかり見張ろうね、スコットくん!」
青空の下、大人の色気あふれる上品な制服をひらひらと揺らしながら、中身は小学4年生のひよりを乗せて、荷馬車はゆっくりと、1泊目の野営地へと向かって進んでいくのだった。




